しるべない旅

幼い頃の思い出と日々の雑感気まぐれに綴っております。

フラッシュライト6

2023-09-17 04:56:18 | 日記

朝を迎えるまでに、おちびさんの私は、夜中に2回くらいお便所に行きました。母は、タイミングがわかると、光を照射するのではなく、揺り起こしてくれました。手近にフラッシュライトを置いたから、自分で進んで点灯出来るようなったからです。便器が大人の男女用に出来ているから、まだまだひとりでの用便は無理でした。だから、懐中電灯を使えれば、自立の光になりました。
母のお気に入りを私も気に入ったことで、ふれあい時間がとても楽しくなっていました。
赤丸ボタンのN9は、曾祖母、祖母に譲られ、クリーム角ボタンのN35は、私たち母子のモノになりました。昭和9年製ということは、昭和3年生まれの母が、6歳の小学校入学祝いでもらい、お勤めの通勤に使っていたのだとわかります。長持ちしていたのですね。N35は昭和35年製で、まさに私の2歳の誕生日祝いだとわかるのです。
クリーム角ボタンのチャーミングポイントは、色形に加えて、操作しやすさでした。復元バネが柔らかく出来ていたから、ボタンタッチが楽でした。スライドの上下とボタン移動がとても楽でした。指先の動きの強弱と力点の違いにうまく合わせて点灯出来ました。 
慣れてくると、消灯位置からフラッシュ位置、常時点灯位置まで、ひとりで操作出来るようになりました。今考えると、単1の重い胴体を左右のどちらもの手のひらで持ちながら、スライドとボタンを操作出来たと思います。
「お母さん、点けるよ。」 
左手のひらで握りしめ、人差し指をボタンの真上に移し、ボタンを隠すように押し下げました。
「どんな感じ?」
「ボタン、軟らかーい。」
「まだ、点かないね。」
親指でスライドをゆっくり上げようとしました。
「スライド硬い。人差し指緩めてみるね。半分。スライド動いている。」
「柔らかくなったね。」
カチッ
「点いた点いた。」
「やったね。」
「もっと押してみるね。ほら、ぺしゃんこになった。」
「上手、上手。」
「もうひとつ上げてみるね。人差し指半分上げて。スライド柔らかくなった。」
カチッ
「ほら、ずっと点いているね。」
「うーん。出来た。もっと押してみるね。ほら、ぺしゃんこになった。」
母に指先を触ってもらいながら、常時点灯まで、操作出来、とても嬉しくなりました。
朝の起床時も、布団、蚊帳の片付け、雨戸開けと、母と曾祖母、祖母の手元を照らしました。ちゃぶ台を出し、朝食を居間に運ぶ頃、日が登り始め、明り窓から朝日が入り始めました。スライドを下まで下げ、ライトをちゃぶ台の下に置き、洗顔、歯磨き時間になりました。
朝食が終わると、すぐ井戸水汲みの時間になりました。また、点灯させることが出来るから、嬉しくなりました。
 




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