JAZZ from Nishinomiya

V・プレミアリーグのJTマーヴェラスを応援しつつ、日々の出来事や雑感を語ります。ときどき毒づきます。

別府の旅_2015.09.19~21_2日目_その2

2015年10月13日 02時00分34秒 | 温泉/温泉銭湯/銭湯/スーパー銭湯
【2】鶴の湯~ヘビん湯

靴もきれいになったので出発です。オッチャンたちに教えてもらった迂回ルート、ちょっとわかりにくいんですが、鶴の湯から20mほどバックした右手に白い看板がありまして、そこから藪の中に分け入ります。

獣道のような小路を数十m進むと開けた場所に出ます。


しかしここ、抜群に景色が良いなあ。俺は普段山歩きとかしないから尚更なんでしょうけど、なんで自分がここにいるのかよくわからない、不思議な気分になりました。季節的にも暑くもなく寒くもなくとてもさわやか。

別府 鶴の湯の裏道

0:05あたりで見えるのが扇山。途中でヘンな吐息が聞こえますが気にしないでくださいw

途中からこういう道になります。

ガンガンズンズングイグイ歩いて行きますと、ヘビん湯へ行く道と合流します。

この図でいうと、AからBに抜けたわけです。


航空写真だとこんな感じ。

鍋山の湯だけ草木が生えていないのが不気味ですね。


合流地点から今来た道の方向を振り返って見たところ。この看板の裏側に道があるんですが、パッと見はわからないですよね。


合流地点の道路脇の木にアケビが実っていましたが、色が変なので食いませんでした(笑)

さて合流地点を左(西)にテクテク進んでいきます。



基本的にコンクリ舗装路です。途中、道路脇に神社の鳥居があり、薄気味悪さ全開です。いや、なんの先入観もなしに歩いている分には、とても気持ちがいいんです。だけど、数年前に近辺で殺人事件があったことを知っていると、かなり怖い道に感じるんですよね。だって、なにより人がいない。たまにヘビん湯に行くのであろう自動車が通り越して行くけれど、それだって数台。道路脇の林から出刃包丁持ったキチガイが飛び出して来たら殺されるよなぁ、などと考えると全然違う道に見えてくる。ホームズも言ってましたやんか、「都会のど真ん中より片田舎でこそ人目に付かない凶悪事件は起きんねん」と。もしもの時に素手では不安なので、道端に落ちていたちょうど良い長さの枝を杖代わりに歩きましたよ(笑)

時計は見ていないけど、さきほどのアケビの木から20分ほど歩きましたか、少し広くなった場所に出ました。

車やバイクが数台停まっています。ライダーに「温泉はこの下ですか?」と尋ねると「すぐそこですよ」とのこと。


降りてみると川が流れており、小さな脱衣所が見えます(写真では見切れていますが)。その周りには湯船がいくつか。先客が2人おりました。

ヘビん湯全景

ここも地元の有志の方が整備してくださっている温泉で、お湯のパイプと川の水が上手い具合にMIXされて適温に保たれています。湯船は5つあり、1つは35度程度のぬる湯でしたが、あとは体感で40度以上ありました。

湯船といっても鶴の湯のように底が平らではなく、大きな石こそ取り除かれていますが砂利と植物性堆積物が混じった野趣あふれるもの。身体を浸けると堆積物が舞い散り、あまり気持ちの良いものではありません。好きな人にはたまらないのでしょうが、俺の好みじゃないんですよね。

底面が砂利なのは全然いいんです。堆積物が舞い上がるのがイヤ。湯の花とか泥湯とかはいいけど、葉っぱや木くずはどうもねぇ。。。

というわけで5つの湯船をひとしきり堪能し、パイプからきれいなお湯を汲んで身体を洗い、ヘビん湯をあとにします。

誤解して頂きたくないのですが、俺はこういう珍しい露天風呂に入れたことを本当に感謝しています。とてもいい体験になりました。これはひとえに、日常の維持・管理を行っている地元の湯守同志のおかげであり、また普段からここを大切に使っていらっしゃる利用者あってのこと。大雨が降れば風呂は流され土砂に埋まるかもしれません。恐らくそのたびに復旧させていらっしゃること、そのご苦労は想像に難くありません。

