s*mile!

徒然なるささやかな日常

愛猫は帰らない。

2007-07-04 13:52:21 | diary
6月に一人実家に帰った時に母から

「あんたの猫、帰ってこないよ」

と告げられた。
妻の猫、というのは名をくじらと言い、
文字通り、妻が高校の時に拾ってきた猫で
今年で16歳になる、おばあちゃん猫だ。
母によると、もう4日ほど帰っていないらしい。
そして、昨日。
母から

「やはりくじらは帰りません
 死亡は確実だと思われます。」

とメールが来た。


昨年、ずいぶんとやせ細って涎も酷かったので
動物病院につれていったら猫エイズだと診断された。
猫エイズには有効な治療法がまだなく、
出来る事といえば、
ビタミン剤のようなもので口内炎を抑え(涎の原因だった模様)
栄養を十分とらせる事くらいだった。
母と当時まだ独身だった妹が
文句を言いつつも世話をしてくれ、
そのうち食欲も出てきていたので
ちょっと安心していた矢先だった。



猫は自分が命がつきる時、人目に付かない場所へ行って
静かに息を引き取るというのを聞いていたのと、
我が家は元々田舎に暮らしている事が多く、
猫も家の中と外を自由に行き来させていた。
なので野生に近い家猫であったので、
本能のままにくじらもまた、
死に場所を外に求めたのは当然の事なのだろう。
人間側としては、せめて息を引き取る瞬間も
そばにいさせてほしいと思うのだが、
猫側の主張はそうではないんだなぁ…と
母からのメールをぼんやりと眺めながら思った。

そしてくじらの写真をありったけ載せて
くじらの記事を書いてやろうと思い立ち、
いろいろと探してみたのだけれど、
何故かほとんど見あたらず、
かろうじて記載している三枚が見つかった。
もっとちゃんと撮ってあげたらよかった。
と、飼い猫が亡くなるたびに思っていたので
意識して写真を撮っているつもりだったのに
手元に三枚しかないとは我ながら情けない。


くじらは拾ったときはガリガリで出目で、
妻も母も妹も声をそろえて

「かわいくないなー!」

と言ったのだけれど、だた一人父だけが

「こいつは絶対美人になる」

と言い放って失笑を買った。
けれどふたを開けてみれば、成長したくじらは
それなりに美人であったし(身内贔屓だとしても)
よく遊び、狩りの上手な猫だった。
部屋の中でひもを追わせて遊んでいた時、
勢い余って窓から庭に飛び出してしまい
( ゜o゜)ハッ と驚いた顔して左右を見渡し、
家の中に妻の姿を見つけると状況を理解したのか
照れくさげに毛繕いをはじめるような愛嬌もあった。



今まで飼ってきた猫の中で、
一番長いこと我が家にいた猫がいない。
もう実家に帰っても、
会えないのかと思うととてつもなく淋しい。
もっと色々してやれたんじゃないかと後悔もあるけれど
写真のくじらはそこそこ幸せそうだし、
きっと幸せであったと信じていようと思う。