JAZZ from Nishinomiya

V・プレミアリーグのJTマーヴェラスを応援しつつ、日々の出来事や雑感を語ります。ときどき毒づきます。

君にも見えるウルトラの星

2006年09月24日 02時32分25秒 | 映画/ビデオ/テレビ
少し古いニュースですが。

初代ウルトラマン、一日空港長に 神戸空港

いつの時代もウルトラマンは人気があるんだなぁ。コンセプトやストーリー、そして出てくる怪獣/超獣/星人もみな魅力的だし、なによりもやっぱり、ウルトラマンのデザインは卓越していると思います。赤とシルバーのボディに細身の体型、シンプルな紋様。無駄なものをギリギリまでそぎ落としたようなその体型は、ジャパン・オリジナルと呼ぶにふさわしいと思いますよ。

そしてこちらのニュースも楽しい。

ウルトラ怪獣50頭、銀ブラ 実は10月の人情喜劇PR

考えてみれば、日本ほど怪獣や怪人がいる国もないですよね。ゴジラを筆頭にウルトラ怪獣、仮面ライダーの怪人、もうその他たくさんの怪獣や怪人がウヨウヨしています。一部のマニアにとってはとんでもないパラダイスなんだろうなぁ、日本って。

かくいう俺も、先週TSUTAYAで「帰ってきたウルトラマン」を借りてきました。本当はエースが見たかったのですが、置いてなかった。韓国ドラマ/映画をあれだけ置いてるのにウルトラマンAを置いていないなんて、まったくもって狂気の沙汰です。店舗丸ごとベロクロンあたりに踏み潰してもらいたい。

それはさておき新マン(=帰ってきたウルトラマン)ですが、この作品の魅力は、主人公の名前が郷秀樹(ごうひでき)で、郷ひろみと西城秀樹を足したような華やかな名前なのに、演じる俳優さんの名前は団次郎と一気に地味になるところです。いやそんなところは魅力でも何でもありません。そうですね・・・ウルトラブレスレットをもらうまではメチャクチャ弱くイライラするところとか、あとはナックル星人とブラックキングにリンチにされるところとか、次郎少年は子豚みたいだとか・・・いやなんか視点が違うな(笑)

ちなみに借りたのはDVD第9巻で、以下の4話が収録されていました。カッコ内は登場する怪獣。

33話 怪獣使いと少年
(巨大魚怪獣ムルチ、宇宙調査員メイツ星人)
34話 許されざるいのち
(合成怪獣レオゴン)
35話 残酷! 光怪獣プリズ魔
(光怪獣プリズ魔)
36話 夜を蹴ちらせ
(吸血宇宙星人ドラキュラス)

各話ごとに異なる要素が盛り込まれていて(まあ当たり前か)、なかなか見ごたえがあります。


33話 「怪獣使いと少年」

以前当ブログでも取り上げましたが、テーマは「差別」と「公害」です。川原の廃墟で良(りょう)少年が宇宙人(メイツ星人)をかくまいながら住んでいるんですが、逆に良が宇宙人だという噂が町中に流れます。で、良は迫害されたりするんですが・・・結構描写が残酷なんですよ。特に中学生(高校生?)3人組がメチャクチャでね(笑)。良を穴の中に首まで埋めて泥水かけたり、おまけにそのまま自転車で轢き殺そうとしたり。さらに良がおかゆを作ってたら鍋を足蹴にして、散乱した泥まみれの米を手ですくったらその手を下駄で踏みつけ、良が悔しさのあまり抵抗したら猛犬(シェパードっぽい)までけしかける始末。死ぬって。

酷いのは3人組だけではありません。良が商店街に出てパンを買おうとしたら、パン屋の奥さんに「噂立てられるのは嫌だから他で買ってよ」と言われます。トボトボ帰る良をパン屋の娘さんが追いかけ、パンを一斤差し出します。「同情なんていらないや!」と言う良に対し「同情なんてしないわ、売ってあげるだけよ。うちパン屋だもの」という娘さん。まあ客に対して上から目線なのが多少気になりますが、それでも当たり前のことをごく当たり前に振舞う娘さん。ホッとします。そして「ありがとう~」と手を振る良のポーズが純朴すぎて涙を誘います。しかしこれ以外、まったく明るいシーンがありません(笑)