あくまでも好みの問題、ということです。俺にとって、温泉は嗜好品のようなものですから。


【3】ヘビん湯~鍋山の湯

さて、今来た道を下っていきますよ。わかっていたこととはいえ、今日はよく歩くな。アケビのところまで戻ったら、そのまま道をまっすぐ進みます。周りは扇山をはじめとする一面の緑、空は果てしなく青く、そして遠くに別府市街地と別府湾を見下ろし高崎山まで一望できる絶景かな。

いやあ、素晴らしいな。

気がつけば右手眼下には鶴の湯が小さく見えます。

ここから見ると、この斜面って相当の高さなんだなと実感。そしてここを登るのは無謀ではないにせよかなりの労力だよなぁ、と。迂回ルートを教えてもらって本当に良かった。


それにしても気持ちいい景色だ。爽快。

道は90度近いカーブを過ぎると右手に広場のような更地が見えてきます。それを無視してさらに進むと三差路に出ます。左に行けば鍋山の湯、右に行けば別府市街地(明礬温泉に出ます)。市街地方面から三差路を見るとこんな感じ。

左に行けばヘビん湯、まっすぐ進むと鍋山の湯。立て看板は、例の殺人事件があったこと受けての注意勧告です。

しかしこのあたりも怖いくらいに景色が素晴らしくて、山がとにかくシェリー。ではなくてキレイ。昼間なのに北極星(ポラリス)が見えるよ。

はい、わかる人だけ苦笑してください。

三差路を鍋山方面に進路を取り、まっすぐ進んでいくと、左手になにやらゴミのようなものが。汚いなぁ、と思いきや、幾つかの枯れた花束でした。事件現場と思しきところに、今も献花が続いているんですね。急に神妙な気持ちになり、手を合わせました。

そこも通り過ぎてもう少し歩いたら、少し広い場所に出て(というか行き止まり)、こういうゲートが。

この先が鍋山の湯になります。どうも鍋山の湯周辺は私有地らしいのよね。ゲートが閉まっている以上、乗り越えると不法侵入になってしまいます。ですが、鍋山の湯に向かうルートは他にもありまして、ここでは詳しくは書きませんからネットで調べて下さい。

ちなみに俺はよくわからなかったので、目の前のゲー・・・ゲフッ!ゲフンゲフン!

ロドリゲスさんの証言:
「急に暖かく眩い光に包まれて周りが見えなくなったかと思うと、いつのまにかゲートの向こう側にいたんです。まったく信じられない、とても不思議なできごとでした」


そう、超常現象は存在する。テメェの頭の中に!(=超常幻症)

さて道をまっすぐ歩いて行くと、先客2人がこちらにやってきました。「めちゃくちゃ熱かったから良い具合に埋めておきましたよ」とのこと。ありがたいのかどうなのか判断に苦しむところですが、ひとまずお礼とサヨナラを言う。

と、ここで一つ困ったことが。温泉がどこにあるのかさっぱりわからんのです。

こういう立札があってですね・・・

突き進むと荒地。道沿いを進むと荒廃した舗装路。まったくわからんな。これぞまさに秘湯。

ひとまず荒地の方をリサーチ。




Googleの航空写真でもわかるように、地表が露出していてやたら白い。硫化水素の臭いと所々から上がる蒸気。文字通り温泉の臭いがプンプンするんですが、姿が見えず。困った。それにしても薄気味悪い場所です。いわゆる地獄谷とかそっち系の光景なんですが、周りは緑の山なのにここだけ荒涼としたガレ場で草もまばらなうえに地面が白くて目に眩しい。なんだかものすごく奇妙な気分になります。着物を着た鬼女が出刃包丁振りかざしてやってくるような、そんな風景。ウルトラマンエースの「夏の怪奇シリーズ」のノリですよ。地獄めぐりとは一味違う地獄風味。

そういやこのへんは妙にハンミョウが多くて道を教えてくれるんですが(わからない人はググって下さい)、その毒々しい色合いと白い地表のコントラストが地獄気分に拍車をかけるのでございます。

しかしハンミョウに先導されてもいっこうに温泉は見つからず。うーん、ここじゃないのかなぁ。ってことはさっきの舗装路を登って行くのか?

