ありとキリギリス

ありとキリギリスの両面性を持った内面を見つめて交流できれば

「九雀物語」12話

2014-05-17 23:29:39 | 日記
      創作童話「九雀物語」第12話

(鳳凰)が語りかけてきます。
 「おどろく大きさだろう! この大陸がいくつも連なり、海や川と交わって
  (地球)という星になっている。 
  このほとんどを人間が支配しているのだ、
  いまいる所から、次の大陸に行ってみなさい!」

(ジェイ)は鳳凰が言うように、その羽ばたきの力を増すと、延々と続く大きな峰が現れてきました。 そしてその峰のほとんどが真っ白い雪で覆われていました。

(鳳凰)が話します。
 「ジェイよ! こんなところを見たことはないだろう!」
(ジェイ)がその圧倒的な風景と美しさに感嘆しながらも、経験したことのない偉大なものの存在を実感していると、(鳳凰)が更に話します。


 「こんな壮大なものにも人間は、あの脚で登ってくるんだ」
 「その(こころ)の強さには、(神の使い)の私でも驚くほどだ」
 「そんな優れた人間でも、遠い昔、多くの人を支配し、権力を持った(王様)と呼ばれた者が、その力を誇示するために、空を越えるような塔を建てて(神様)の
  恵みを忘れてしまったのだ。」
 「(神様)はその間違った(こころ)を戒めるために塔を破壊し、人間が人間を統率できないように、互いの言葉を変えてしまわれたのだ。
  そのために、それぞれが(自分)が正しいと主張するようになり(戦争)という
  大きな争いをするようになったのだ。」

「ジェイ」が尋ねます。
 「(神様)はなぜ人間が争うようなことを許されるんですか?」

「鳳凰」
 「そうだな!そう思うだろう! (正しい)というこは難解なことだ。
  そのことを、今わからずとも、私が与えた力で他の世界を観てくれば、わかるときがくるから、その旅をしてきなさい!」
「ジェイ」
 「じゃあ! もっと速く飛んでみよう!」
          第12話終了

「九雀物語」11話

2014-05-17 23:28:33 | 日記
       創作童話「九雀物語」第11話

特別な力をもらって孔雀の姿になった「ジェイ」が思い切って美しい羽を広げて、
わずかなはばたきをしただけなのに「ジェイ」の体は大空高くに舞いあがっていました。
子雀の時、大空高く飛びあがる(ひばり)の姿に驚いたことを思い出したのですが、
一瞬のうちに大きな山を越える高さにいることで、「鳳凰」の言っていたことが本当であることを実感したのでした。

そして言われてやように(こころ)で「鳳凰」に問いかけてみました。
ジェイ
「鳳凰さん!これからどんなことをすればいいんですか!」

即座に(鳳凰)が(ジェイ)の(こころ)に語りかけてきます。

鳳凰
  「雀に生まれたお前たちは、与えられた命の大切さを知ることなく  
   正しいものを観ることが出来ず、勝手な行いをしようとしていた。
   それは、人間のように(こころ)を持つようになったからなのだ。

   人間は、お前たち(鳥)や(獣)にはない(こころ)を持つことによって
   眼では観れない(宇宙)をふくめた世界を支配する(神様)との交わりをすることが出来るようになったのだが、その大切な能力を正しく使うこを忘れて、
(神様)から与えられた貴重な宝物を無くそうとしているんだ」。
  「(ジェイ)よ!今から、もっと大きくはばたいて本当の世界を観てきなさい!」

ジェイはあまりにも難解な道を教えられながらも(鳳凰)が伝えようとしていることを理解し始め、これから見るであろう(世界)へ大きな期待を持ったのでした。

そして、教えられたように自分たちが生きている(地球)という世界を観ようと次のはばたきをしました。
今まで、親鳥とエサをさがして飛び回っていた、森や山はあっという間に小さくなり、
とてつもなく巨大な海を見渡せるような所から、いくつもの大陸があることがわかってきました。
        第11話終了


「九雀物語」10話

2014-05-17 23:26:51 | 日記
 創作童話「九雀物語」第10話

小雀らしい九羽の願いを聞いていた神の使い「鳳凰」はゆっくりとその輝く大きな羽を広げ、今まで語りかけていた優しい声ではなく、岩をも砕くような鋭い声を天空へ発したと思ったら、そこから大きな雲のようなものが小雀の周りを包むように舞い降りてきました。
そして、あっけにとられていた小雀の姿はなくなり美しい「孔雀」が現れました。



