goo blog サービス終了のお知らせ 

にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

NPBのドラフト指名凍結制度拡大に疑問の声

2008-10-08 07:52:40 | 言わせてもらいます・球界に苦言提言
■ 日本帰国後に指名凍結=米挑戦の田沢投手も-プロ野球実行委(時事・2008年10月6日)

 まずお断りしたいのですが、この件については以前のエントリを書いた後に考え方が変化しています。
 というのは、エントリを書いた時点では、NPBのドラフト指名を拒否してMLB入りした選手への「締め出し」に(効果については懐疑的とはいえ)異論はありませんでした。
 ただ、アルビレオさん(事情があって名前を明記させていただきます)の指摘を受けて、いささかやり過ぎかな、特に永久追放はやっちゃイカンだろう、と考えるようになったのです。
 で、そんな折にNPBから出てきた措置が上の記事のもの。今の私の考えからすれば、どう考えてもやり過ぎです。
 「現行制度で高校生が社会人入りした場合3年(大学生は2年)の契約禁止期間を設けており、この理念を準用し」とありますが、ならばまったく同様に、指名後3年なり2年を凍結期間にすればいい話です。
 もちろん、それでは抑止策としての効果はほぼゼロに近いでしょうが、それなら期間を延長する方が、退団後に凍結期間を設けるよりは、少なくとも私の感覚ではまだ納得がいきます。
 とはいえ、期間の延長にせよ、NPBが今目指すような退団後の指名凍結制度の導入にせよ選手の流出阻止という以上の正当性に疑問を持たざるを得ません。
 言ってしまえば、自分たちの業界の都合という以上の理由付けが乏しく(ってか、ない?)、NPB以外の球界や一般世論にアピールするような正当性が主張されていないのです。
 これで他を、特にプロ以外の選手を納得させられるのか、はたして疑問を持たざるを得ません。このような制度を導入したとして、NPBが単なる悪者になって、それで終わり、というだけになる懸念もあります。
 案の定ではありますが、アマ球界を含め、この制度には疑問の声が上がってきました。それらの中にも疑問を感じるものがないではありませんが、以下それぞれ見ていきますと、

■ <田沢投手>NPBの「アマ規制」決定に「決意は揺るがぬ」(毎日・2008年10月7日)

 田澤自身の反応ですが、そりゃまぁそうでしょう。これでしっぽを巻くようでは、物笑いのタネにしかなりませんし。
(もっとも、後に続く選手への影響を考えて節を曲げるという可能性もないではありませんが)
 一方で、非常に不可解なのがアマ球界の反応。

■ アマ選手の海外流出防止策、田沢への適用に社会人側が反対(読売・2008年10月7日)
■ <日本野球連盟>NPBの「アマ規制」、田沢への適用に反対(毎日・2008年10月7日)

 制度自体に反対すると思っていたら、出てきたのは「田澤に制度を適用しないでほしい」という要望。
 田澤以外にMLB志望の選手がいたとして、このような制度が導入されれば、彼らにとって利益にはなりますまい。
 一方、先の記事からすれば、当の田澤自身は「決意は揺るがない」と言っているのです。であれば、田澤への適用について反対する必要もないはずです。
 にもかかわらず、制度導入ではなく、田澤への適用について特に反対する理由はなんなのか?
 田澤にだけ、NPBへの道を残しつつMLB行きを実現させなければならない、何らかの理由でもあるのか、非常に訝しく思わずにはいられません。
 アマ側は「今回の規制は、田沢の表明後に決めたもので、田沢にあてはめることには反対だ」(毎日前掲記事)と主張しています。
 ですが、制度自体はドラフトに関するものです。そして、今年のドラフトはまだ開催されていません。となると、今決めた制度を田澤に適用することが不当とは言い難いのではないでしょうか。
 そう考えると、やはり問題は制度の中身になるはずです。それにもかかわらず、田澤だけ網をくぐらせようとする背景がなんなのか、非常に気になります。
 あと、プロ・アマのやり取りに関してはこんな記事もあるんですが、その回答に関する報道が見つかりません。一体どうなったのか、これも気になります。
 ほかにも、大学野球・高野連・プロ野球選手会からの反応も出ていますが、肝心なところが抜けてはいないでしょうか?
 そう、MLBからのコメントなり反応が入ってこないのです。日本での報道、MLBのサイトを調べてみたのですが、なんの報道もなければ、見解も示されていないのです。
 実際のところ、ポストシーズンのこの時期に、日本の1選手のことで(少なくとも表立って)ゴタゴタやってるヒマがないんでしょう。
 あるいは、日本国内のことに(少なくとも表立って)首を突っ込むのは控えたいのかも知れません。だとすると、非常に見識のあることだとは思いますが。
 ただ、今のMLBの態度が田澤への関心の度合いを示していると見ることも、不可能ではありません。
 日本国内のゴタゴタに嫌気がさしたMLBが「はしごを外す」としたら、今後どうなるのか、言葉は悪いですが、見ものです。

 これらの反応(無反応)がある中で、はたして新たな凍結制度は導入されるのか。
 繰り返しになりますが、やはりこの制度には、正当性や実効性が全くと言っていいほど感じられません。
 この辺は産経の論評記事がうまくまとめていますし、私自身の考えもこれに近いものです。
 特に、田澤の問題がきっかけとなって、日米球界の人的交流が難しくなるということは、どちらにとっても利益にはならないと思います。ルールの整備は当然必要ですが。
 日本とアメリカ、互いの国に渡ることで、互いの球界にいい意味でのインパクトを与え得る人材が、どちらの国にもいると思います。今回の問題からはややそれますがやはりこの選手とか。
 そういう人材の交流をいかにして実現するか。長期的な利益を生む制度を作るのであれば、この視点が欠けてはならないのです。