というわけで、舗装路を登って行きましたが、これがもう不安しか感じないような道でして、温泉らしきものも見つからず、数百メートル進んで引き返しました。

そしてまたガレ場を探索し、そして次に舗装路をさらに奥まで進んでは戻り、今度はガレ場を反対方向に登っては戻り・・・これで見つからなければ帰ろう、とネットの入湯記をチェックしまくる。ええっと、なんだ、祠(ほこら)がどうとか書いてるな。あ、これかな、祠があるわ。そしてよく見ると、藪(藪といっても人間の背丈よりも高い植物が生い茂っているので向こうは見えない)の中にうっすらと道のようなものが・・・分け入って10mほど進むと、あ、ありました。ポツンと開けた場所に二連の露天風呂。


こちらは「黒湯」と言われている風呂ですね。裏手にはどこかのサイトにも書いてあったように、地獄蒸しもあります(ここで作る蒸し卵はとても美味しいそうです)。はあ、これは完全に秘湯だわ。そして女性1人だと確実に危険だわ。藪を抜けたら目の前の風呂に死体が浮いている・・・とかでもおかしくない、そんな場所と雰囲気ですよ。マニアにはたまらないだろうな。

しかしあれだな、泥湯がないな。たしかこの露天風呂の30mほど先にあるようですが、この先に道など無さそうだし・・・ということは、あのガレ場のまだ上のほうにあるのか。

普通に考えて、先に泥湯に入るべきでしょ。じゃないと泥成分がついたまま下山しなきゃならんじゃないですか。

というわけでいったん引き返そうと思ったら!まさか!さっきの藪の道がないのである!いや、無いわけはないんだけど、植物に覆われていて入口が見つけられない。

工工エエエ(´Д`;)エエエ工工

ってな感じですよw

さっき入って来たばっかりなのに。うわ、閉じ込められた!ってw

2分探してようやく見つかりましたがね。当たり前のように、やっぱりここだよな、ってなところにありましたわw

さてガレ場に出て上の方に歩いて行くと、おお、ありましたぜ泥湯!これはすぐに見つかりました。別府温泉保養ランドのコロイド湯のような泥湯がありました。


なお黒湯と泥湯の中間付近に小川が流れており、ここにも湯船らしきものがありました。

でもこれは単なる水たまりっぽいです。温泉だとしても川の水がだいぶん入っており、めちゃくちゃぬるい。これはパス。

なお、鶴の湯でお会いしたオッチャンの話によると、泥湯は去年も土砂で埋まったそうです。地元有志の方が掘り返してくれたんでしょうね。見事に復興しておりました。ありがたい。

それにしてもここ、鶴の湯やヘビん湯のように脱衣所なんてないから、服を脱ぐのが一苦労ですわい。一か所だけ、少し大きめの平たい石があったので助かりました。洗面器もないからソフト湯桶を持ってきてよかった。かけ湯を済ませて、いざ入湯!

温度は温いですね。40度ないと思います。そして底に泥が溜まっています。味は忘れてしまいましたが、思っていたよりも酸味はなかったような。臭いは硫化水素臭。

しかし自然のど真ん中で一人で真っ裸になっていると、妙に落ち着きませんな。解放感どころか逆に不安になってきますよ(笑)

景色はいいんですけどね。


そしてここで、不注意により「くまモン手ぬぐいタオル」が湯船にダイブしてしまい、白い生地がライトグレーに染まる有様。なんだかイヤになって来て(笑)、3分ほどで入湯を切り上げ、上澄みの湯を被って身体を拭いていたら、なんとケツの割れ目に泥がびっしりこびりついておりました。くまモンタオル、またしても灰色に染まる!かなわんなぁ・・・ともう一度風呂の中で尻を洗って泥を落とし、またしても身体を拭きつつ、、ふとお湯に目をやると、ん、なんか動いた?

