私の小学生のころのこと。
神奈川県の平塚にいました。
東海道本線の線路が、北に見えるあたりに住んでいました。
梅雨どき、浜のおじさんが、入梅いわしを売って歩いていました。
(多分、自転車か何かで)
いわーしや いわし
手々噛む いわーし
手々噛む いわーし
いわしを求めた母が、煮たり、焼いたりして食卓に上げてくれました。
焼くのは、七輪での炭火焼き。じゅうじゅうと油が滴ります。
煮るのなら、醤油や砂糖で味を調え、刻み生姜などを添えてあります。
何せ、80年ほども昔の記憶。
実際の記憶は、とうに薄れてしまって、心の中にあるのは、多分イメージの断片なのです。
およそ、厳しい時代だったはず。
でも、私の母は、比較的に強い人だった。
弱さを見せない人だったのを今、誇らしく思っているのです。