翌14日は、朝4時半の振鈴(鈴を振りながら、ご本山内をまわって起床を知らせること)。
振鈴前には起きて洗面を済ませ法衣、袈裟をつけて身支度を調えます。
御征忌の特別行事期間中といえども御本山は修行道場ですから坐禅はいつも通り行われていますが、
4と9の付く日は放参(坐禅はお休み)ですので、この朝は坐禅無し。
他の焼香師の方々と一緒に本堂に上殿し、朝課(朝のお勤め)に随喜します。
朝課のお経の途中、禅師様に拝問(はいもん・・御挨拶)のため本堂を辞して侍局(じきょく・・禅師様の執務室)へとむかいます。
清々しい薫りの香を焚きしめた部屋で、禅師様と面会します。
現在の總持寺の禅師は江川辰三(えがわしんざん)禅師様。
倫勝寺の先代が總持寺で亡くなった時、監院を勤めておられました。
先代の密葬が終わったあと、お騒がせしましたというお詫びと、いろいろとお手配いただいたことへのお礼を兼ねて挨拶に伺ったことがあります。
旧監院寮で労わりの言葉をいただいたことを想い出しました。
早いものです、あれからもう16年近く経ちました。
江川禅師様はいたって気さくな方で、元気いっぱいです。当時とあまり変わりません。
總持寺に、新しい風を吹き込んで頂ける方であろうと思います。
拝問のあと、昨晩お会いできなかった副貫首(ふくかんしゅ・・次代の禅師さま)・石附老師のところへ御挨拶に伺いました。
石附老師と先代住職とは、駒沢大学の同級生という御縁。
副貫首寮で、親しくおことばをいただきました。
先代の御縁をそのまま引き継がせていただいたおかげで、私は本当にいろんな方とお知り合いになれました。
来年17回忌を迎えますが、いまなお、さまざまにお導きをいただいている感じがします。
玄米粥の朝食をいただき、知客の方と、倫勝寺、昌龍寺の檀信徒が本山に到着してからの手順を確認します。
今回は横浜から大型バス2台、東京から1台、千葉から1台、さらに鶴見駅集合の方、と250名余の檀信徒が本山にやってきますので、下足の始末から始まり、控え室の場所や飲み物、お説教の時間や山内の拝観、回向証(ご供養していただいた証明書)の記名など、細かいことの確認です。
今回は普通の団体参拝のように、住職が先導して檀信徒の面倒を見ることはできません。
住職は焼香師の法要に専念しなければなりませんので、お檀家さんは旅行社とご本山におまかせです。
ですから、お檀家さんに何かトラブルがあったらどうしよう、と最後まで気になってしかたありませんでした。
たまたま私が焼香師を務めるのが午後の遅い時間でしたのでしっかり確認などを行なえましたが、午前の早い時間に法要のある方はそんな余裕もありませんので、いろんな意味でやきもきするのではないでしょうか。
打ち合わせのあとは本山の諸役の方々のところへ、よろしくお願いします、とあいさつに回ります。
永平寺と違って階段は少ないけれど、やはり大本山、広いことひろいこと・・・あちこち回り終わった後はじっとり汗をかくほどでした。
万歩計もあっさり一万歩を突破。結構いい運動になります。
そんなこんなでバタバタしていると、あっと言う間にお昼の時間。
山形の知り合いの作った、いたずら心たっぷりのお膳。
五十嵐君、御馳走様でした。頑張って!のお心遣いありがとうございました。でも、はずかしいので写真はブログには載せられません。
さて正午過ぎから、家族や檀家総代さん始め檀信徒の方々がぞくぞくと總持寺に到着しはじめました。
北海道のM師、宮城のT師、久しぶりに会う永平寺時代の同安居(どうあんご・・同期生のこと)、東京・五反田のR寺方丈はじめ、多くの方々がお祝いに部屋まで来て下さいました。
故伊東老師の奥様もおいでくださいました。ありがたいなあ・・・
大型バスを御本山玄関前に横づけさせていただき、また、鶴見駅集合の方には總持寺までの地図を配布し、さらに交差点には倫勝寺の半被を着た人に立ってもらって誘導をしていただきましたので、おかげ様で参加者みなさん、無事にご本山に到着できました
さて、總持寺に着いた250名余の檀家さんは、みなさんいったん三松閣の大講堂に入ってもらい、落ち着いたところで1時間ほどお説教を聞いていただき、その後、大祖堂に上る道すがら諸堂拝観をしていただきました。
説教師は、倫勝寺で幾度もお話をいただいている石上博國師。
お説教のお願いをしたところ、二つ返事で了解していただきました。これも有り難い御縁です。
お檀家さんみんなご本山に到着、大丈夫、との報告を聞いて、とりあえずほっと一安心。
あとはご本山にお任せです。
いよいよ法要の時間も迫り、まずは威儀を正し、今朝拝問で伺った侍局にむかいます。
禅師様に代わって焼香師を勤めますので、まずはそこでお茶をいただいてから出立、というわけです。
袖口や襟もとに十二単のような布をかぶせた緋の衣は、先代住職の遺品。
道元禅師様、瑩山禅師様という尊い方の御法要ですので、お袈裟は檀家さん向けの法要とは違い、濃い緑の麻地に金糸で永平寺、總持寺両本山の紋をあしらった地味なものをつけさせていただきました。
出迎えていただいた係の老僧と会話をしていると、お互いに先代住職から付き合いのある川崎のS寺方丈さんが神妙な顔でお茶を運んできてくれました。
思わず笑顔がこぼれます。
(後日「侍局のあの場所でニコニコ笑っていた人は、初めて見た」と言われてしまいました。)
御茶をいただき、禅師様の代香という大役であることを肝に銘じ、ついに制限時間いっぱい、となりました。
次回に続きます。
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11月20日、静岡県袋井市の可睡斎で新住職の晋山式(新任式)と山門、奥の院の落慶法要(落成式)があり、招かれて出かけて来ました。
可睡斎は伊東老師が住職を勤めていた折から、いろんなご縁でたびたび出かけています。
現在は佐瀬老師が住職を勤めておられます。
典座は旧知の小金山老師。
祝膳やお弁当の準備で大忙しでした。
「前掛けして、早く手伝って~!」って、腕がむずむずするんですが今日はゴメンナサイ、です。
お弁当全部いただきました。写真のほかに赤飯がつきます。焼き長芋のしょうゆ漬け、美味しかったですよ。
お料理の一つ一つに、親切心があふれてます。御馳走様でした。
上の写真は、ちょっとした集まりで出かけた東京根津の「豆腐や・須田」さんの料理。
小さな店ですが、かなり美味しいです。お出かけの際は、ぜひご予約を。
倫勝寺の境内も、このところの朝晩の冷え込みでだいぶ秋色が深まってきました。
沙羅の花の種が、葉っぱの新芽の脇にまだ残っています。繰り返す命の営みを間近に感じますね。
獅子の写真は、古いマミヤ645の45ミリレンズを使いました。こってりした色合いが、なかなかいい感じです。
今日はここまで。
645のレンズは大きくて重いのが難点ですが、いまどきのデジタルレンズと違って良い風合いがありますので、たまに出して使っています。