■ 「鳴り物応援」禁止取り消しの訴えは却下(スポニチ・2010年1月28日)
と、被告側の得た「成果」が見出しにされています。
で、被告側に近いメディアの報道になると、
■ 応援不許可は裁量内 中日私設8団体に名古屋地裁判決(中日・2010年1月28日)
と、スポニチに近い見出しになっています。
どういう事件でもそうですが、対立する当事者がいる場合、双方の言い分を聞いて判断することが大事になります。どちらか一方に近い言論だけを聞くと、その事件に対する見方が偏ってしまいます。
ですが、ことこの事件に関しては、このエントリを書いてる時点で中日新聞が一番詳しいうえに、原告のコメントまで載っているというので、かなり参考にせざるを得ないという状況で[;;0J0]
また、もう一方の当事者である応援団側がウェブサイトで判決に対する見解を出してくれればいいのですが、現時点ではまだ出ていません。
というわけで、ここでは他の報道を参考にしつつ、一定の注意は払いながら、中日新聞の記事を中心に見ていくことになります。
さて、この裁判は応援不許可と球場出入り禁止(入場券販売拒否)という扱いを不服として、ドラゴンズ私設応援団が訴えたものです。
昨日出た判決内容について、各報道を総合すると、
・ 原告は民事訴訟法上の団体となる要件を欠いており、当事者能力を有していない。
・ 応援不許可取り消しは却下。応援を許可するかどうかは球場の裁量内。
・ 原告のうち22人は観戦中に問題行動を起こしておらず、入場拒否は不当。
となります。判決文を見なければ断定はできませんが、これを見る限り、原告側敗訴である可能性が非常に高いようです。
応援団メンバーの方からすれば、この結果には納得がいかないでしょう。実際、先ほどの中日新聞を見る限り、控訴する方向のようです。
一方、被告側の対応は分かれています。NPBは控訴する方針を早々と表明しましたが(ただしその理由は不明)、ドラゴンズは判決について評価しています。
とはいえ、原告側も被告側も不満の残る内容で、この裁判が高等裁判所に移ることは避けられない状況です。
そして、第三者である私からすれば、判決としてはこうならざるを得なかったのかなとは思うものの、裁定としてはイマイチだと感じています。
先程の中日新聞では、判決内容として「応援の方法によっては、球場の秩序を乱すことがあり得るため、許可するかどうかは主催者が自由に決定できる」と示されています。
私自身はいわゆる「鳴り物応援」には肯定的ですが、上記の点は認めなければならないでしょう。
実際、ドラゴンズの応援団に限らず、過去各地の球場で様々なトラブルが生じたことを考えれば(直近では去年9月末の千葉マリンが好例です)、主催者に必要な規制を行う権利を認める必要があります。
この判決内容は一見厳しいようですが、応援や観戦のあり方について、応援する側の自省を促すものとして受け止めた方が良さそうに思います。
一方、暴力団との関係については、むしろ関係が事実かどうかが一番のポイントになるべきでしょう。
また、仮にそのような関係があったとして、それでメンバー全員を規制できるのかも争点となるべきです。
これらの点については、報道された判決内容ではほとんど触れられておらず、なんとも言いようがありません。もう少し詳しい情報があればいいのですが、残念です。
ただ、これはあくまで「応援」に関する話です。応援に加わらなければ観戦してもいいという考え方は、(賛否はとにかく)理論上は成り立つわけですし、裁判所もその考え方を採ったわけです。
もっとも、これで納得しろと言われても原告は当然できないでしょうし、この考えを基に観戦できなかった「被害回復」を命じられても、球場の安全を司る側は承服しがたいとは思います。
そんなわけで、理屈としてはあり得るけれど、両者の不服を収める裁定としてはイマイチだな、というのが、この判決に対する私の感想です(もっとも、裁判所がそのような裁定を下す場なのかは疑問となり得ますが)。
ただし、「当事者能力」に関する内容は気になります。政府の「法令データ提供システム」で確認したところ、民事訴訟法では当事者能力について、次のように定めています。
(原則)
第二十八条 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。 (法令データ提供システム・2010年1月29日閲覧)
ここからは、多数決による意思決定を当事者要件として導き出すことはできません。
可能性としては、過去の判例等でこの要件が示されていたか、報道のピントがずれてたかでしょうね。
とはいえ、詳しくない私からすれば、なんとも疑問を感じてしまうのですが、どうなんでしょう?