「鳳凰」が孔雀に語りかけます。
 「お前たちが望んでいる(孔雀)に変えてあげたよ、満足かな?」
 「この(孔雀)の姿は、お前たち九羽が気持ちを一緒にしたから
  特別に能力をもった一羽の(孔雀)になったのだ」
 「名前を(ジェイ)としよう。
  (ジェイ)は、これから私との繋がりを人間と同じような(こころ)で行うことが出来るから、わたしが見えなくても、何処からでも語りかけたら私が応えることができる。」
 「そして、先程言った(特別の能力)とは、この世の孔雀とは違い何処へでも瞬時に
移動できる力だ! その力を使うと、今お前たちが生きている世界から全く違う世界へも行くことが出来るんだよ!」

九羽の小雀から孔雀の姿に変身してもらい、新しい名前を与えられた(ジェイ)は、あまりにも不思議な出来事に驚きながらも、あこがれていた(孔雀)になったことに少なからず気持ちを高揚させて「鳳凰」に(こころ)の会話を始めます。
「ジェイ」
 「(鳳凰)さん、ありがとうございます。でもこれからはずっと(孔雀)のままなんですか? それと特別の力で行ける(違う世界)とはどんなところなんですか?」

「鳳凰」
 「(ジェイ)よ! よく聞きなさい!私が言う(違う世界)とは、お前たちが生きてきた森や川、海のあるこの場所を(地球)と人間は呼んでいる、それはお前の親たちさえ知らない大きな世界なのだ。 そしてその場所でお前たち(雀)、お前を
  護ってくれた(カラス)、力のある(鷲や鷹)なんかの空を飛ぶことの出来るものや、犬や猫・牛や馬、川や海を泳ぐ魚。 アリやこおろぎの虫の仲間。
  それに人間だ! 知らないだろうが、同じ人間でも話す言葉が違うものが何十種類以上もいるんだよ!」
 「(ジェイ)がもった能力は、そんな(地球)という星からも飛び出して(宇宙)という 
  人間でもまだ行ったことのない世界を観ることの出来る力なのだ!」
 「その力を使って、九羽の(こころ)をひとつにして冒険してきなさい!
  そして、また元の(雀)に戻りたい時は、九羽の(こころ)をひとつにして
  私に尋ねなさい! 一度だけ機会を与えてあげよう!
  わかれば、行きなさい! 困れば(キキ)が持っている方法でカラスの(ライ)を
  呼びなさい! (ライ)の本当の姿は「正しいことを行う」ため、護る役目を与えられた使者なのだから!」

動揺の気持ちを持ちながらも(鳳凰)の語り掛けに少しずつ自信を持ち始めた
(ジェイ)は、その気持ちと同じように大きく美しい羽を広げ、
大空へ視線を向けました。

新しい冒険が始まりました。

            第10話終了
  

「九雀物語」9話

2014-05-17 23:25:19 | 日記
 創作童話「九雀物語」第9話

一瞬大きな光が周りを包み、年老いた雀の姿がなくなりそこから何か立ち上がりました。
それは、今まで見たことの無い、美しい気品のある輝きをした大き羽根をもった鳥でした。
鷲や鷹よりも大きいいけれど、その眼差しは優しく、小雀たちを見つめていました。

「カイ」や「トキ」 「キキ」そして「ダン」と一緒の6羽の小雀は目の前に起こったことがわからず立ちすくんでいました。

その美しい大きな鳥は、さっきまでいじめられていた年老いた雀が変身したのですから、小雀たちの驚きは、言いようの無いものでした。

その時、その大きな美しい鳥が声を発しました。きれいな声は遠くまで響くような
澄んだ声です。



小雀たちに向って
 「おどろいただろう!」
 「私は、お前たちが見ていた通り、老いた雀が仮の姿で、これが本当の姿なのだ」

 「だが、この姿は誰もが見られるものではなく(こころの眼)でしか見れないのだ」
 「人間も、(こころ)の中で、私を見ることが出来て、神様の使いとして「鳳凰」と呼んでいる」

 「お前たちは、生まれた雀の世界を嫌がり、大事な親たちの心配を忘れて好きな生き方をしようとしているが、それが本当に良いことなのかな」

目の前におこった不思議な出来事に恐ろしさと同時に、自分たちの行動を知って
いることに驚き、他の小雀が固まってしまっているなかで、
少し賢明さをもった「トキ」が少し落ち着きを取り戻して話します。

 トキ「あなたは、本当にさっきの老いた雀なのですか?」

鳳凰が応えます
「そうだ! 自分のことだけを考えているうちは、先程の雀でしか見れない
が、他のことを思いやれる(こころ)になれば、こんな美しい姿を見ることが出来るのだ」
トキ「なぜ、私たちは、今の本当の姿を見ることが出来ているんですか?」

鳳凰が応えます
  「心の眼は人間でしか見ることはできない。
   お前たち、鳥や獣は、そんな(こころ)を持ってはいないが、少しでも他のことを思いやれることが出来れば、その瞬間が人間と同じような(こころ)をもったことになるんだ」
鳳凰がさらに語ります。
  「生まれたからには、必ず終わりがあるのだ。
   雀の世界に生まれて、与えられた命を全うすることが大切だよ」

