【149】 3月30日(木) ★花山くん&みっちゃん 結婚式
小森千晶 細川直美
小森浩平 榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉 筒井道隆
花山信太 林 泰文
花山みつ 貴島サリオ(今日から 花山姓
)
小森弥之助 小林桂樹
本間洋一郎 笹野高史
本間二郎 三波豊和
田上伝六 不破万作
花山信吉 ニ瓶鮫一
川原清三 河西健司
本間三郎 丹羽貞仁
本間久美子 麻生侑里
関屋文雄 小磯勝弥(信太のところの従業員)
本間和則 蓮池貴人
信太の母 五十嵐五十鈴
ママハハちゃん
仲居 田中佳代
萩原由美子
黒田忠治 佐藤B作
鶴本哲夫 矢崎 滋
小森晶乃 岸田今日子
小森友行 石坂浩二
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昭和30年、4月吉日
かりんの木に白い花が咲いている。
見上げる弥之助と晶乃、
「咲いたなぁ」
「咲きましたねぇ」
「切り倒さんで済んで、ちゃーんと花も咲かせてくれたなぁ」
「小森屋も小袋詰めのおかげですっかりもち直したし、(小さな声で)後継ぎもできるし
いい春ですねぇ 晶子のおかげですね」
「うん、いい春だ」
「おじいちゃん、おばあちゃん、みっちゃん実家から帰ってきたわ。
早く用意しなきゃ」
そこにツルヤが来る。
「ご免! 組合からのお知らせなんだが」と紙を千晶に渡す。
「すみません」
「ほぉ~、かりんの花が見事に咲きましたな」
「おかげさまで」晶乃が口調だけは丁寧に返事をする。
「まるで今の小森屋の隆盛を象徴しているかのようだ、なぁ千晶さん」
「ありがとうございます」晶乃が答え、千晶はお辞儀する。
哲夫の方を見ようともしない弥之助。
「小袋詰めとはなぁ・・。 さすがのこのツルヤの哲夫も恐れ入った。
脱帽、脱帽。創業以来137年の歴史と年月は伊達じゃなかった
ま、諏訪味噌の発展のためにお互い手を尽くそうじゃないですか。
どゅはははは」
と高笑いしながら帰っていく哲夫。
「全く、なんて人でしょ」 と晶乃
「ありゃ所詮、あれだけの人間だ」
湖水館
花山家・宮下家 ご両家結婚披露宴会場 と看板がでている。
浩平の謡う
高砂や~ にのり、出席者たちが順番にうつる。
みつ側には
下座から、友行・(浩平)・千晶・和則・あかり・洋一郎・二郎・三郎
信太側には
下座から、清三、忠治、信吉、信太の母、(たぶん関屋)、伝六、渉
新郎新婦の両脇には、弥之助と晶乃が座っている。
高砂や~を聞きながら
和則を挟んで、黒留袖の千晶と赤いツーピースのあかりが話をする。
「浩平さん、スイスへはいつ?」
「来週」
「千晶は?」
「(お腹をなでながら)この子生まれて落ち着いてから
主人、乳飲み子、飛行機に乗せられない、ずっと先でいいなんて言うの。
名前ね、生まれてくるこの子の名前、もう主人がつけたの」
「何て?」
「弥太郎。おじいちゃんの‘弥’の字をもらって」
弥之助の方を見る千晶とあかり。
弥之助は、まだ軽いとでもいいたげに高砂や~を声を出さずに謡っている。
「弥太郎君か。女の子だったら?」
「男の子にまちがいないんですって」
和則はちょっと飽きたのか、立ち上がって向かいの席の渉のところに行き、
渉のひざに座る。
その様子を伝六が微笑んで見ている。
「誰が見たってね、渉君と和ちゃん、お父さんと息子」と千晶。
湖水館の洋一郎・二郎・三郎の3人が、お囃子のような扮装に鼓を持ち
出し物をする。
洋一郎 ♪めでたいなめでたいな 今日はホントにめでたいな
ポン(鼓)
二郎 ♪花山信太 めでたいな
ポン(鼓)
三郎 ♪花山みっちゃん めでたいな
ポン(鼓)
洋一郎 ♪桜が~丘~の 秀才と
ポン(鼓)ポン(鼓)ポン(鼓)
二郎 ♪諏訪一番~の 器量よし~
ポン(鼓)
洋一郎 ♪小森の~味噌で 結ばれた~
三郎 ♪湖水館で 結ばれたっ!