この後、暴徒と化した市民が良を連行しようと川原に押しかけます。手に手に竹槍やら棒の先に鎌を括りつけた武器やらを持っています。ほとんど一揆のようです。泣き叫び助けを求める良。見かねた金山さん(=メイツ星人が人間に変身した姿)が、排気ガスや排煙で蝕まれた身体に鞭打って廃墟から現われ「宇宙人は私だ~、良くんを自由にしてやってくれ~」と叫び良くんは開放されるものの、金山さんはパニック状態になった警官に2発も発砲され絶命。何の救いもありません。

そして宇宙人が死んだため、彼の念力で閉じ込められていた怪獣ムルチが復活してしまいます。逃げ惑う市民。「早く怪獣を退治してくれ!」と郷隊員に半ば命令口調で頼みますが、心底憤っている郷隊員は「勝手なことを言うな」と動こうとしません。。。

・・・この後のストーリーは面倒なので省略しますが、MATのテーマとしてあまりにも有名な「ワンダバ」(ワンダバダバダバ・・・)をバックに、暗雲立ち込める暴風雨の中で繰り広げられるムルチとの市街戦。いつしかワンダバも消えてしまい、雨風の響きと打撃音のみをBGMに淡々と進行するファイトは、ウルトラマンの無言の怒りを表したものであり見る者を圧倒します。結局カラータイマーが赤になることなく、ムルチは葬り去られてしまいます。

この「怪獣使いと少年」は日本の暗部にスポットを当てたシリーズ屈指の名作として多くのサイトやブログで取り上げられていますが、確かに下手なヒューマンドラマよりもよっぽど考えさせられるものです。怪獣番組なんて、と馬鹿にせず、ぜひ一度実物をご覧になって下さい。

なおこちらのレビューがとてもわかりやすく的確です。直リンすいませんです。


34話 「許されざるいのち」

テーマは「バイオテクノロジー」と「科学者の狂気」。

郷の幼馴染であるマッドな生物学者・水野が、念願かなって「動物でもない植物でもない生き物」を作り出すことに成功します。怖い実験ですね。「許されざるいのち」というのはそのものズバリなわけで、このテーマは現在でも充分に通用するものです(いや、現在だからこそ尚更、というべきか)。ところがこの遺伝子合成生物(レオゴン)は生後数時間も経たずに研究所を脱走。このときレオゴンは制止する水野を弾き飛ばすのですが、あくまでも本能のままに行動しているだけというのがミソ。自分を生んでくれた親を故意に傷つけたわけではないというのが、畜生ながらにも泣かせます。30万円で親殺しを友人に頼んだどこぞのバカ息子に見せてやりたい。結局レオゴンは翌日になって湖で発見されるのですが、そのときはすでに50mほどにまで成長しています。恐るべき成長速度です。

そんなこんなで調査の結果、郷はこの怪物(怪獣)が水野によって生み出されたものと気付きます。「作ったのなら弱点も知っているだろう」と退治の協力を依頼する郷。そしてそれを承諾する水野。しかし土壇場になって水野は研究の結晶であるレオゴンを「やっぱり殺すことはできない」と、湖に入水&レオゴンの元に歩み寄っていきますが、もちろん食われちまいます。

あとはウルトラマンが退治しておしまいなわけですが、科学という名目の下に自身の研究を正当化する水野の歪みきったマッドサイエンティスト魂が、子供番組の枠を超えてリアルです。

