仕事に子育てにと忙しいYさん。
マーヤは事情が分っているかのように、Yさんの指示をしっかり聞いて頑張る。
(Yさんがトレーナーさんゆえ、つかみがOKだからってのもあるんだけど
)
保護され幸せな生活をしているマーヤ。
それだけでも幸せなのに、アジリティを通してマーヤにもっと自信をつけさせて新しい一面を見ようとしているYさん。
そんなマーヤに感じる事はないのだが、保護した子に(初期に見られる)思いあたるふしがひとつある。
まるで全てを悟ってしまっているかのように、新しい飼い主に気を使っているように見える・・・のだ。
最初は緊張しているだろうし、当たり前な状況とも言えるが・・・。
もう10年も前になるが、アメリカのロサンジェルスにトレーニングの勉強に行っていた時の事。
アメリカではシェルター(保健所)がまるでペットショップのように明るく綺麗で(全てなのかは分らないが)それが寄付金で作られていると聞いてびっくりした記憶がある。
その広大な敷地はアジリティのコースなぞいくつも入る位で、実際に躾教室やアジリティ教室が定期的に行われていた。
シェルター出身の犬が多く参加しており、やはりそこのシェルター出身のアメリカン・コッカースパニエルの子が男性とアジリティのレッスンをしていたのがとても印象に残っている。
男性は大人しい感じの方で、コッカースパニエルもまたそんな感じだった。
ただアジリティをしているにはちゃんとしているのだが、それ以外の時は両者とも前を向いているイメージと言えば分るだろうか。
人も犬もそれぞれの事を考えて前を見ている感じに思えた。
「あの子歳いってるんですか?」と聞いたと思う。
歳は若いようだが、まだ保護されて間もないと言う事だった。
アジリティの最中も犬の気を引く為か、缶にオヤツのクッキーを入れたものをカラカラとふって誘導していたのが印象的だった。
以前、アジリティのレッスンをしていた中で何頭か保護したと言う子を見ていたことがある。
全員とは言わないが一頭、やはり時々あられもない方を見ている子がいた。
アジリティも頑張っていたし、明るいそぶりがないわけでもない。
色々聞いていると、その子以外に保護犬を一時預かりしているのでいつも家に見知らぬ犬が出入りしていると聞いた。
「自分も同じ境遇だったと分るのか、どこか不安思っている気がする」と飼い主さんが言っていたのを良く覚えている。
それもありその子とだけの時間を作りたくて、アジリティを始めたと言っていた。
つきも最初の頃「お邪魔させて頂いて恐縮です」と言った雰囲気だった。
あられもない方は向いていなかったが、遠慮しているオーラ満載だった。
ただ逆につきはいつもどこにいても、じぃっと私の事を見ていた。
最初に飼われていた人と違う人の家になにも分らず連れて来られた事を理解しようがない・・。
その内帰れるのかと思っているのかもしれない。
つきは私で4人目だったので(一時預かりも入れて)この人をどう解釈したら良いのだろうと観察していたのか。
或いはまた別のところに行くのかな~~~と思っていたのか。
保護された経緯がもし哀しい経験の末だとすると、その子はまた同じような事にはなりたくないと遠慮するかのように自分をさらけ出せないでいるのではないか・・・。
時間は色んな事を解決してくれる。
つきのガン見は今はもうない。彼女と暮らしてもう10年近く・・・。
ただ、ソファやリビングに居る事は殆どなくいつもハウスで寝ている。
三つ子の魂と言うのか、保護されていた若く多感な時期にいつもハウスだったのでその習慣は結局なくならなかった。
コッカースパニエルの子は、最後の方では随分明るくなったような気がした。
アジリティも上手くなっていたし、男性を見上げているのが増えたような感じだった。
「アジリティってコミュニケーションを取るにはとってもいいのよ」とホームステイ先の女性が言っていたのはその通りだと思う。
帰る前に見れたのは、カラカラふっていた缶カラが無くなっていた事だった。
マーヤも最初の頃は自信がなさそうにしていたそうだが、Yさんやご両親によってすっかり明るく元気な子に成長している。
アジリティももっともっと上手く出来るようになる事、うけ合い。
保護犬の気持ちを分るなんて、簡単に言えない。
でも感じた事。
犬には本当に人の感情と同じなんだな・・・と思う。
犬の思いを分ってあげて、答えてあげられる飼い主にならなくてはならないなぁ。
こんな風に思う事がまず、大事なんじゃないかと思う。
あのコッカーの子はどうしているかな。
コッカーを見ると必ず思い出してしまう。
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