なにより、判決文そのものがあればいいのですが、判決を間接的にしか知りないため、隔靴掻痒という面は否めません。
そして、こういう時に法律や裁判の知識がないのは苦しい_| ̄|○
どなたか詳しい方、ぜひフォローをお願いします。
と、被告側の得た「成果」が見出しにされています。
で、被告側に近いメディアの報道になると、
■ 応援不許可は裁量内 中日私設8団体に名古屋地裁判決(中日・2010年1月28日)
と、スポニチに近い見出しになっています。
どういう事件でもそうですが、対立する当事者がいる場合、双方の言い分を聞いて判断することが大事になります。どちらか一方に近い言論だけを聞くと、その事件に対する見方が偏ってしまいます。
ですが、ことこの事件に関しては、このエントリを書いてる時点で中日新聞が一番詳しいうえに、原告のコメントまで載っているというので、かなり参考にせざるを得ないという状況で[;;0J0]
また、もう一方の当事者である応援団側がウェブサイトで判決に対する見解を出してくれればいいのですが、現時点ではまだ出ていません。
というわけで、ここでは他の報道を参考にしつつ、一定の注意は払いながら、中日新聞の記事を中心に見ていくことになります。
さて、この裁判は応援不許可と球場出入り禁止(入場券販売拒否)という扱いを不服として、ドラゴンズ私設応援団が訴えたものです。
昨日出た判決内容について、各報道を総合すると、
・ 原告は民事訴訟法上の団体となる要件を欠いており、当事者能力を有していない。
・ 応援不許可取り消しは却下。応援を許可するかどうかは球場の裁量内。
・ 原告のうち22人は観戦中に問題行動を起こしておらず、入場拒否は不当。
となります。判決文を見なければ断定はできませんが、これを見る限り、原告側敗訴である可能性が非常に高いようです。
応援団メンバーの方からすれば、この結果には納得がいかないでしょう。実際、先ほどの中日新聞を見る限り、控訴する方向のようです。
一方、被告側の対応は分かれています。NPBは控訴する方針を早々と表明しましたが(ただしその理由は不明)、ドラゴンズは判決について評価しています。
とはいえ、原告側も被告側も不満の残る内容で、この裁判が高等裁判所に移ることは避けられない状況です。
そして、第三者である私からすれば、判決としてはこうならざるを得なかったのかなとは思うものの、裁定としてはイマイチだと感じています。
先程の中日新聞では、判決内容として「応援の方法によっては、球場の秩序を乱すことがあり得るため、許可するかどうかは主催者が自由に決定できる」と示されています。
私自身はいわゆる「鳴り物応援」には肯定的ですが、上記の点は認めなければならないでしょう。
実際、ドラゴンズの応援団に限らず、過去各地の球場で様々なトラブルが生じたことを考えれば(直近では去年9月末の千葉マリンが好例です)、主催者に必要な規制を行う権利を認める必要があります。
この判決内容は一見厳しいようですが、応援や観戦のあり方について、応援する側の自省を促すものとして受け止めた方が良さそうに思います。
一方、暴力団との関係については、むしろ関係が事実かどうかが一番のポイントになるべきでしょう。
また、仮にそのような関係があったとして、それでメンバー全員を規制できるのかも争点となるべきです。
これらの点については、報道された判決内容ではほとんど触れられておらず、なんとも言いようがありません。もう少し詳しい情報があればいいのですが、残念です。
ただ、これはあくまで「応援」に関する話です。応援に加わらなければ観戦してもいいという考え方は、(賛否はとにかく)理論上は成り立つわけですし、裁判所もその考え方を採ったわけです。
もっとも、これで納得しろと言われても原告は当然できないでしょうし、この考えを基に観戦できなかった「被害回復」を命じられても、球場の安全を司る側は承服しがたいとは思います。
そんなわけで、理屈としてはあり得るけれど、両者の不服を収める裁定としてはイマイチだな、というのが、この判決に対する私の感想です(もっとも、裁判所がそのような裁定を下す場なのかは疑問となり得ますが)。
ただし、「当事者能力」に関する内容は気になります。政府の「法令データ提供システム」で確認したところ、民事訴訟法では当事者能力について、次のように定めています。
(原則)
第二十八条 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。 (法令データ提供システム・2010年1月29日閲覧)
ここからは、多数決による意思決定を当事者要件として導き出すことはできません。
可能性としては、過去の判例等でこの要件が示されていたか、報道のピントがずれてたかでしょうね。
とはいえ、詳しくない私からすれば、なんとも疑問を感じてしまうのですが、どうなんでしょう?
なにより、判決文そのものがあればいいのですが、判決を間接的にしか知りないため、隔靴掻痒という面は否めません。
そして、こういう時に法律や裁判の知識がないのは苦しい_| ̄|○
どなたか詳しい方、ぜひフォローをお願いします。
暴力団絡みの「完全排除」が認められなかったことだと思います。
つまり、(22人に関する)入場拒否は不当とされた部分を受け入れることはできない、と。
判決だと、観戦中の態度に問題がなかったというのが賠償理由になってますし、
NPBからすれば、そこがポイントじゃないだろうと言いたいんでしょうね。
「当事者能力」の点につきましては、「権利能力なき社団」という単語を検索されればおわかりになるかと思われます。
法律には詳しくないとお書きになっていますが、まず基本となる条文に当たられていることは素晴らしいな、と思いました。
バタバタしていて、レスが遅れてしまって済みません……
>権利能力なき社団
wikipedia経由で判例を見つけました。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=28268&hanreiKbn=01
最高裁での判断ともなると、そう簡単には変わりませんよね。
別の考え方をすれば、今後応援団が社団として認められるためには、
この判例に掲げられた要件を満たす必要があるとも言えるのでしょう。
法律絡みの議論は、2004年の合併問題の時に細かく行った経験があるんで、
その時の経験と言いますか、習い性といいますか[;;0J0]ゞ