にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

野球はプロだけのものじゃない~プロ・アマ関係3題~

2007-06-19 06:46:02 | 言わせてもらいます・球界に苦言提言
 このところプロ・アマ関係をめぐる話題がちょこちょこと出てきていますので、今回一気にまとめて見てみたいと思います。

1. 巨人が提案 野球にも「天皇杯」を(スポニチ・2007年6月13日)

 「天皇杯」の提案については、すでに世界日本ハムさんのエントリに詳しい批判があります。特に日程面での問題点と改善案について、皆さんもお読みになられればと思います。
 その上で、私がこの提案について付け加えたいのは1点。
 端的に言えば、プロに都合のいいことばっか言いすぎだと。
 まず当初提案では、参加チームは16とのこと。このうち、NPB12球団+独立リーグ代表2チームで14チームになってしまい、アマの枠は大学・社会人からそれぞれ1チームずつのみしかありません。
 アマからしてみたら、これでは付け足し扱いされていると思うのが自然です。
 天皇杯というからには、これはサッカーの大会を元に構想したのでしょう。ですが、サッカーの場合トーナメントに出場する機会はプロのクラブ以外にも広く開かれています。高校生がJ1チームを破るチャンスだってあるわけですし、事実その寸前まで行った例もあります。
 それに比べると、この構想がプロ以外にとって果たして魅力があるのか、大いに疑問です。その上、大会開催時期とされるのは、高校球児にとっては夏の甲子園、社会人にとっては都市対抗の時期です。それらを無視してまでプロの余興に付き合わせるのは、あまりにも虫がよくはないでしょうか。
 プロとアマの垣根を払うというお題目自体は非常にいいものです。しかし、それがプロがアマを振り回すことの正当化に使われていいことは決してないはずです。
 本気でプロ・アマの交流拡大を望むなら、まず自らのエゴを批判的に見つめる方がよっぽど大事です。

 つぎは直接プロ・アマに関係するわけではないのですが、関係がないではない話です。

2. ロッテが四国IL球団買収を検討(スポニチ・2007年6月18日)

 まず、NPBのチームがマイナーを拡大するというのは賛成です。また四国リーグを愛する者として、NPB球団の経営参加によって財務面の課題が小さくなるのであれば、これまた喜ばしいことだと思います。
 とはいうものの、では危惧を感じないかというと、そうでもありません。まず、ロッテ自体が赤字なのに買収して球団運営ができるのかというのが1つ。もう1つは、このような動きが拡大することで弊害は出ないかという点です。
 現時点ではロッテという1球団が四国ILの球団買収を構想しているわけですし、これが果たして実現するかどうかは分かりません。ですが、仮にこれが実現したとして、さらに一定の成功を収めれば、他球団も似たような動きに出ることでしょう。
 ただそうなった場合、独立リーグの各チームをプロ12球団が奪い合う形になります。現時点で独立リーグには四国・北信越合わせて8チームしかありません。となると、12-8=4球団はどうするのかという問題が当然出てきます。
 それまでに新たなリーグなりチームなりができればいいんですが、そううまくいくかどうかは疑問です。あるいは、プロ主導でリーグを作ってしまうというのも手かもしれませんが。
 ともあれ、この話はまだ構想段階ですし、内容もまだつかみどころがない感があり、その分私自身も漠然とした印象や疑問しか感じていません。今後の展開を待ちたいと思います。

 さて次は、私も毒舌ばかり吐くわけではない、という話題です(笑)

3. 日本の野球全体の発展へ 阪神・野崎球団取締役(共同通信・2007年6月13日)

 阪神ファンを辞めてみると、よくもまぁこんなイタい人間の集まりの中にいられたものだと、我ながら妙な関心をすることがあります。もっとも、昔は私自身がイタい珍ヲタ(あえてこの言葉を使いましょう)だったわけですが(苦笑)
 ただ、そんな中で唯一といっていいほど評価ができるのが、この野崎球団取締役です。彼は2004年の球界再編に抵抗する際も手腕を発揮しましたし、いうなれば阪神球団最後の良心といっても過言ではありません。
 で、その野崎さんへのインタビューが上の記事なのですが、私もこの発言内容には非常に賛成です。特に私が評価したいのは、