よく見ると、水面に赤いものが数匹、ピクピク浮かんでは沈み・・・ってこれ、赤ボウフラやないかい!そうです、泥の中に生息していたユスリカの幼虫が撹拌されて舞い上がってきたのです。うわぁ、生まれて初めてボウフラと一緒に入浴したわ。しかしよくこんな温度で生きてるなぁ・・・と妙に感動。べつに「汚いもの」ではないので、俺はこういうのは平気なんだけど、苦手な人はとことん苦手でしょうからご注意ください。

しかし、思いっきりお湯の味見したよなぁ(苦笑)

続いて黒湯に戻ります。誰もおらんしフルチンで行ったろかとも思ったんですが、岩場でガレキだらけだから確実に足の裏が出血するだろう・・・ということで、靴とズボンだけ履いて移動。

藪の中を再度踏み分け黒湯に戻ります。今度は迷子にならないように、藪の入口に杖を刺しておきました。

こちらには誰が置いて行ったか洗面器もありましたが、せっかくだから自前のソフト手桶でかけ湯を。先客が埋めてくれただけあっていい湯加減です。湯船の隅っこにお湯のパイプと川の水のパイプが2本あり、これを上手いこと混ぜ合わせて温度調整するみたい。何時間でも入ってられそうです。なおここは泥がない代わりに植物性堆積物がありますよ。上澄みを口に含むと・・・うーん、味は忘れましたけど、泥湯とは若干違った味だったような(そりゃそうだろ)。

で、しばらく入浴していたんですが、2つあるうちの下の湯船に入っていたところ、岩陰から「気付かないほうが幸せなもの」がひょっこり現れました。半茹でになったカエルの死体です。直立でプカプカ浮いております。湯船から出そうと洗面器ですくったら、モロモロに半壊しました。

俺はですね、赤ボウフラはべつに汚いと思いませんけど、ドブネズミやウジ虫、死体やウンコやゲロなどは汚いと思いますぜ。カエルも生きているなら楽しい混浴ですけど、死体は嫌だよ。そんなお湯を味見したんだから一気にテンションダウンですわ。

ということで、温泉&川の水のパイプから汲んだきれいなお湯で身体を洗って入湯完了としました。なお上の湯船には、これも後から気付きましたが、同じく半茹でのゲジゲジが浮いたり沈んだりしておりました。まあカエルに比べりゃマシだけど、これもかなわんですな。野湯/秘湯マニアにとっては、こういうのもたまらないポイントなんだろうか。俺は生きてるフナムシやアリを平気で噛み砕いたり、生きている蜂の子を食うような人間ですが、茹でガエルとの混浴はイヤです(笑)

しかしまあ、いずれにせよ前述の通り、自然のど真ん中で露天風呂に独りってのは、意外に落ち着かないものですね。

さて、これから今来た道を戻るわけですが、藪から抜け出たら家族連れが。お父さんと2人の息子さん。「お風呂は2つあるんですよね?」と聞かれたので、「ええ、ひとつがあの藪の先にあります。もうひとつ、息子さんが立ってるところにあるのが泥湯ですね」と答えたら、お父さんは「そっちは泥湯や、こっち戻っておいで」と息子さんを呼んでました。なんだ、残念。親子して泥を掬っていたら「お父さん、なんかいるで!」「うわ、なんやこれ!」などといい旅の思い出になるのに(笑)

かわいそうだったのはお母さんね。男連中に送れること数十メートル、パンプスでガレ場を登ってきました。

「その靴だと大変でしょ。こんなとこ来るなんて予定外だったんじゃないですか?」「大変ですよ。ほんとにもう、わがままなんだから(苦笑)」

登りよりも下りの方がしんどいだろうなぁと思いつつ、お別れしました。

ゲートまで戻り、今度はわざわざゲートの横から出たら(何故)、杖がポッキリ折れました。ここでお役御免です。思えばこの杖、結構細身だったので歩行の補助としてはほとんど意味のないものでしたが(笑)、藪の中を進むときには草を薙ぎ払って大いに活躍してくれました。そう考えると、三大秘湯を徒歩で回る人は、やっぱりポールがあった方が良いかもね。


参考までに、鍋山の湯の航空写真を載っけておきますね。


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