らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

337.STRAWBERRY FIELDS FOREVER

2006-10-08 | 12.THE BEATLES
【STRAWBERRY FIELDS】

ボクのいい曲の番になると
    「実験的」なことをやっちゃうんだ
                   by JOHN LENNON


 1966年秋。喧騒とした夏が過ぎ、人影が消え去った砂浜のように、
ビートルズを取り巻く環境も一段落した・・・。そんな時期である。
そんな頃、'STRAWBERRY FIELDS FOREVER 'はジョンによって作られた。

 1966年11月、ジョンがケンウッドの自宅でこの曲のデモ・テープを
録音した。この音源は、"ANTHOLOGY 2 "で聴くことができる。キーは
最終リリース・ヴァージョン(「B♭」)よりも1音半も高い「C#」
である。そして、レコーディングは約3週間かけて慎重に進められた。
最終のミキシングの段階の、12月も終わろうとしていた頃、ジョンが
「過酷な要求」をレコーディング・スタッフに提示した。それは一度
「捨てた」第7テイクの前半と第26テイクの後半をつなげて、「最終
ヴァージョン」を作ろうというものであった。この2つのテイクは、
キーも違えばテンポも異なる。「いくらなんでも、それは・・・」と
いう雰囲気の中、ジョンはジョージ・マーティンに「だいじょうぶ。
キミならきっとうまくやれるさ」。

 ところが、ほぼ不可能と思われた「夢」を、ジョージ・マーティン
率いるスタッフは、なんと実現してしまったのである。第7テイクの
テンポを上げて第26テイクのテンポを徐々に落としながらリミックス
すれば、両者が「つながる」ことを、彼らは突き止めたのである。

 しかし、それは「テープ」を単純に「つないだ」だけではなかった。
実は第7テイク自体も編集されているのだ。'Always know sometimes
think it's me'で始まるヴァースの前にある'Let me take you down'
というリフレインの箇所を、'Living is easy with eyes closed 'で
始まるヴァースの後につなぎ、そのつないだリフレイン部分の途中で
第26テイクにつなげたのである。ややこしい。複雑だ。頭が痛い。

 'STRAWBERRY FIELDS FOREVER 'は"SGT PEPPER'S~"に収録されるは
ずであった。当初、そのコンセプトは「4人の少年時代」であった。
しかし、この曲とポールの'PENNY LANE'がキャピトルの「圧力」で、
両A面シングルとして1967年冒頭に急遽リリースされたことにより、
そのコンセプトも同時に消え去ってしまったのである。

 この曲は当初、驚くほどシンプルな編成であったという。ジョンも
ジョージ・マーティンもそれなりに満足していた。しかし・・・。何
かが違うということで、試行錯誤が始まったのである。1曲に対して
3週間以上も時間をかけレコーディングするのは、この曲が初めてだ。

 ジョンの詩作はもちろんのこと、その「表現」が実に素晴らしい。
彼の独特なサイケデリック・ヴォーカルも然りだが、繰り返し登場す
る'Let me take you down'というフレーズにおける"DOWN"の歌い方に
それが感じられる。彼は"DOWN"を「流して」歌うのではなく、二つの
音節に分けて歌っているのだ。これにより、この曲は聴き手を「未知
の音楽の世界」へ導く。それは、「時代を超越し永遠に消えることの
ない、扉の向こうの世界」である。

 'STRAWBERRY FIELDS FOREVER 'のプロモーション・フィルムは衝撃
的であった。ビートルズとともにリアル・タイムで時代を追ってきた
方にとっては、当時どのように感じられたのであろうか。4人のヒゲ。
特にジョンについては、「ジョンってビートルズやめちゃったんだね。
だって、違う人がいるもん」なんて思っていた人が多かったそうだ。

 夏が過ぎ、少しのインターバルの後に出てきた彼らは、もはや4種
類の楽器だけで音を出す「ダンス・ホール・バンド」ではなかった。
溢れんばかりのアイディアを実行し、多くの楽器を使いこなし、スタ
ジオで実験を楽しむ「クリエイティブな芸術家チーム」へと成長した
のである。

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4 Comments

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先進性 (タケチャン)
2006-10-08 14:17:08
サージェントペパーもこのストロベリーフィールズからスタートしたのですよね。

サー・ジョージ・マーチンもサージェントペパーでまず思い出すのは、ストロベリーフィールズだといってましたね。収録されてないのに。



ストロベリーフィールズとペニーレーンの両A面シングルは、イギリスでNo1になりそこないました。ラブミードゥよりあとには無かったことですが。

一番の原因はこの2曲があまりにも先進的すぎたことかも知れませんね。ビートルズは遥か先にいっちゃってファンもとまどちゃったのかな。

返信する
>先進性 (らば~そうる)
2006-10-09 21:02:03
to:タケチャンさん



この2曲が"SGT."に収録されていたら・・・

なんて思ってしまいます。



リアルタイムのファンは

最初、どのように「ストロベリーフィールズ」を

受け止めたのでしょう。

あの風貌の変化とともに♪
返信する
門の写真 (mensurazoirri)
2006-10-11 00:57:12
一生に一度は行きたい「聖地」ですね。
返信する
聖地 (らば~そうる)
2006-10-12 00:49:06
to:mensurazoirriさん



「聖地」。まさに♪

なにか引き寄せられるものがあります。

アビーロードの横断歩道でも写真取りたいっす。
返信する

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