プロ側はお金を掛けずに、アマ側に選手を育ててもらっている。だからこそドラフトで選手を獲得した際、育成料として一定の金額を当該の連盟、学校などに贈るようにする。これなら「裏」ではなく「表」のお金です。


という部分です。
 これまでに私が再三書いたように、表にできないプロからアマへのカネの流れというのは決して是認できるものではありません。それは癒着や腐敗を生む土壌を育てるからです。
 ですが、では一切のカネの流れをなくすべきかというと、そうではないはずです。(プロが全く選手育成をしないわけではありませんが)アマ側が自らの負担で選手を育成している以上、プロが選手を獲得する際に、一定のルールの下で育成した側に見返りを与えるのは理に叶ったことです。
 念のために申し上げますが、これは今までのいわゆる「裏金」や「栄養費」を公認せよと言うのでは決してありません。そもそも、これまでの不透明なカネの流れでは、育成を行った当事者に応分の見返りが与えられる保証は、どこにもないのです。
 カネの流れという点ではアマ内部の問題も多々あるでしょうし、これについてはアマ側の努力を必要とします。ですが、まずはプロからできることをするという提案自体は、十分評価に値するのではないでしょうか。

 話は変わりますが、実は先週の土曜日、生まれて初めて社会人野球を見てきました。都市対抗野球大会の兵庫地区予選です(観戦記は遠日公開します)。
 それで感じたのですが、野球というスポーツは、プロだけのものではないのです。
 何を当たり前のことを……そうお思いのプロ野球ファンの方も少なくないことでしょう。ですが、そこをあえてお考えいただきたい。われわれファンも含むプロ野球側の人間は、これまで無意識のうちにプロの都合のみを考えてはいなかっただろうか?と。
 球界改革に関する論議はこれまでも盛んでしたし、私も何度となく拙論を述べさせていただきました。
 ですが、その際に期せずしてプロからのみの視点からにとらわれ、高校・大学・社会人などの多様な球界について、十分に考えてきていなかったのではないだろうか?
 そのような疑問が、私の頭に湧いてきたのです。特に1.のような提案を改めて読むと、私の疑問はいっそう強まるわけです。一方で、そのような疑問があるからこそ、3.の野崎相談役の談話を評価したいという気持ちもあります。
 日本球界は多様です。多様さの中身は時代と共に変わるでしょうが、これからも日本球界は多様であり続けようとするでしょう。
 そして、その多様さこそがこの国の野球の財産ではないか……そういう思いを、今の私は抱いております。


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22 コメント

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かんそう (右打ち職人)
2007-06-19 08:01:08
1)これは実現しないでしょう。第一やっている時間がないですから。本家?天皇杯も開催時期を含め見直しを求める声が出ています。
今行われている交流戦が、オリックスの好調、そしてホークスの不調(涙)などによってカップ戦的色彩を持っているような気がします。

2)要はマイナーリーグをもっと拡大したいんでしょうね。
独立リーグの数はもう少し増えそうですし、その中でNPB球団と提携を持ったチームが存在しても別に問題にはならないと思います。
ただ「ロッテ、あんたんとこウン十億の赤字抱えているんちゃうの」という突っ込み+疑問は消えませんが。

3)関東の少年野球チームには「ファイターズ」と名がついたチームが多いと聞いたことがあります。
日本ハムがバットなどを提供した経緯があるとかで。
こういうものを進めていけばいいのでしょうか。


最後になりましたが「多様さこそ財産」
激しく同意です。
ホークスも福岡でメガダンやってるおねいさんから、大阪で南海ホークスの歌を歌うおっさんまで、多種な人が一つの旗の下に集うからこそ、面白いのだと自負しております。
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右打ち職人さん (ルパート・ジョーンズ)
2007-06-19 08:31:31
1) やはり難しいでしょうね。やればやったで面白いだろうとは思うのですが、無理して開催するほどの価値も感じませんし。
それに右打ち職人さんがおっしゃることとも関係しますが、交流戦をカップ戦化して付加価値を上げることの方が、よほど面白い様な気もします。

2) 独立リーグがうまく増えれば、問題のかなりの部分は解消するでしょうね。
あるいはクラブチームとの連携を考える球団も出てくるかも知れませんが、そうなると社会人との兼ね合いが問題となるでしょうし。
それにしても、球団の財務というのは、実に複雑怪奇なもので……

