バス停近くの市場で食料と酒を調達し、バスターミナルに戻ると、ほどなく沿岸バスがやってきた。
残念ながら、まったく痛さのない普通のバスであった。そして観光バス仕様で、トイレはない。中で酒を飲むには不安があるが、とにかく乗車して、ターミナルを出発した。
バスはいったん留萌市内を回る。途中で高校生がわっと乗車してきて、一気に席は埋まった。いよいよ酒どころではない。
市街地を離れると、バスは海沿いの国道をずっと走る。家並が途切れると海岸が顔を出す。山側には盛り土のようなものがあり、国道に沿って続いている。廃止された国鉄羽幌線の跡だろうか。
乗客は三々五々降りていく。一方乗車する人は、鬼鹿一区、鬼鹿三区というバス停でいたぐらい。バスは見る見る空いていく。まぁ、いいだろうと、酒と肴を開ける。
日本海に日が沈み始める。閑散としたバスから、さらに上平、苫前と乗客が降りて行く。
海からの風が吹き付けるオロロンライン。冬はさぞ強烈なことだろう。
その風を利用して、風力発電所が各地で建設されている。低木と草の広がる土地に、群を抜いて高い風車がいくつも並んでいる。
羽幌町内に入る。乗客は既に数名しか残っていない。市街地には「オロロン鳥」ウミガラスの里とあちこちに掲げられている。絶滅が危惧される鳥である。
バスは羽幌高校で高校生2人を乗せた後、羽幌バスターミナルに入り、頭から乗降ホームに突っ込んで止まった。ここで乗務員交代のため2分停まった後、バックしてターミナルを発車した。
すると突然車内でヒーローインタビューという声。何事かと思ったら、ラジオでスタルヒン球場でのインタビューが流されたのだ……あれ、今日試合なかったよな?
調べてみたら、先の火曜日、14日の試合でのインタビューということだが、それでもあまりにも脈略がない。不思議に思っていると、STVラジオのファイターズ関連の番組だったようだ。
ずっとバスに乗っているとヒマだろうし、運転する側も、音か何かの刺激があった方が、かえって安全かもしれない。
それにしても、あらためてファイターズの道内での人気を実感した、というのは何度目だろう。ああそれなのに、それなのに。
太陽はこの日最後の輝きを見せた後、急速に衰えて沈んでいく。
日本海に沈む夕陽。字面だけでも絵になるが、やはり実物は、よい。
そして日は沈み、辺りは一気に夜となる。19時過ぎ、遠別に到着。残る乗客のうち1人が降りて、最後は私1人になる。
「トイレはいいですか?」急に運転士に聞かれてハッとした。そういえば、もう2時間半もこのバスに乗っていたのだ。
ただ問題はなさそうなのでその旨伝えると、バスはそのまま発車。市街地を過ぎ、たまにすれ違う車以外は何もない、暗い丘を越えて走っていく。
そして天塩町で、既に漆黒と化していた日本海と別れる。長いバス旅にも終わりが見えてきた。
終点幌延駅に着いたのは、夜の8時前。そのすぐ前に、バスはスーパーの近くを通っていた。
まだ開いていれば夜食が買える。バスで通った道を走って引き返すと、はたしてスーパーは8時の閉店間際。急いで買い物を済ませる。
駅前に戻り、予約していた民宿に入ると、トナカイが出迎えてくれた。
明日はいよいよ最果ての地に向かい、そこから一気に南下する。
【2日目】北見→旭川→深川→増毛→留萌→幌延
残念ながら、まったく痛さのない普通のバスであった。そして観光バス仕様で、トイレはない。中で酒を飲むには不安があるが、とにかく乗車して、ターミナルを出発した。
バスはいったん留萌市内を回る。途中で高校生がわっと乗車してきて、一気に席は埋まった。いよいよ酒どころではない。
市街地を離れると、バスは海沿いの国道をずっと走る。家並が途切れると海岸が顔を出す。山側には盛り土のようなものがあり、国道に沿って続いている。廃止された国鉄羽幌線の跡だろうか。
乗客は三々五々降りていく。一方乗車する人は、鬼鹿一区、鬼鹿三区というバス停でいたぐらい。バスは見る見る空いていく。まぁ、いいだろうと、酒と肴を開ける。
日本海に日が沈み始める。閑散としたバスから、さらに上平、苫前と乗客が降りて行く。
海からの風が吹き付けるオロロンライン。冬はさぞ強烈なことだろう。
その風を利用して、風力発電所が各地で建設されている。低木と草の広がる土地に、群を抜いて高い風車がいくつも並んでいる。
羽幌町内に入る。乗客は既に数名しか残っていない。市街地には「オロロン鳥」ウミガラスの里とあちこちに掲げられている。絶滅が危惧される鳥である。
バスは羽幌高校で高校生2人を乗せた後、羽幌バスターミナルに入り、頭から乗降ホームに突っ込んで止まった。ここで乗務員交代のため2分停まった後、バックしてターミナルを発車した。
すると突然車内でヒーローインタビューという声。何事かと思ったら、ラジオでスタルヒン球場でのインタビューが流されたのだ……あれ、今日試合なかったよな?
調べてみたら、先の火曜日、14日の試合でのインタビューということだが、それでもあまりにも脈略がない。不思議に思っていると、STVラジオのファイターズ関連の番組だったようだ。
ずっとバスに乗っているとヒマだろうし、運転する側も、音か何かの刺激があった方が、かえって安全かもしれない。
それにしても、あらためてファイターズの道内での人気を実感した、というのは何度目だろう。ああそれなのに、それなのに。
太陽はこの日最後の輝きを見せた後、急速に衰えて沈んでいく。
日本海に沈む夕陽。字面だけでも絵になるが、やはり実物は、よい。
そして日は沈み、辺りは一気に夜となる。19時過ぎ、遠別に到着。残る乗客のうち1人が降りて、最後は私1人になる。
「トイレはいいですか?」急に運転士に聞かれてハッとした。そういえば、もう2時間半もこのバスに乗っていたのだ。
ただ問題はなさそうなのでその旨伝えると、バスはそのまま発車。市街地を過ぎ、たまにすれ違う車以外は何もない、暗い丘を越えて走っていく。
そして天塩町で、既に漆黒と化していた日本海と別れる。長いバス旅にも終わりが見えてきた。
終点幌延駅に着いたのは、夜の8時前。そのすぐ前に、バスはスーパーの近くを通っていた。
まだ開いていれば夜食が買える。バスで通った道を走って引き返すと、はたしてスーパーは8時の閉店間際。急いで買い物を済ませる。
駅前に戻り、予約していた民宿に入ると、トナカイが出迎えてくれた。
明日はいよいよ最果ての地に向かい、そこから一気に南下する。
【2日目】北見→旭川→深川→増毛→留萌→幌延
トナカイごめん……