JAZZ from Nishinomiya

V・プレミアリーグのJTマーヴェラスを応援しつつ、日々の出来事や雑感を語ります。ときどき毒づきます。

ロボット

2005年09月29日 00時41分35秒 | 雑感
覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、何年か前、ASIMOが地下鉄の出入口から階段を上って地上に出てくる、というホンダのTV-CFがありました。ASIMOの後ろからは子供達が追っかけてきて、ASIMOをマネてロボットみたいな歩き方をしたりして、大人達はちょっと意識しつつもサラッと通り過ぎる、なんだかそんな感じの内容だったと記憶しています。

このCFを初めて見たとき、すごく嬉しくなったことを思い出します。

俺の子供の頃、科学図鑑みたいな本には、よく未来予想図のイラストが載っていて、「空を飛ぶ車」や「一人乗りの空飛ぶマシン」とか「チューブの中を高速運行する列車」とかが賑やかに紹介されていました。当時の人が考えた未来ですから、つまり今見ればレトロでちょっとコテコテな感じのメカニカルデザイン。そうですね、ウルトラマンタロウに出てくるようなマシンが満載でした。

そんな中で実用化されたものといえば、じつはあまり多くなく、いまだに現在の科学と工業力では試作すらできないようなものがたくさんあります。

つまり、当時の未来は現在でもやっぱり未来のままで、俺達の心の片隅にある憧憬の景色であるわけです。

ASIMOのCFは、そんな「子供の頃の未来」が、ほんの少しだけど現実のものとなったことを教えてくれました。もちろんそれ以前から、ニュースやプレスリリースなどでASIMOのことは知っていました。でも、CFとはいえ実際に地下鉄の階段を登ってくる「彼」の映像は、不思議なほど街の風景に溶け込んでいて、それでいて新しく、また妙にノスタルジーを感じさせるものでした。

ロボットが一人で街を歩くようになって、でもそれはまだちょっと珍しい存在。マネをしてぎこちなく一緒に歩く子供、意識しながらも素通りする大人たち。

─── 近い将来、街のあちこちでそんな光景が見られるのかもしれませんね。

日本ほど、二足歩行ロボットの開発が進んでいる国はありません。外国でロボットといえば、まだまだ工場の生産ラインに鎮座する工業用ロボットのイメージが強いと聞きます(まあそれも日本製がほとんどなんですが)。日本人が二足歩行ロボット、言い換えれば人型ロボットに、これほど親しみを感じるのは、やはりアニメや漫画の影響が大きいからでしょう。古くは鉄人28号(リアルタイムには体験していないけど)や超合金ロボット、そしてドラえもん、ガンダムなどなど、俺達の周りには、いつの時代もロボットの存在がありました。

そのパイオニアであり、かつ金字塔であるのが「鉄腕アトム」であることは言うまでもありません。兵器でも産業用機械でもない、人間の味方で子供達の友達。主題歌にも出てくる「科学の子」という言葉は、まさにアトムの存在を端的に表わした名フレーズだと思います。「アトムを作りたい!」子供の頃に鉄腕アトムを見て(読んで)、その夢を持ち続けている技術者達がこの国にはたくさんいる。なんだか素晴らしいことじゃぁないですか。

アトムが「アトム大使」という漫画で登場したのが1951年(「鉄腕アトム」としての連載は翌52年、テレビアニメ化は63年)。10万馬力の原子力エネルギーで動くロボットとして登場したアトム。アトムといいゴジラといい、やはり世界唯一の被爆国である日本ならではキャラクターなんでしょうね。このアトムの世界には超特急列車や超高層ビル、テレビ電話などが当たり前のように描かれています。当時の日本には、もちろんこういったものは存在していませんでした。しかし現在、六本木ヒルズがそびえ立ち、新幹線網は東北そして九州にまで延長され、果てには宇宙旅行すら可能となりました。

ちなみにアトムの誕生日(設定)は2003年4月7日。手塚治虫は鉄腕アトムという作品を通じて、一部ではあるかもしれないけど、見事に50年後の未来を描ききったというわけです。その未来感がいかに先見的かつ的確で、そして卓越したものであったか、ただただ恐れ入るばかりです。

もちろんアトムの様な存在は、今となってもやはり遠い未来の話。ロボットが原子力で動き、空を飛ぶ。こんなものが現実のものとなるのはまだまだ先のことでしょうし、そのときは原子力ではなく水素エネルギーが採用されていることでしょう。「鉄腕アトム」という作品の中でも、やはりアトム自体の存在はずば抜けて未来的なものだったんでしょうね。しかしそれが新幹線や超高層ビルと同じ時間軸で描かれていたということは、手塚の科学技術に対する夢や憧れ、そして期待といった様々な想いを、少なからず感じさせてくれるものでもあります。

そんな手塚も予見できなかったもの・・・それはなんだったと思いますか?そう、ちょっと意外かもしれませんが、これだそうです。

科学技術の進化というものは、時に我々人類の存在を遠い彼方に追いやってしまいます。人間のようなロボットの開発が進む中、ロボットみたいな人間を、今の社会はたくさん生み出しています。決して遠くないであろう将来、ロボットの存在が俺達の生活の一部になったとき、俺はなにをやっているんだろう。漠然とした楽しさとともに、なんだか少しばかりの怖さを感じてしまいます。



なんでこんな話をしたかというと、今日、会社で別フロアのとある人が、ものすごくロボットみたいに働いていたからです(笑)



追加補足:
ホンダのサイトにTV-CFのアーカイブがありました。

http://www.honda.co.jp/DoyouhaveaHONDA/tv/
(一番下の「ロボット篇」です)

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