3) おそらく野崎さんの念頭にあるのは、特に高校・大学選手を指名したときに、出身校になんらかの見返りを与えるということではないでしょうか。
プロ側にとっても、不明朗な資金を出さずに済む分、かえって経費節減になるという面もあると思いますからね。

>多様さ
ホークスさんは球団移転以来の蓄積がありますが、ひるがえってうちの場合は、まだまだ過渡期ですね。
答えらしきものが出るには、まだちょっと時間がかかりそうな按配です。
せめてその答えが可能な限りファンを満足させられるよう、私も考えている最中ではあります。
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返答すまっしゅε=(゜ロ゜*) (アパッチ)
2007-06-19 09:41:41
>野球天皇杯開催

今やってる交流戦、もしくはオープン戦を調整すれば開催可能かと…。







>千葉ロッテ球団、石毛リーグから1チーム買収か!?

これは難しいでしょう。浦和に2軍があるし、石毛リーグの選手の保有権等がややこしいですな。





>阪神球団野崎代表の動き

大いに評価すべき。阪神球団に関わらず、こういうのは巨人も西武もただでさえ悪評が絶えないんだから罪滅ぼしの為にもやるべき。



>珍ヲタ

大丈夫!今や野球場にはこういうキャラやネタが望まれているのです!かく言うワタクシもそんな1人ですゾ!
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アパッチさん (ルパート・ジョーンズ)
2007-06-19 12:11:38
天皇杯は、要するにアマを引き込みたいという一部球団の思惑なのでしょう。
ただ、今のままでそううまくいくかどうか。別にうまく行ってほしいとも思いませんけどね。

四国ILは、プロ他球団との調整ができるかどうかが大きな課題でしょう。
個人的には、四国ILの財務基盤が向上するのであれば、賛成したいところです。ただ、赤字球団によって財務がよくなるというのもヘンな話ですが……

野崎さんは1球団の利害だけでなく、大局的な視点で球界を見ることができているように思います。で、その視点に立って、阪神がどうあるべきかを考えた結果がこれでしょう。
提言内容自体は、すでに各地のブログ等で見たようなものではあるのですが、これが球団経営側から出てきたというところを特に評価したいと思います。

>>珍ヲタ
いや、それだけはご勘弁を(苦笑)
でもって、アパッチさんも私がこの言葉で想定しているキャラではないと思いますし。
別に誰がどの球団をどう応援しようが勝手なのですが、少なくとも私は、もうかつてのようなトラキチに戻るのはご免被りたいです(^^;;)
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ルパート・ジョーンズさんこんにちは、TBありがとうございます (あさぎや)
2007-06-19 12:59:16
色々な話がありますねー

野崎氏の意見はうまく中庸を保っていて好感が持てますね。制度を若干見直さなくてはならないでしょうが、ぜひ導入してほしいドラフト/FA改革案です。



「エンペラーズカップもどき」構想は、出始めが北京五輪のアテ馬なのであんまり共鳴できないんですよね。学生アマチュアにトーナメントの連戦を今以上に強いるのも……



最後に千葉ロッテ・マリーンズと四国アイランドリーグの件。まだ構想段階でなんともいえませんが、私は基本的に歓迎したいですね。……だって“地元のチームが潰れてなくなる”より遥かにいいでしょう?
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トップは重工ですか? (jimmy)
2007-06-19 16:38:10
どうもこんにちは
>天皇杯
巨人はわかってない。アマ側はこんな試合メリットないですし、こういう花相撲より普段の大会・リーグ戦のほうが何倍も(ゼロに何掛けてもゼロですが)重要です。やるとしても一線級は勿体無くて投げさせないですよ。それでもやりたいのでしょうか?
野球界全体を考えてる風に装っても、実際はハンカチ人気を当て込んで、というのが本音でしょう。アマは怒った方が良い。
私はアマもプロも見ますが、こういう大会は見る気ないですね。アマを引き立て役にして盛り上がろうってどこまで腐ってるのか。

