晩秋なると、エンジンのかかりが悪くなります。両親にいたずらをもう止めるよう、厳しく叱られた宵は、ひとつの出来事からです。当時、父は同じ小学校に勤め、私は通っていました。シルバーピジョンゲールは、同僚が乗っており、私は、エンジンがコロコロという珍しい音だから、触ってみたかったのです。セルボタンだけでかかるのを見せてもらっていたから、エンジンをかけてみたくなり、休み時間に股がっていたのを、父に見つかり、帰宅後、正座の上、たいへん叱られました。動いたら死んじゃう、やるなら、こそこそやるなでした。乗り物への興味は失われなかったから、お兄ちゃんのお家関係でだれかが見ている前でいたずらすることになりました。
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セルペットとともにポピュラーになってきたのがスーパーカブC100でした。
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魚屋さんの配達車は、前述のセルペットとC100を乗り分けて使用していたようです。寒冷時の始動がチョークやティクラ無しでも容易だし、キックペダルもついていることから、奥さんの愛機はC100になっていきました。バイクに興味があったから、始動する際、ボタンを押して遊ばせてもらいました。モコモコより、べんりぃちゃんと同じキュルキュルの音色が気に入っていました。
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魚屋さんの配達車はスズキセルペットという原付でした。新興住宅街になり、よく行っていた山の下市場から移転出店して来たお店で、母と顔なじみで、よく買いに行きました。寒くなると、始動がなかなか大変で、ご主人が奥さんのために始動準備をしているのを興味深く見ていました。セルペットには、その名の通りキックペダルがありませんでした。コールドスタートの儀式は、べんりぃちゃんと同じですが、バッテリー上がりをしていると押しがけしなくてはならず厄介でした。ガソリンコックを捻り、エンジンカバーの小窓に指を入れて、ティクラというチョークに当たるスイッチを押してガソリンを濃縮していたようです。セルボタンを押してモコモコという音がすれば轟音を立てて始動しますが、バッテリー上がりしていたら、押しがけしていました。エンジンは2サイクルだったから、騒々しい音でした、ギアはカブと同じ感じで、遠心式だから、ペダルを爪先や踵で踏めば変速出来るようでした。
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その頃、ベンリイちゃんと双璧を為す二輪車は、シルバーピジョン ゲールでした。キックペダルがなくセルボタンを押して簡単に始動出来る、クラッチとギアペダルがなく変速も楽、2サイクルながらクローズドエンジン静音タイプなので、女性に人気でした。父の知人の娘さんが運転を学んでいる最中で、同じ金属道路で乗り歩き、スピード練習しているのを見ました。
お向かいさんのご主人が乗り始めていて、秋が深まると、風呂上がりの夕涼みしているとき、母に、スクーターの名盤を何と書いてあるか読んでほしいと言われ、英字がしっかり読めました。母も、二輪車には憧れていたようで、ラビットスクーターをいたずらしたことがあると、話してくれました。私が、お兄ちゃんとベンリイちゃんのいたずらしていることをよくわかってくれました。
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トットットットッドロッドロッドロットットットットッキーッギューガチャ
入口を上がり切り、ギアをニュートラルに戻し、エンジンを止めました。
ポンカチャチリン
サイドスタンドを出す時、キーホルダーの鈴が鳴り、ただいまの知らせになりました。怪我なく遊んで戻るのが、両親の願いです。
トットッウォーンカチッカチッキュルルカチッ
ヘッドライトを消し、2段左に回し、セルボタンをちょっと押して、エンジンを切りました。車体についた土を水拭きして、次の時間を約束して、昼食です。車体が冷めるとピシッと音を立てていました。だんだん転倒しなくなると、靴に入った砂だけ払い部屋に入れるようになりました。