古代中国の、夏王朝から春秋時代までの事を書いた短編集
夏王朝 BC.2100~1600年頃、殷(商) BC.1600~1030年頃、周(西周) BC.1030~770年頃
【地中の火】 夏王朝の初期、中国で最初に弓矢を作り、射撃の名手であった后羿(こうげい)が、側近の寒浞(かんさく)とともに天下を掌握する物語。寒浞は、一時的に夏王朝を滅ぼすが、その遺児により倒される。
【沈黙の王】 言語障害を持った殷(商)の王子・子昭(のちの武丁)が、ことばを求めて旅立つ話。艱難辛苦の末、説(えつ)によりことばを得る。大樹の中の祠で祝詞をあげる美女を救ったり、また救われたりするのが面白い。殷に帰ったあと、中国で初めての文字(甲骨文字)を作る。
【妖異記・豊穣の門】 西周が倒れ春秋時代に入る時期の話。周の幽王は、目も眩むほど美女・褒姒(ほうじ)を溺愛し、正妃をないがしろにするようになる。正妃の実家、申后が幽王を攻める。周のお家騒動だ。鄭公・友は、幽王を助けようとするが戦死、友の子・掘突(くつとつ)が、鄭国を再建する。
【 鳳凰の冠 】 これが一番私好みだった! 晋の貴族・叔向(しゅくきょう)が徳義を重んじ、朝廷に仕える話。叔向の母は、賢い女だが気の強い妖女。叔向は優しい妻を求める。
この小説には、美女・妖女が多く出てくるが、私には子昭の妻となった婦好、叔向の妻・季邢が良い!
何事も、占いで吉凶を判じて決める時代。中国の昔は面白い!
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