清貧と貪欲と
南方のある島では、いたずら者のサルを捕まえるのに弓矢や鉄砲、大がかりな仕掛けなど使わず、次のような方法でサルを捕獲するそうです。
まずサルの通り道に、サルの腕がやっと入る程度の狭い口がついた壷を、動かないようにしっかりと据え付けます。
次にサルの好む良い匂いのする木の実を、壷に中に少し入れます。仕掛けはこれだけ。後はサルが来るのを待つだけです。
木の実の匂いにつられてやって来たサルたちは、最初、遠巻きに壺や壺の周囲の様子を伺います。しばらくして何も危険がないとわかったサルは、まわりを気にしながら恐る恐る壷の中に手を入れ、一粒取り出しては木の上に逃げかえったり、木陰にかくれたりして木の実を食べ始めます。
美味しさに夢中になったサルは一粒ずつでは我慢できなくなり、徐々に大胆に振舞うようになっていきます。腕を壷の中に深く挿し入れ、その手いっぱいに木の実を握りしめます。 ところが木の実を取り出そうとしても、沢山の木の実を握りしめたコブシが壷の口につかえて、壷から腕が抜けません。
せっかく握った美味しい木の実を放すのは惜しいし、かといって腕が抜けないのも困る。そんな欲をかいてジタバタしているサルに狩人達はそっと忍び寄り、やすやすと捕まえてしまうのだそうです。
先日お伺いしたあるお寺さんの居間に、観音さまの版画が掛けてありました。清楚に微笑む観音さまのお姿も素晴らしいものでしたが、上の余白のところに下の言葉がそえてありました。
「清貧は足りて憂えず 貪欲は憂えて足らず」
ひところ「清貧」という言葉がブームになったことがありました。
お釈迦様の最期のことばを記した『遺教経』というお経にも
「多欲の人は利を求むること多きが故に苦悩もまた多し、
少欲の人は求め無く、欲無ければ則ち此の憂いなし」
「諸々の苦悩を脱せんと欲せば当に知足を観ずべし」
などと説かれているように、仏教では昔から「足ることを知る」つまり欲をかかないということは、とても大切な教えになっていました。
アレも欲しい、コレも欲しい、もっと儲けたい。また、それが手に入ればさらに上等なものや大きな利益が欲しくなるのが人間の心です。
自制心や謙虚さがあるうちは良いのでしょうが、いつのまにか物欲や名誉欲にのみこまれ、冒頭のサルのように身動きが取れなくなってジタバタしてしまうことも、ニュースなどで見聞きするとおりです。
「足りて憂えず」 ジタバタすることのないように、過剰な「欲」を捨てて、自分が後生大事と思っている様々なものとじっくり対峙してみるのは大切なことです。
お釈迦様の言われるように、「知足」こそが苦悩や迷いを離れる第一番の手立てなのですから。
※文中の写真は合掌の郷・休憩所の奥、戸塚カントリーとの境にある芙蓉の花。
毎年、豪華に花を咲かせてくれます。
天気がよいと、いつも沢山の蜂がきています。熊蜂やスズメガをよく見ます。
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今日のおまけ
先日、また山形にかえってきました。このところしょっちゅう帰省しております。
8月の法類方丈様の荼毘式(火葬の式)。
9月に法類方丈様の晋山式(新任式)と本葬2件で、2回の帰省。
10月最初の週末は法友の晋山式と、その師匠の退董式(引退式)。
下の写真は今月5日に写したもの。月山の麓、山形県西川町岩根沢地区の風景です。
残念ながら月山は見えませんでした。で、俳聖・芭蕉の句をどうぞ。
雲の峰いくつ崩れて月の山 by 芭蕉
さすが芭蕉翁。とてもかないません・・当たり前ですが。
でもって、昔作った句で恐縮ですが 拙句をひとつ
月山に雲の集まる農具市 by rinshou
また今週末も山形佛性寺の近隣寺院で晋山式があり、帰らねばなりません。
最近は居眠り運転が怖いので、乗用車での帰省は控えるようにしています。
家人にもよく注意されます、体力が落ちてるよ、若いと思ったら大間違い、と。 (-_-;)
帰ったときは寺の仕事に忙殺されますので、遊びに行ったりということはほとんどありません。
近所のオヂサンが家に来て、ビールを飲む程度。
楽しみは、横浜ではなかなか食べられない山形の郷土料理。
この時期、芋子汁(芋煮汁)をよく食べます。
ちなみに、山形弁で発音すれば「えもこづる」となります。
ご存知の方も多いと思いますが、里芋、牛肉、コンニャク、葱、キノコ類の入った醤油ベースのおつゆです。
田舎ではこの時期、河原で芋煮会やったりします。
煮えてトロトロの里芋が口の中でフワーッと溶けて、ほんとに美味しいんですよねえ(^・^)
芋煮のほかにも、美味しいものが沢山ありますが、今回はアケビの油焼きと漬物を紹介しましょう。
下の写真はあけびの油焼き。
横浜ではなかなか食卓にのぼらないメニューです。第一、食材が無い。
また、家人もあまり食べないので、帰省したときに隠れ食いのような気分で食べています。
作り方
①アケビは種を取って、さっと茹で、水気を拭いて冷ましておきます。
②フライパンで、ほぐした舞茸を油で炒め、みそ、しょうゆ、砂糖、お酒で好みの味付けにします。固めのきのこ味噌を作る感じ。
③アケビに②を詰めて、フライパンに並べ、軽く焦げ目がつくまで両面を焼けば出来上がり。
ほろ苦い、オトナの味です。相方はビールですね(^O^)/
下の写真・右は「ぺそら漬」
色抜きしたナスを、塩と辛い辛い唐辛子で漬け込んだもの。
色が悪くて、食べるとえらく辛い。
気味悪がられることもありますが、慣れると本当に美味しいのです。
山形県大石田町や尾花沢市でよく作られます。
師匠も生前、よく作っていました。かなり上手でした。
今年、母親が初挑戦して作ったのが写真のぺそら漬。
師匠が亡くなって、もう食べられないと思っていましたが、食事に出たときはビックリしました。
まったくおなじ味だったので・・・
母親はありがたいなあ、としみじみ思いました。
そして、これならまだお母さんも大丈夫、と安心した次第です。
バケツ稲の写真も載せておきましょう。
10月2日に稲刈り(!)をしました。
今は庫裡の物干し竿にかけられています。2合くらい収穫できるでしょうか・・
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さて、お知らせです。
最近パソコンの調子が悪いので、修理に出すことになりました。
昨年メモリの増設を行いましたが、やはり5年経つと機械部分が壊れてくるようです。
診断の結果、今回はDVDマルチドライブに問題があるとか。
バックアップが取れなくなると大問題ですので、修理に出すことにしました。
でも、修理の見積もりが5万円超!
うーん・・・・考えます・・新しいのに替えようか・・・でもまだまだ使えるし・・・
10日午後の引き取りですので、そこからしばらくの間、パソコンが戻ってくるまでブログはお休みです。
その間はメールも使えませんので、ご承知おき下さい。
今日はここまで。