最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ルール自体の是非とは別に、後だしはダメでしょう (アルビレオ)
2008-10-08 08:50:41
>今年のドラフトはまだ開催されていません。となると、
>今決めた制度を田澤に適用することが不当とは言い難いのではないでしょうか。

ドラフト会議はドラフト制度の一部に過ぎません。
アマの現場では現時点での制度を前提にして身の振り方を考える選手がいて、周囲もそのつもりで動いています。
あまりいいたとえではないですが「まだオリンピックは開催されていない」と、直前になって選考ルールを変えるようなものなんですよ。
あるいは学生が進学先を決めた後で入試制度を変えるというか。「試験は始まっていないから」なんて理屈は通らないですよね。

「田澤だけでも対象外に」というのも、そういう後だしルールの前例を作ることに対する抵抗なのかもしれません。
プロへの接触が制限されていることもあって、アマの指導者を相談相手として選ぶ選手も多いだろうから、人生を左右しかねない責任もあるので他人事ではないのでしょう。
実はそれ以外にも強く利害の絡む理由があるのかどうかはわかりませんが。
返信する
アルビレオさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-10-08 20:43:09
確かに、NPBのやってることは泥縄としか言えませんし、
見ていて格好のいいものとはとても思えません。
ただ、現実としてこういう制度変更がまかり通ってしまう例は多々あるわけで、
私自身そんなもんだと思ってしまうんですよ。
こちらも適切な例かどうか分かりませんが、
以前外国に滞在していた時の話で、2年前に夏時間を廃止していたはずが、
「夏時間を復活します。1週間後から夏時間です」
と突然言われた経験があったりで[;;0J0]
返信する
入団・退団 (アパッチ)
2008-10-08 21:32:40
新しい人材に対しての一種の制裁とも受け取れる今回の日本プロ野球機構の対処法ですが、なんとも・・。

あと、こうするならいっそ、退団する関係者に対してもなんらかの要綱をつくってみたらとも思ってます。
華々しく引退試合やらセレモニーをやって送り出して、翌年何事も無かったように違うチームでユニホームを着ているという光景をみると、「じゃあ、あの引退試合はだれの引退試合だったんだ!」と少し憤りに近いものを感じる次第です。
返信する
Unknown (M・K)
2008-10-08 23:50:26
「世間の常識が通用しない」と陰口を叩かれる球界ですが、
その球界であっても、遡及法は許されないと思います。
とはいえ、まだメジャー球団との契約が成立していないのも事実ではありますが。

ところで、田沢投手のやろうとしていること(=NPBを経由せずに直接MLBに入団すること)の
どこが悪いのかを説明する声が無いのは不思議です。
(たとえ、タンパリングがあったとしても、
 それはタンパリングだけが問題視されるべき。)

あるのは「球界の人材の海外流出を防ぐ」の一点張りの印象を受けます。
返信する
アパッチさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-10-09 06:56:13
>退団する関係者に対してもなんらかの要綱をつくってみたら
考えてみると、任意引退の場合の縛りがありますね。
野茂がなんだかんだで日本に帰らなかった原因の1つが、これでしょうし。

>華々しく引退試合やらセレモニーをやって送り出して
ぱっと思いついたのが中日川相コーチの例ですが、
彼の場合はジャイアンツに問題があったんですよね。
実際、引退するとは言っても、現役に未練が残る選手の方が多いんでしょうなぁ。
返信する
M・Kさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-10-09 07:10:45
遡及法が許されないのはまったく同感なんですが、
問題は、これが遡及しての制度適用に当たるかどうかだと思います。
似たような件で判例があると、この辺は分かりやすいんですけどね。
実際、NPBの泥縄ぶりはひどいとは思うんですが、
「ドラフトはまだだからいいもんね」という発想と、
「規定じゃないから破ってもいいもんね」という発想では、
私の眼には、どっちもどっちとしか映りません。
にもかかわらず、この件は田澤が善玉、NPBが悪玉になりつつあるわけで、
私個人の意見としては、それが非常に納得いかないですし、
田澤や新日石に対して胡散臭さを感じる原因にもなってます。
(あと、タンパリングがあったかどうか調べもしないアマ側もアレですが)

ともあれ、
>「球界の人材の海外流出を防ぐ」の一点張りの印象
というのは私も感じますし、そうなった時点でNPBの負けでしょう。
イメージ戦略で田澤や新日石(+MLB)の思うような展開に乗せられて、
それに気づいているのかどーかも怪しいですし、まったく情けない限りです。
返信する
私には難しいことはわかりませんが・・ (ちゃも)
2008-10-09 16:20:50
いち個人が就職(社会人だから転職?)するだけの話
なのに、なぜNPBやらどこかの委員会やらが
ワーワー言っているのでしょう?
誰にだって仕事先を選ぶ権利とか自由とかあると
思うのですが。(採用されるかどうかは別として)
ドラフト制度にも似たような疑問を持っています。
結局はNPBが自分達の都合の良い制度を作っている
としか思えないんです。
無知ゆえの発言かもしれません。
そこのところはお許しください。
返信する
ちゃもさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-10-10 01:42:28
実は、その疑問は非常にもっともなことなんです。
実際、ドラフトが選手個人の選択権を制限する面は否定しきれませんし。
それでもプロ野球や他のスポーツでこの制度が廃止されない背景には、
戦力均衡とか、選手獲得競争の行き過ぎを防ぐとかの面があると思います。
で、そういうメリットがある以上、私自身もドラフト制度は擁護したいんですが、
田澤の騒動が明らかにしたように、やはり制度として不足はあるんですよね。
その辺をどう解決するのか。NPBを見ていると、どうも期待薄ですが(苦笑)
返信する