383．薬師丸ひろ子 「スロー・バラード」

【SINGLE 「メイン・テーマ c/w スロー・バラード」】

　
　薬師丸ひろ子さんが登場したのは、もうかれこれ30年ほど前になる
でしょうか。デビュー作は1978年の『野性の証明』です。高倉健さん
との共演でした。そしてそれ以降は「角川映画」と言えば薬師丸さん
薬師丸さんと言えば「角川映画」でした。彼女は女優として、歌手と
して注目を浴びました。当時のわたしはスクリーンの中の薬師丸さん
よりも、レコードから聴こえてくる薬師丸さんのほうにインパクトを
感じました。それはなぜでしょうか。

　ここで、歌手としての彼女が世にリリースした曲をデビュー作から
ざっと振り返ってみましょう。

　「セーラー服と機関銃（夢の途中）」　　　1981.11.21リリース
　　作詞：来生えつこ　作曲：来生たかお　編曲：星勝

　「探偵物語」　　　　　　　　　　　　　　1983.05.25リリース
　　作詞：松本隆　　　作曲：大瀧詠一　　編曲：井上鑑

　「メイン・テーマ」　　　　　　　　　　　1984.05.16リリース
　　作詞：松本隆　　　作曲：南佳孝　　　編曲：大村雅朗
　
　「ＷＯＭＡＮ”Ｗの悲劇”より」　　　　　1984.10.24リリース　　
　　作詞：松本隆　　　作曲：呉田軽穂　　編曲：松任谷正隆

　こうして見ると、実に偉大なアーティスト達が彼女に曲を提供して
きたのがわかります。それ自体驚くべきことなのですが、彼女の歌に
わたしがインパクトを感じた大きな理由は「声」と「歌い方」の素晴
らしさだったのです。「声」は、現在で言う「癒し系」でしょうか。
軽くよどみの無い透き通った声の性質は、「財産」と言えるでしょう。
また、そのよい素材をうまく活かしたのが「歌い方」です。歌唱では
基本的なことですが、彼女の場合「母音」の発声方法が自然でとても
よいと思います。

　デビューから一連の流れでリリースされた上記の曲の中で、わたし
がいちばん好きな曲は、1984年に公開された角川映画『メイン・テー
マ』の同名の主題歌・・・ではなく、Ｂ面の曲です。その曲は・・・

　「スロー・バラード」。

この曲は、『メイン・テーマ』の中でも挿入歌としても使われていま
した。とても強く印象に残ったので、さっそく自宅でレコードを聴き
ながらイージーリスニング風に編曲し、演奏＆録音してみました。
　ネットで曲をお聞かせすることは現在はできませんが、いつか実現
しようと思っています。

　「スロー・バラード」は、「スローなブギにしてくれ」のヒットの
直後、南佳孝さんが作曲しました。作詞は松本隆さん、編曲は大村雅
朗さんです。キーはＤｍ、ベルのような音のアルペジオでイントロが
始まると、もう何とも形容のしがたい切なさが広がってきます。

　熱い視線　投げていたでしょ
　気付かないと思っていたの　あんなに遠いから

　薬師丸ひろ子さんは、歌います。そして映像がイメージされます。
海辺のテラス。曇り空の広がる海からの強い風の中で、誰かが奏でる
ピアノの音が響きます・・・。

　遅いバラードの　緩やかな音符のように
　そうよ　ゆっくりと知り合えば　それでいい

　そして、クライマックス。この曲の「メッセージ」が心に響きます。

　二人でいたって　孤独（ひとり）は消えない
　孤独（こどく）を足しても　愛にはならない

　・・・あれから、２０余年。このメッセージは、わたしの心の底に
脈々と流れ続けています。

　いつかバラードの　やわらかな和音のように
　そうね　肩寄せて生きれたら　それでいい

　こんな人生って本当にあるのですね・・・。

◇◆◇　追伸　◇◆◇

　薬師丸ひろ子さんの「スロー・バラード」を聴いてみたいと、いく
つかのコメントをいただきました。2006.11.23現在、"YOU TUBE"では
コンテンツが存在しないようです。"Google"で検索したところ"MP3 "
で音源を提供しているブログがありましたので、ここにお知らせいた
します。

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