なにより悲しいのは、このレオゴン、合成怪獣と銘打たれているものの、じつは怪獣でもなんでもなく、トカゲとウツボカズラという実在の生物を合成し、それが巨大化しただけの存在であるということ。怪獣というより交雑種、百歩譲って怪物というべきか。ですから死んでも爆発なんてしません。MATとともに湖にやってきた水野の姿を見ると鳴き声も甘えたようにおとなしくなったり、姿形は違えどその仕草はまるで子犬のよう(ま、前述の通り、最後は主人を食ってしまうのですが)。人間の手によって勝手に生み出されたレオゴンには何の罪もない。またこれといって街や人間に害を及ぼしたわけでもなく(湖の遊覧船を沈めましたが、多分自衛行為)、ただ「でかくて危険な生き物が湖にいるから退治する」という、とてもやるせないストーリーです。

まあそう考えると、例えばブラックバスの存在ってのも、なんかレオゴンに通じるものが無きにしも非ずですね。勝手に放流して生態系を食い荒らすからという理由で駆除。俺は駆除賛成派であることに変わりありませんが、バスが悪いんじゃないんだよなぁ。

ちなみにレオゴンという名前は、アルファレオン電磁波を使って作り出されたからです。水野命名。


35話 「残酷! 光怪獣プリズ魔」

テーマは「光の科学」でしょうかね?

坂田さん(次郎少年の兄)が水の入ったビニル袋と板ガラスを使ってプリズムの説明をしたり、虫眼鏡の焦点によって紙が発熱・発火したり、あるいはガラスのコップに熱湯を注いだら割れてしまったとか、科学好き少年少女たちの心をグッと捉えて離さない仕掛けとなっています。またプリズ魔に襲われ結晶化した船員が病院のベッドで蒸発するくだりは、光の屈折率の理論を効果的に取り入れています。岡隊員の冷静さがたまりません。

ストーリーは面倒なので省略しますが(笑)、このプリズ魔、アイアンロックスとブルトンと水晶が合体したようなそのルックスと併せ、オーロラとともに現われ奇妙な鳴き声を発するところなどもじつに神秘的。

また光怪獣というだけあって、ウルトラマンがこいつと戦うシーンでは色とりどりの光が次から次へと画面を彩り、万華鏡の如き色世界を堪能できます。

結局、こいつを倒すには絶対零度まで冷却せねばならん、というよくわからないMATの理論に基づいて、球場におびき寄せたところに冷却弾を大量に降らせるのですが、あまりの寒さに隊員が行動不能(というか凍死寸前)になるあたり、作戦前にもう少し考えろよと突っ込まずにはおれません。

最後はサイズダウンしたウルトラマンがプリズ魔の中に入り込み、もがき苦しみながらもスペシウム光線を発射、内部から粉々に破壊します。


36話 「夜を蹴散らせ」

テーマは「吸血鬼」。

これまた面倒なのでストーリーは省略しますが、吸血鬼(実際にはドラキュラスに憑依された鈴村みどりさん=ただし腐敗防止処理を施された死体)役の女優さんがとても美人です。

この女優さんが空を飛ぶのですが、それをMATアローで追いかけるシーンが妙にシュールです。そしてドラキュラスがウルトラマンの右肩にそのデカい牙をズブズブッと突き刺しエネルギーを吸い取ってしまうシーンはとてもエロティック。

なおこの回は、大量にニンニクを食って息がとても臭くなった次郎君が、「ハァーッ」とこちらに向かって息を吐きかけるシーンで終了しますが、その画面いっぱいに映し出される嬉しそうな表情はとてもムカつきます。


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え~最後の方はなんだかよくわからないストーリー解説になってしまいましたが、とても魅力的なDVD第9巻、ぜひぜひ実際にご覧下さいませ(笑)


ちなみに写真は穴に埋められ泥をかけられる良少年。え、テレビがあんなに固執していたブラウン管じゃないって?テレビデオぶっ壊れて買い換えたんです。地デジ対応のちょうど良いサイズの横長ブラウン管が売ってなくて泣く泣く液晶にしました。そりゃブラウン管のほうがきれいですよ(これについてはまた今度書きます)。


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