宴はにぎやかになっていく。
弥之助がお銚子を手に浩平に注ぎに来る。
「ワシも遊びに行っていいだかな?」
「はっ?」
「スイス。晶乃 連れて‥」
「どうぞどうぞお待ちしてます」
「いろいろきついことも言った。カンベンしてくれ」
「とんでもありません」
「ホントはおもしろくないんだがね。
スイスどころか今すぐ会社やめて味噌つくってもらいてぇ」
友行も近づいてくる。
「これでも折れたんだでな。お前ら夫婦の強い絆とでも言うか、
それに負けたんだでな。 スイスでいい研究をな」
「そうだよ、うまれてくる子どもと千晶のためにがんばらなきゃ」
さらに時間が経過し‥‥
清三と忠治
「うーちのヤツ、また孕んじまった」
「おめでとうございます」 と千晶
「3人目。前いれて6人目ですよ」
「丈夫だなぁ」は清三の感想。
「ギンペイ生まれたときは、うちどめだと思ったんすけど、
袋詰売れて、てんてこ舞いだってのに、まいっちゃうよね。あいつ」
「ご苦労様です」と頭を下げる清三。
何かやら顔を拭く友行がいる。
洋一郎、二郎、三郎は三人でお酒を飲みながら話す。
「あかりはいつになるだかな」
「何が」
「花嫁衣裳。こねえかもな」
「どうだかな」
「来る。きっと来る」と二郎
久美子がお銚子を持って来て座り、
「あなた、やけに自信たっぷり」
「そら来て欲しい。ワシにそれぐらいの親孝行しないでどうするよ」
「親孝行したい時は親はなし」と三郎
「さればとて墓に布団をかけられず」久美子が続ける。
「うるせ」
二郎は伝六にお酒を注ぎに行く。
「田上さん、どうぞ。 なにとぞよろしく」
「いやいや」
和則は伝六の隣の渉のひざにいたまま橋の袋でお面を作って遊んでいる。
「イヤイヤじゃなく、末永いおつきあいを」
「はいはい」
「そうそう、ハイハイ、家族ぐるみでね」
「お母さん、おちゃけ」と和則があかりのところにお銚子をもらいに来て、
渉のところに再び戻る。
顔を拭く浩平。
弥之助は、ほっぺを赤く塗り腰に魚篭をつけたまま、信太の父と話し込んでいる様子。
友行もまだ顔を拭いている
( そうか、3人で ドジョウすくいを踊ったんだ! )
渉は席を立ち部屋を出て行く。千晶もそっと部屋の外に出てくる。
「田上君、どこへ?」
「便所」
「そう」
「花山のやつ、こちこちだな」
「そうね」
「少し飲ませてほぐすか」
「みっちゃん、きれい」
「うん」
「あたし、あかりのウエディング・ドレス姿も見てみたいわ。見たくない?
あたしたち、初めて会ったあのころには戻れないわ。
でも、始めることはなんだってできる。なんだって。
あたしが母親になることも、それからあなたが父親になることも」
千晶とあかりはころあいを見て、立ち上がる。 拍手がおきる。
「花山君、みっちゃん、おめでとう」「おめでとう」
お辞儀する新郎新婦。
「こうやってお二人が並んでいると、これ以上お似合いのご夫婦はないように
思います」
「みっちゃん、ウエディング・ドレス姿、すばらしいわ」
みつは、中腰になって
「みなさん、このドレス、あかりさんが縫い上げてくださったんです」
「ほぉ~~」と声が上がり、拍手。
「このおめでたい門出を祝って、私と千晶でお二人にこの言葉を送りたいと思います」
「これは花山君が、申請桜ヶ丘高校の卒業式で述べた当時の一部です」
「先生方は僕たちに様々なことを教えて下さいました。
そしてそこから僕自身が学び取った最大のことは
希望という言葉であります」
「何事によらず、けしてあきらめることなく、希望を心の友にして生きていくこと
希望の光を見出す明日を切り開いて行くこと」
「「 けして一人ではなく、誰かとともに手を携えて 」」
「花山くん」 「みっちゃん」
「「 二人で共にてを携えて」」
泣く信太とみつ。
一番最初に拍手をしたのは渉である。
信太とみつは立って二人でお辞儀する。
すると何と、和則が
「お母さん、映画のおじちゃんがボクのお父さんになってくれるって」
と言う。
「田上ぃ!」 驚きも嬉しそうな信太の声。
「そういうことです」と渉がみんなにむかってぼそり言う
「あかり‥」と千晶はあかりの腕を握る。
あかりは、両手で顔を覆って泣き出す。
「結婚します」 今度ははっきり宣言する渉。
「ばんざーい!」と真っ先に立って言う二郎。
(つづく)
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とてもいい披露宴。
映りはしなかったけど、弥之助・友行・浩平でドジョウすくいを踊ったんだなと
思わせ、
答辞の引用のお祝いの言葉では、渉が開校式・卒業式と同じく真っ先に拍手する。
和ちゃんが渉のひざに座り、遊ぶのも自然だし、
弥之助の ♪高砂や~ の頬の演技など、サイコー!
みっちゃんもあかりもよかった
【写真】本間二郎役・
三波豊和さんのHPより
http://www.toyokazu.net/html/sakuhin/nhk_karin.htm