にわか日ハムファンのブログ記念館

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〔2011夏 東北・北関東の旅〕第2部(9):日本海北上、のち南下

2011-10-07 19:49:44 | さすらいブロガー旅情編
 酒田駅からは秋田行の電車に乗る。途中の羽後本荘から分かれて矢島までを結ぶ由利高原鉄道に乗るためだ。



 やってきたのは、東北定番のステンレスの電車。これから4日間、嫌でもこの形式の電車に多く乗ることになるのだ。
 電車は快調に進む。途中上りの列車と行き違いで止まることもあるが、あくまでダイヤ通りに進んでいく。
 1時間ほど経ち、羽後本荘が近づいてきた。そろそろ降りる支度を始めた矢先、駅でもないのに突然電車が止まった。何事かと思ってみると、前方の踏切でのトラブルだそうだ。
 トラブル?しかし、運転席越しに踏切を見ても、まったくおかしな気配がない。確かに列車用の警報は作動しているが、車やバイクが立ち往生してるでもなければ、人が立ち入ってもいない。
 おそらく、無理な横断をした車か何かが遮断機の竿に接触したか何かなのだろう。警報さえ止まれば何の問題はないようにも思える。
 しかし、安全第一が使命の乗務員はそうは考えない。あくまでも踏切の問題が完全に解決しなければ再出発はできないのだ。
 車掌が線路に降り、遮断機の様子を確認する。その結果を運転士が無線で報告し、指示を仰ぐ。
 すると、向こうから一両のディーゼルカーが走ってくるのが見える。向こう、ということは羽後本荘駅だ。そして、ディーゼルカーが走る線路は、私が今いる羽越本線ではない。

―由利高原鉄道!!

 たった一台(多分)の無謀な車のために、私は列車を乗り逃がしてしまったのだ。

 結局踏切トラブルは難なく解決し、9分遅れで羽後本荘に到着した。私のほかに、中年の男性が一人憤懣やるかたないという表情でぼやいている。彼も私と同じく列車を乗り逃がしたのだ。
 もっとも、私の不満は別のところにあった。ローカル線は列車本数が少ない。また、少ない列車どうしで乗り継ぎができるように、列車同士が接続するようダイヤが組まれているところが多い。
 この場合で、ある列車―仮にAとしよう―の到着が遅れたとしよう。Aと接続するはずの別の列車Bが、ダイヤ通りに、つまりAの到着を待たずに発車してしまった場合、Aの乗客はBに乗れなくなる。
 とすると、Aの乗客は次の列車を待つために、1時間、2時間、あるいはそれ以上待つ羽目になる。最悪の場合、その日の列車自体がなくなることだってある。
 なので、ローカル列車は接続する列車が来るまで発車を遅らせることがままある。今回もそうなるものと予想していたのだ。
 にもかかわらず、由利高原鉄道の列車は定刻通り発車してしまった。
 もちろん、接続待ちは乗客が強制できるものではないし、乗客にその権利はない。あくまで鉄道側のサービスだし、由利高原鉄道に文句をつける気もない。
 ただ、30分、1時間遅れというのならまだしもと思うと、残念な気持ちがあった。
 もちろん、あとの列車に乗るという選択肢もある。先程の男性は、そうするつもりのようだ。
 しかし、私の場合そうしてしまうと、今夜宿泊する予定の新潟まで行けなくなってしまう。ここまで来て無念ではあるが、ただ引き返さざるを得ないのだ。



 上りの電車を待つ間、羽後本荘駅前を一周してみた。登頂目前で下山を選んだ登山家の気分だ。



 ホームに戻ると、ほどなく酒田行の電車が入ってきた。車内は高校生・大学生ぐらいの若者でいっぱい。徒労感に満ちた状態で、彼らの活気にあてられるのは辛い。
 ただ、彼らは途中の象潟(きさかた)で降りて行った。これから花火大会があるのだそうだ。とたんにガラガラとなった車内。少しだけだが気分が落ち着いた。



 ところが、電車は女鹿という駅で停車した。普通だから停まって当然だと思われるかも知れないが、本来この駅は通過の予定である。行き違いの列車が遅れているので臨時停車することになったのだ。
 女鹿駅は他の駅とは異なり、普通列車もほとんどが通過する。手元の時刻表で調べたところ、停車する列車は下りが昼に1本、夕方に1本、上りは朝6時台と7時台に1本ずつあるだけだ。
 そんな駅に電車が長く停車するというのはめったにないことである。乗客の中には写真を撮り始める人が何人も出てきた。同好の士、ということだろう。私は、言うまでもない。
 すると、とある同好の士に声を掛けられた。「珍しいものが見られましたね」まったくだ。ただでさえダイヤの乱れで酷い目に遭わされたのだ、そうでも思わないと、気分的にも損だ。
 電車は結局10分ほど停車。貨物列車と行き違ってから発車した。これで女鹿のホームに降りられればいうことなしだったのだが、そこまで求めるのは我儘というもの。