トキが問います
  「でも、俺たちはなんで雀なんですか?
   初めから(孔雀)のように美しい鳥ではないんですか?」
トキは他の小雀にもの同調を得ようと振り向きます。

そんなやり取りを恐る恐る見ていた「カイ」や「キキ」たちも「トキ」に向ってうなづきます。

静かに優しい眼差しの「鳳凰」は九羽の小雀たちに微笑むように語り掛けます。

  「そうか!お前たちは(雀)であることが不足なんだな!」
  「では、弱った姿の私を護ろうとしてくれたお返しに、特別の姿と能力をあげよう! どうしてほしい?」
トキがカイたちに問います。
カイ「じゃあ!(孔雀)になりたいよ」
キキ「私も(孔雀)がいいな! みんなどうだい?」

他の小雀たちの、こわばっていた顔が和らいで同調の返事をします。

         第9話終了


「九雀物語」8話

2014-05-17 23:22:38 | 日記
    創作童話「九雀物語」九羽の小雀の冒険物語・第8話

女の小雀「キキ」が「トキ」に飛びかかろうとしている小雀たちの前に割って入りました。
相手の小雀たちも、女の小雀とわかっていたので一瞬意味がわからないように間が空きましたが、
小雀のリーダーが、気をとりなおして
 「訳もわからず邪魔をするんじゃない!」
と大きな声で威嚇し、他の小雀と一緒に攻撃しようと構えました。

「トキ」と「カイ」もまさか「キキ」がそんな行動をとると思っていなかったので戸惑いながらも、「キキ」を護ろうと身構えたとき、
「キキ」が フー!大きく息を吸った瞬間、自分たち雀たちが出す声ではない、遠くに響き渡るような鳴き声を発しました。攻撃しようとしていた小雀たちは、自分たちの怖さにおびえて鳴き声を出したのかと思ってかまわず攻撃を始めました。

その時でした、上空からすごい勢いで大きな黒いものが飛んできて、攻撃しようとしている小雀たちの前に立ちはだかりました。


驚いて、小雀たちは後ずさりして大きな黒い姿をしているものを見て更に恐ろしくなりました。
目の前の黒い大きなものは、今まで見たことのない大きさのカラスで、自分たちを鋭い眼光で睨みつけているのです。そして大きなカラスは、女の小雀に向かって
 「キキ!どうしたんだ」
「キキ」は、目の前に現れた大きなカラスに向かって、今さっきまでのことを話しました。
大きなカラスは「ライ」でした。
様子を見ていた小雀たちは後退りして攻撃の気持ちを無くしてしまったようです。

事情を聴いたカラスの「ライ」は更に大きな翼を広げておびえ出した小雀に向って低く響く声で、
 「俺はカラスのライだ!」「この子がどこに居ても一声鳴けば何処へでも飛んでくるんだ!」
 「お前たちのしていることは小雀だといっても許されないことだ」
 「6羽も一緒にいるんだったら、気持ちを変えたら何でも出来るだろ。 なんだったら、この三羽の連中と一緒にやってみたらどうだ!」
 「今見たように、この女の小雀に特別な方法で俺を呼び出せる力をやってあるから、いつでも困ったら呼んでくれ!」
 「俺も、小さい頃は、いじめられてばかりだったけれど、少しづつ力をつけて仲間を集めて少しは他のものから怖がられるようになったんだ、だけど俺も、俺の仲間も、自分がされたように 弱いものをいじめたりはしないんだ。
  だからお前たちも九羽で頑張ってみるんだな!」

そんな「ライ」の威圧に萎縮していた6羽の小雀も、おそるおそる
ながら、互いの顔をみあわせて「ライ」の言うことにうなずいて
従う様子を見せました。

そんな状態を確かめた「ライ」は
 「俺の仕事は終わったから、待っている仲間のところに戻るぜ」
そう言ったと思ったら「ライ」は大きな羽音を残して一瞬のうちに
遠くへ飛んでいきました。

「トキ」と「カイ」それに「キキ」も今までの緊張を緩めて「ライ」
の提案に同調して6羽の小雀たちに和らいだ顔を見せていました。

6羽のリーダーのような小雀が
 「俺はダンて言うんだ、ほかのやつの名前はゆっくり覚えてくれ」
 「びっくりしたっていうもんじゃないよ! あんな怖いのが護ってくれるなんて!」「じゃあ!これから言われたように9羽でやってみようぜ!」

そんな気持ちを互いに分かり合っていたとき、それまで6羽の小雀
に攻撃されて弱りきって傍にうずくままっていたと思われた老いた
雀がスッと身を起こしたとき、周りが大きな光に包まれ何か輝くよ
うなものが現れました。
                8話終了。