厚生労働省は8月27日に、2020年年度の虐待相談件数(速報値)を20万5029件と発表した。今に始まったことではないが、どうして数の集計にここまで時間が必要なのかシステムに課題があるのではと毎回思ってしまう。
さてこの数字は、統計を取り始めた1990年が1,101件であるので、そんでもない伸び率である。特に近年の増加の要因は、子どもの面前でのDV(ドメスティック・バイオレンス)の急増ということである。
一方で、通報が多くなっているのは、人々の間に児童虐待やDVに対する意識が高まっている表れともいえるので、増加を過度に悲観することもないという視点もある。
報道は、コロナ禍の影響で虐待が増加していると短いニュースの中で言及しているが、その下に横たわる貧困の問題に言及するまで踏み込むことはない。
先進国における日本のひとり親家庭の貧困はワーストクラスである。貧困と児童虐待はリンクしているケースがほとんどだ。貧困家庭の親たちは、多くの場合非正規労働で子どもの養育を支えている。これを改善すべきだと選挙の度に政治家が訴えるが、状況を打開するような改革はなされていない。
社会で一番弱い立場にある、被虐待児の目線に立って社会を見ると、彼らを支援する世の中の動きはあまりにも遅いと感じてしまう。
7人に1人と言われる貧困家庭の子どもたちは、バランスの取れた栄養のある食事をとれないことも多い。
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