【ALBUM “YELLOW SUBMARINE SONGTRACK”】
束の間の休日、心の栄養の補給が必要です。やはり「ビートルズ」
ということで‘Yellow Submarine’を聴き直してみることにしました。
1966年にリリースされた“REVOLVER”(ステレオ)のミックスでは
なく、1999年リリースの“SONGTRACK ”のミックスです。「時間の海」
を越えて、どのようなサウンドに生まれ変わったのでしょうか。
“SONGTRACK ”の全体的な特徴として、音像がとても鮮明で立体的
になっていることがあげられます。特にヴォーカルやコーラスには、
「空間」を感じることができます。さあ、‘Yellow Submarine’です。
■1コーラス
“so we sailed”の部分から、「波の音」のSEが入ってきます。
“REVOLVER”では、一貫して「センター」に定位されていましたが、
“SONGTRACK ”では、レフト→ライト、ライト→レフトと3回くらい
往復しています。実に臨場感溢れるミックスです。
■2コーラス
ブラスのあとのヴォーカルのミックスに特徴があります。ヴォーカ
ルとコーラスがレフトとセンターに振り分けられています。1回目の
コーラスでは、リンゴのヴォーカルが大きく聞こえるトラックがレフ
ト側に、ジョージのハーモニーが大きく聞こえるトラックがライト側
に分けられています。しかし、次の瞬間「驚異的なワープ」が発生す
るのです。2回目のコーラスでは、左右が反対に入れ替わっているの
です。この移動は1966年当時の技術では実現できなかったものです。
■間奏
“REVOLVER”では「交信の音声」はセンターに、SEはすべてセン
ター~ライト、あるいはセンター~レフトに分割してポジショニング
されていました。しかし、“SONGTRACK ”では「音声」をセンター・
レフト・ライトと自由に動かすことによって、「交信」らしい雰囲気
をさらに創出しています。
■3コーラス
ヴォーカルに呼応する、ジョンの「交信の合いの手」に特徴があり
ます。“REVOLVER”では“everyone of us”から入っていましたが、
“SONGTRACK ”では“life of ease”から入ってきています。この点
は「モノラル」といっしょなのですが、“SONGTRACK ”ではこの声に
ディレイが施され、定位もライトからセンターに移動しています。
エンディングのコーラスは圧巻です。リンゴのヴォーカルを中心に
コーラスがレフト・ライトと広がっているのです。これは単純な広が
りではなく、一種サラウンド的な広がりであるため、単純にセンター
とライトにポジショニングさせただけの“REVOLVER”に比べ、深みが
増しています。
◇◆◇
技術の進歩は、作品が30年~40年前に創作された時代へリスナーを
タイム・スリップさせてしまうのですね。いや、あたかもついこの間
レコーディングされたかのようです。
古くて新しい・・・のですね。
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“SONGTRACK ”のリミックスで好評だったのは”ALL YOU NEED IS LOVE”と”NOWHERE MAN”で、不評だったのがオケとのずれを指摘された"ELEANOR RIGBY"と"LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS"でしたね。
‘Yellow Submarine’は“SONGTRACK ”のリミックスで前ミックスでサントラとしては唯一物足りなかった曲調が他の曲と比べても遜色ないレベルになったと書かれてありました。
でもジョージマーティンは"ELEANOR RIGBY"と”ALL YOU NEED IS LOVE”のリミックスには不満があるのかあえて”LOVE”でオケとのずれを修正した"ELEANOR RIGBY"のリミックスとマーティン版リミックスの”ALL YOU NEED IS LOVE”をだしましたね。
どうであれ2トラックで録音された物以外は古くて新しい・・・もありかと。
“LOVE”の制作過程でそのようなエピソードが
あったのですか。(オドロキ)
とても面白く読ませていただきました。
ありがとうございます。
あらゆる分野で驚くべき技術革新が進んでいますが
レコーディングの世界も然りです。
特にビートルズの場合
「原曲」が「ミキシング」によって
いろいろな姿に変化する典型的な例ですね。
この点にとても興味を感じます。
だから、何回聴いても新たな発見があるような・・・
そんな新鮮さを感じます。