戦の流矢で傷付いた馬に鞭を打って走らす
冥界の王ムゲンから与えられた
天に燃ゆるグリフォンの火の心臓はとうに燃え尽き
この身体は土に還ろうとしている
たずなを握る手に力が入らないのはその所為だろう
もう、あと少し… なんとかもってくれ
腹を蹴り、もう一度馬に鞭を入れる
しかし、次の瞬間、走り通しの馬に限界が来た
馬は痙攣をして姿勢を崩し、俺はその前に二回転して放り投げられて
受け身を取れずに仰向けに地面に叩きつけられる
…!
痛みはもう感じない
ただ、身体中に罅が入り、崩れていく感覚はわかる
まったくぞっとしないぜ
ちっくしょう、ここまで来て…!
俺はせめてと、
届きそうな位置に転がる頭陀袋に気力を振り絞って手を伸ばそうとしたが
次の瞬間にそれはひょいと摘み上げられちった
…!?
遅いじゃないか、楓ちゃん
…と、見上げればそこには、あっけらかんと笑うそいつが立っていたように見えた
「ように」ってのは、俺はもう満足に、見れて、聞けて、喋れているかわかんねーからだ
ただ、そんなように感じたのは間違いなくて…言葉になったかは定かじゃねえがこう返した
はは、わりぃ
ちょっとはしゃぎ過ぎちまったせいで、時間ぎりぎりになっちまった
冥界の王ムゲンから与えられた
天に燃ゆるグリフォンの火の心臓はとうに燃え尽き
この身体は土に還ろうとしている
たずなを握る手に力が入らないのはその所為だろう
もう、あと少し… なんとかもってくれ
腹を蹴り、もう一度馬に鞭を入れる
しかし、次の瞬間、走り通しの馬に限界が来た
馬は痙攣をして姿勢を崩し、俺はその前に二回転して放り投げられて
受け身を取れずに仰向けに地面に叩きつけられる
…!
痛みはもう感じない
ただ、身体中に罅が入り、崩れていく感覚はわかる
まったくぞっとしないぜ
ちっくしょう、ここまで来て…!
俺はせめてと、
届きそうな位置に転がる頭陀袋に気力を振り絞って手を伸ばそうとしたが
次の瞬間にそれはひょいと摘み上げられちった
…!?
遅いじゃないか、楓ちゃん
…と、見上げればそこには、あっけらかんと笑うそいつが立っていたように見えた
「ように」ってのは、俺はもう満足に、見れて、聞けて、喋れているかわかんねーからだ
ただ、そんなように感じたのは間違いなくて…言葉になったかは定かじゃねえがこう返した
はは、わりぃ
ちょっとはしゃぎ過ぎちまったせいで、時間ぎりぎりになっちまった