>ロッテ,阪神
よくわかんないですが、気持ちは買いたいです。野球界全体を考えてるっぽいですし。
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石丸くん発見(>w<) (ナショ坊☆)
2007-06-19 22:59:04
明石他(笑)では大変お世話になりました。
ありがとうございました。
お会いできてうれしかったです。

私はもうバリバリの社会人オタ(爆)でして、
最近はプロ野球には疎いです(汗)

天皇杯は時期悪すぎですね。
都市対抗と夏の甲子園はプロ野球より歴史も長く伝統ある大会です。
都市対抗のために社会人の選手はすべてをかけています。
それこそ生活のすべてを。
甲子園は皆様ご存知でしょうですしあえて述べません。
提案された方はそれをわかっていらっしゃるのかしら…。

私的には、まずは神戸ダービー(サーパスvs三菱重工神戸)とか、
阪神のファームとの交流戦を定期化していただければ十分です。
湘南と日産自動車の試合みたいに。
それが各地に広がればいいなあと。
天皇杯構想はまだまだその先でもいいんじゃないですかねー。


四国アイランドリーグもまずはリーグ自体の活性化が先かなあ。
これから定着していこうというのに、
ちょっとこういう動きは怖いですね(^^;;)


野崎氏の意見はとてもいいと思います。
球団の上の方にもっとたくさんこんな方がいらっしゃるといいんですけどね。
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野球好き (千葉笑市民)
2007-06-19 23:37:58
いつも野球に対しての真剣なお話、胸に沁みます。以前、新庄選手が語った「野球くささ」発言。原点は簡単でも、実現は難しい。 少年のような純粋さがあればこそ大人も皆「野球」にのめりこめるのでしょう。 What is essential is invisible to the eye. 
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感想です (ぶりゅーわー@ソレイタだ木田)
2007-06-19 23:46:48
1.野球天皇杯

なんか、これを聞いて私は日本大相撲トーナメントや勝ち抜き優勝戦を連想してしまったのですが・・要するに花相撲の野球版ということで、評価はできませんね。中途半端にアマや独立リーグを参加させるのなら、最初からプロのみのトーナメントにすればいいことではないかと。

2. ロッテが四国IL球団買収を検討

これは、どうなんですかねえ。ルパートさんのおっしゃるようにマイナーリーグの拡大や財務面の改善に寄与するのなら喜ばしいことだと思います。しかし、プロ球団の青田刈りの場になるかもという危惧もあります。私も北信越リーグがありますから、決して対岸の火事ではないと思いますね。

3.野崎さんの意見

これは珍しくバランスの取れた意見ですね。阪神にもこういう方がいたかと。とくに、FAとドラフトの提案は一考に値すべき意見です。

4.まとめ

個人的にいつも思うのはプロアマを含めた野球界全体がどうあるべきなのか、全体像を考えて、提示すべき人がいないかなあということです。プロアマを統括する日本野球協会があって、その中でプロとアマの組織があるように組織を再編できるような実行力がある人材がいれば、劇的にいい方向に変わるでしょうし、プロアマの関係ももっと自然に交流できるようになっていくと思います。
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天皇杯って (めたか)
2007-06-20 00:32:05
ご無沙汰しています。

まず、天皇杯について。
前にも書いた事があるように思いますけど
野球の天皇杯って既に存在していて、
その「既得権」を持ってる側が手放す訳がないじゃんか、
(野球 天皇杯でググってみて下さい)
という意味で、現実性ないですよね。
こういう提案をする人って、野球界の現状、知らないんじゃないのって
前も思った事ですけど。

あと、野崎さんの提案ですけど。
まぁ、そんな酷い意見ではないし、それはそれで1つの考え方だって思うんですけど・・・

でも、プロは「金だけ出せば良い」
ってもんでも、ないでしょうって事も、思うんですよねー。

もっと、プロ自身が野球文化を耕す事を
しても良いんじゃないのって思う訳ですよね。
それは別に、選手育成って面だけじゃなくて
他にもやれる事があるんじゃないのって意味で。

それは、ルパートさんが指摘してる
アマ野球も盛んにって事をもっと広げて
「草野球」を盛んにするって方向も、
そういう支援ってのも、ありなんじゃないのって。

そういう意味で、プロのやれる事って
まだまだあるんじゃないのって思うんですよ。
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