池波正太郎のチャンバラ物ばかり読んでいると、こういった小説が非常に新鮮に見える。
時代は1544年、美濃の国主の土岐次郎は、斎藤道三に追い出され、越前朝倉に逃れる。
越前と尾張の織田信秀は、土岐次郎を助け美濃を攻める。
美濃にかかわる戦国の歴史小説なのだが、少し視点がかわっていいる。
いくさをする側の物語でなく、この戦争のため右往左往する土豪の侍や農民たちの苦しみが書かれているのだ。
「那古屋小判金」の舞台は、愛知県一宮市浅井町極楽寺狐穴?
尾張の地だがすぐ北を流れる木曽川を渡ればすぐ美濃となる。
美濃攻めとなれば、尾張は必ずここへやってくる。
領主の伊佐治太郎右衛門は斎藤道三に息子を人質に出してはいるが、尾張につくべきかか美濃につくべきかか大いに迷う。
如何すれば自分が安堵出来るか? ギリギリの判断・決断を迫られるわけだ。
優柔不断の態度をとって、どちらのもつけず、息子は磔にされ、二人の叔父を殺してしまう。
結局、領地を一向宗徒に譲り渡してしまう。
那古屋小判金、奇妙な密使、天照大神宮へ寄進奉る、村を助くは誰ぞ、待ちわびて、帰蝶
六編の短編が収録されているがどれもテーマは同じ。
戦争によって迫られるギリギリの決断! それによって生じる庶民の苦しみ悲しみ!
誰が、何が、自分たちを助けてくれるのか? 救われる道は何なのか?
最後だけ違うかな、甲賀の忍者が出てくる。
1546年、和睦によって美濃に戻った土岐次郎を、斎藤道三は甲賀忍者に命じて毒殺する!
道三は、娘の帰蝶を土岐次郎に嫁がせるが・・。帰蝶は、のちの濃姫か?
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