今月8日(金)に訪れていた四国別格二十霊場第3番慈眼寺で、四国八十八ヶ所霊場の第20番鶴林寺の奥の院にあたり、弘法大師(空海)が19才の時に、ここで修業中に鍾乳洞を発見し、邪気祓いのため護摩をたいて洞窟を清め、悪魔悪霊を洞窟内に封じ込め、結縁灌頂の秘法を修められたと言われる行場です。
※不動堂(左)と大師堂(右)
慈眼寺 徳島県勝浦郡上勝町正木
TEL:0885-45-0044
四国遍路の大多数は八十八ヶ所だけ廻り、奥の院や別格霊場まで足を運ぶ人は少ないものの、弘法大師が7才の時に山から飛び降りたと言われる「捨身ヶ嶽禅定」も奥の院で、太龍ヶ嶽禅定も奥の院です。
別格二十霊場を巡拝する人も多く、20ヶ寺を廻って集めた数珠を自慢げに見せられる人もありますが、ほとんどの巡拝者は慈眼寺の本堂に参らず、大師堂に手をあわせて、隣の納経所で朱印をもらっただけで帰ってしまいます。
実は私もその一人で、穴禅定の存在すら知らず、本堂とともに行ったことがありませんでした。
私が初めて穴禅定に入ったのは5年前で、あまりの非日常的な体験のため、入った瞬間からパニックとなり、このままでは穴から出られない恐怖心から、案内する導師の女性の言葉を真剣に聞いて、すがるように退出しました。
その後は絶対に欠かせない訪問となりましたが、ここに入ることで健康を実感させられます。
上から2枚目の写真が本堂への入り口で、その下の写真のような坂道を登りかけると足腰の苦痛と、呼吸の苦しさに顔をゆがめる頃に4枚目の石の大師像が現れ、ここで半分くらいでしょうか。
※左の写真が本堂です
このお寺の開基は弘法大師より古い行基菩薩により、ご本尊は薬師如来(真言・おん ころころ まとうぎ そわか)が安置されています。
左の写真は、穴禅定ではなく、入り口の岩場で、私のように生活習慣病で太った人は、岩場を通り抜けられるか柱の間を通れるか確認されます。
ここから案内の導師について岩場を登ると、左のような頑丈な鉄の柵に施錠された入り口があり、この中に入って真言を唱えたあと、時計やメガネなどを外してから入ります。
「メガネがなかったら見えんだろー」と、私の恩師は激怒しましたが、穴の中はローソク1本の光で進むため、メガネは必要がありません。
左の写真はガイドブックからの転用ですが、大師堂の横で穴禅定用の白衣に着替えた姿で、案内されるままに手足を動かして岩の隙間を通過していきます。
ここで素直に行動できない人は、岩の隙間に身体がはさまれて動けなかったり、足が前に進まず苦痛を味わうこととなります。
メガネで激怒した恩師も元は校長先生ですが、一緒に同行したお医者さんも屁理屈ばかりで、奥にたどり着くまで苦痛を味わい、ここでは素直になれないと出口まで戻ってこれません。
穴禅定では、日頃ワンマンでプライドの高い人でも、奥の大師像に祈願して、穴を這いずって出る頃には赤ちゃんのように素直になっています。
私にとっても、日頃の傲慢となった生活を反省する機会となっており、太りすぎれば入れないことから、健康管理の機会ともなっています。ここで、時間を忘れてまっさらな気持ちになるのもお勧めです。
慈眼寺のHP
私にとっては一年ぶりの参拝となりましたが、本堂からの下りには見事な紅葉が鑑賞でき、遠くの山並みを眺めながら、時間を超えた悠久の自然と会話ができているような錯覚も覚えました。
暗黒は不安と懐疑を生みます。怖い。