 9分遅れで酒田に到着。乗りかえる列車の発車時間まで50分近くある。こういう時間のロスさえなければ由利高原鉄道にも乗れたかも知れないのに……いや、今更愚痴っても仕方がない。
 せっかく時間があるので、夜食の調達に出る。駅前には呑み屋が多いのに食料品店の類がなく、あちこち歩き回る羽目になったが、なんとかコンビニを見つけて調達成功。旅先に来てまで味気ないとか言わない。



 酒田駅に戻ってみると、先に発車するはずだった鼠ヶ関止の列車がまだ停車中。聞くところでは、大雨の影響でダイヤがガタガタになっているのだそうだ。実際、特急も普通も軒並み数十分遅れになっている。
 私が乗るのはこの後の村上行だが、せっかく待ってくれたのだから、途中まではこれに乗せてもらおう。
 ちなみに、酒田から村上・新潟方面は遥か昔に電化されているのだが、普通列車は一部を除いてディーゼルカーになっている。今年だけ節電目的で、というわけではなく、以前から経費節減のためにそうなっている。



 こんな中吊り広告を見つけた。大河ドラマ「風林火山」が放送されたのは4年も前だというのに、今でもGACKTが主役の祭りがおこなわれているのだ。人気の根強さとGACKTの律義さ、両方に感心した。



 鼠ヶ関行きは酒田を31分遅れで発車。そこから巻き返して、途中の鶴岡に着いた時には20分遅れになっていた。
 その鶴岡で列車を降りることにした。といっても、この時間なので駅の中にいるほかない。夏だからいいが、これが冬なら寒くてたまらないだろう。
 鶴岡といえば、戦後の名曲「雪の降るまちを」の元となった街。凍てつく冬の夜、一人で列車を待つ時にこの唄が聞こえてきたら、寒さより寂しさで凍りついてしまうに違いない。



 相変わらずダイヤは乱れている。列車の到着時間は遅れているし、到着する順番も入れ替わっている。そんな中、村上行の列車が18分遅れで到着した。遅れ自体は縮まっているが、私は不安になっていた。
 村上では新潟行の最終列車に乗り継ぐ予定だが、接続時間はダイヤ上では21分。もし遅れが再び拡大したら、乗り逃がすことになる恐れがある。そうなれば、村上駅で夜を明かす羽目になる。
 ただでさえ羽後本荘で煮え湯を飲まされたばかりである。どうしても悪い方向に考えが向かう。しかし、車掌氏に尋ねたところ、列車が遅れても村上では新潟行に接続するとのこと。
 考えてみると、新潟ではさらに新宿行の夜行に接続していて、それを当て込んだ乗客もいる。なのに、もし接続できないとなれば、それこそ大騒ぎだ。さすがにJRもそれは避けたいに違いない。まずは車掌氏を信じよう。



 はたして、われらがディーゼルカーは20分遅れで終点村上着。新潟行の電車の発車時間前に着いたのだ。難なく新潟行に乗り込むと、間もなく発車である。
 そして23時30分、本日の最終目的地新潟着。疲れる旅であった。かえすがえすも由利高原鉄道に乗れなかったのが無念だが、何か策を考えるしかない。

【本日の旅程】飯坂温泉→福島→郡山→福島→仙台→小牛田→鳴子温泉→酒田→羽後本荘→酒田→鶴岡→村上→新潟


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2 コメント

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ガクト (瑞浪男)
2011-10-08 14:29:00
その後に別の謙信役もいたのに根強いですね。
熱心なファンに支えられてますね。

ファンといえば飯坂温泉ラジウム玉子を思い出しました。先月東京に出張したとき帰りに新幹線でのつまみ用に何かと思っていたら、デパートでそのラジウム玉子に再会。会えるとは思っていなかったので2パック買いました。車内では2個食い、あとは持ち帰り。
これもファンに支えられているのだろうと思いました。
飯坂温泉はラジウム温泉ではないと思いますが(温泉=ラジウムという認識だったのか??他にも自称ラジウム温泉が関東にいくつか存在します)
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瑞浪男さん (ルパート・ジョーンズ)
2011-10-08 20:28:17
ファンの根強い支持と、それに応えるGACKTの双方あってこそのイベントですね。

>飯坂温泉
先ほど当地で撮った写真を見返してみたら、「日本最初のラジウム発見の地」
という記念碑がありました。
温泉自体はラジウム泉ではないようですが、関連はあるみたいです。
ちなみに記念碑は下のリンク先の右側で、「卵」が載っているのが興味深いです。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/7a/ea715a559f9f6ee6336b5e7d0089b187.jpg
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