らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

317.RAIN

2006-09-18 | 12.THE BEATLES
【"PAPERBACK WRITER / RAIN"のプロモーションクリップ撮影風景】

年老いたライオンのような声だ by JOHN LENNON

 'RAIN'のリズム・トラックは、どのように録られたのであろうか。
この頃、ビートルズは既に演奏を先に録音し後からヴォーカルを重ね
る手法を取り入れていた。そしてさらに、'PAPERBACK WRITER'で確認
できるように、ベースをさらに分離し録音していたのである。従って
'RAIN'の「ベーシックな」リズム・トラックには、ドラムとギターが
レコーディングされたのである。

 さて。'RAIN'におけるジョージのSGであるが、キーGの曲の中で
6弦の開放弦よりも一音低い「D」音が聞こえる。これはどういうこ
となのだろうか。「1.'ACT NATURALLY 'のようなドロップDチュー
ニング」「2.'YESTERDAY 'のようにすべて1音下げたチューニング」
が考えられる。しかしとある文献によれば「リズムトラックは回転数
を上げて録音した」とあるので、実はキーAで演奏したのではないか
と推測できるのである。

 現在では当たり前のように創り出せる「効果」を、当時はあたかも
トリックを使ったようなレコーディング技術を駆使し、試行錯誤しな
がら創り出していったのである。この技術により'RAIN'ではジョンの
ヴォーカルのトーンを変化させることや多くのサウンド・エフェクト
を導き出すことに成功したのだ。

 エンディングのジョンのヴォーカル

 'sdaeh rieht edih dna nur yeht semoc niar eht fi'

は冒頭の

 'IF THE RAIN COMES THEY RUN AND HIDE THEIR HEADS'

の箇所の逆回転操作によって産み出されたことは有名なハナシである。

 'RAIN'は、ビートルズがリリースした最初のサイケデリック・ソン
グであるといえよう。しかしながら'PAPERBACK WRITER'のB面として
リリースされた影響もあってか、チャートの数字がふるわなかった。
それは、当時のファンが'RAIN'のような「サウンド」を受け入れるだ
けの準備ができていなかったためであろう。おおかたのファンはA面
のようなポップなサウンドを期待していたのではないだろうか。

 シングルリリースされた当時はモノラルであったが、1969年にステ
レオ・ヴァージョンがリリースされ、この曲のサイケデリックな効果
がより高まったといえる。ジョンのヴォーカルは左へ、コーラスは右
へ、中央にジョージのディストーションのかかった乾いたSGとポー
ルの卓越したラインをもつベース、そしてリンゴの「ベストな」ドラ
ム・・・。ジョンの電気的な効果を得たヴォーカルとジョージのSG
の音が絶妙に呼応し、この曲のもつサイケデリックなイメージをいっ
そう高めている。

 最後にもうひとつ。もしも'RAIN'が"REVOLVER"に収録されていたの
ならば、"REVOLVER"のコンセプト・トータル性がさらに明確なものに
なっていたのではと考える。そのコンセプトとは。そう、「ビートル
ズのサイケデリック時代の黎明」である。その流れはもちろん、あの
"SGT PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND"につながるものだ。

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