思えば、貸本屋という商売は、世の中が落ち着くにつれて消えていったのです。
そこで、戦前から終戦後、商店街から次第に消えていった商店、商売のことを語りましょう。
思い当たるのは、氷屋です。
氷屋は、公設市場には入っていなかった。
扱うものが氷なので、融けないように、頑丈な氷室の設備が必要だった。
だから、公設市場のような棟割長屋で営業するのは、無理だったのだ。
また、氷は夏に珍重される商品。
氷だけでは、商売が成り立たなかった。
そこで、夏以外に売れるものを販売した。
それが薪,炭の類い。
薪炭・氷店として、年中売れるものを取り扱って生きていたのです。
マキ、炭、練炭、タドン、五徳、七輪、火鉢なんかを売っていました。
また、あのころ、電気冷蔵庫などはまだ出ていなかった。
松下、早川、三洋などの弱電というのが勃興する前のことだった。
家庭の冷蔵庫というと、銅の表皮をかぶった冷蔵庫。
氷屋から、氷を2貫目などと買い込んで、上段の氷室にいれて、食品などを冷やしたものでした。
電気冷蔵庫ができて、それを買うと、アルミの船に水を満たし、アルミの仕切りをいれて氷室に半日も置くと、四角い氷ができて、重宝したものでした。
あるいは、冬になっても、電気の調理器や保温家具などができて、薪炭などは必要が無くなったのでした。
薪炭・氷店は冬も夏も売る商品が乏しくなって、店じまいするようになったのです。
でも、そこは、永年、地元で薪炭・氷店を商売してきた顔がありますので、別なお仕事とか、たくましく転換していったのでした。
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