今回は「安心パウチ」付きの装具を自作する手順(その2)のステップになります。
(その1) 使う材料と道具の準備
(その2) 型紙の設計………………今回の解説
(その3) 「安心パウチ」ユニットの制作
(その4) ユニットを面板に取付けて完成!
初めに、粘着シート(固定用伸縮性粘着シート)の型紙の設計です。
面板の形状には、図のピンクのように円形、正方形、楕円形…等があります。図に示すように粘着シートに面板を左右方向と上方向が同じ寸法になる位置関係にして押し当てます。その際、粘着シートの切込みがある側を上方向にする事により、装着時に切込み部分を利用できて便利てす。(図を参照して下さい) 上方向と左右方向の位置が決まったら面板の外側に沿って「面板ライン」をペンで記録します。
次に、この「面板ライン」よりもスリット巾分として1~3㎜を大きくして「内側ライン」を描きます。そして、粘着シートの大きさに収まる範囲で、成るべく広い面積になるように「外側ライン」を書き込みます。図示のように八角形にする事がポイントで、効率的に広い粘着シートの面積を利用できます。 尚、図では粘着シートの上方向の巾よりも下方向の巾を広くしています。これは、排泄物が下方向に流れ落ちて負荷がかかり易い事を考慮していて、下方向の粘着シートを剥がれ難くする為の工夫です。(勿論、均等でも構いません) ブルーの面で示した部分が粘着シートの形状になりますので、これらの位置関係を粘着シートの型紙として写し取っておいてください。
特殊なケースとして、面板が大きくて1枚の粘着シートに収まらない場合は二枚の粘着シートを連結して下さい。2枚のシートの端同士が重なる位置に配置し、一方のシートの粘着部を他方に貼り合わせれば連結できます。(後日、詳細をアップする予定でいます)
次は、使用するポリ袋についてです。
使用するポリ袋は、面板の横巾よりも2~4㎝程度広い巾のポリ袋を使用して下さい。市販されているポリ袋の中から、巾が一番近いものを選んで使用することとします。広すぎるとポリ袋が粘着シートからはみ出して皮膚に接触し、汗によるベタ付きの原因になります。狭すぎると面板との接着作業が難しくなります。
ポリ袋の型紙の設計です。
ポリ袋を構成する外側の面(ビニール2)には、面板に接着する部分の円形の穴を開ける必要があります。その為の型紙をポリ袋用の型紙として設計します。
2品系装具の場合は嵌合部分の外側の寸法を物差しで測り、嵌合した時にビニール2が挟み込まれないように2~4㎜を加算した寸法が円の大きさになります。(写真左側) 単品系の場合は、面板とパウチの接合部分の外径寸法をものさしで計かり、1~3㎜を加算した寸法が円の大きさになります。(写真右側はパウチ部分を捲り上げた状態を示す) 尚、装具には補助ベルトを取付ける為のタブが付いているものがあります。右側の装具はその一例ですが、タブ付きの面板の場合、ビニール2はタブと面板の間に挟まる形で取付けられます。よって、タブの付け根同士の間を計測してください。
ポリ袋に開ける円の大きさが決まったらば、次に円の中心位置を決めます。図左側のように、左右方向と上方向が同じ寸法になるように円の中心を決めるのが基本になります。円の中心にマークをし、円の半径をメモしておきます。
「簡易タイプの安心パウチ」の場合はここまでの位置関係を簡易タイプのチャック付きポリ袋の型紙として記録します。その際、チャックの位置が上側になるように配置します。(万一、チャックが間違って開いたとしても被害を最小にする為)
標準タイプの「安心パウチ」の場合はシーラーを用いてビニールを閉じて余分な部分をカットして理想的な形状にする事が出来ます。円の中心位置は左右方向と上方向が同じ寸法になる位置関係にするのは簡易型の場合と同様です。円の中心位置にマークをし、円の半径をメモしておきます。 下方向の長さは10~35㎜大きい寸法にします。これは下方向に収容される排泄物の容積を確保する為で、特にイレオストミーやウロストミーは漏れた時の量が多いので必須です。(図右側参照) 逆に寸法が大き過ぎると皮膚に当たるビニールの面積が多くなり皮膚障害の原因になり易くなります。 次に、四隅の余分な部分と角をカットする45度のラインを引きます。これは四隅が皮膚に接触するのを防止する為です。以上の位置関係を標準タイプのポリ袋の型紙として記録します。
以上で粘着シートとポリ袋の型紙の設計は完了です。
次のステップ(その3)は、いよいよ「安心パウチ」ユニットを製作して行きます。
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