ありとキリギリス

ありとキリギリスの両面性を持った内面を見つめて交流できれば

人生の見直し

2014-05-22 21:57:18 | 日記
S.A.T(seeker after trouth)求道者
 という意味があります。
 
一回きりの人生ですが、過ぎ去った時間はあまりにも早く、振り返って、あの時、あの道を選んでおれば、こんなにはなってないのに・・・・・と思ってみても、そこには戻れない・・・・・・・

街で、すれ違う人を見ても、後悔なんかしてないぞというふうにして歩いている。
自分だけなんかな・・・・・
みんな心の中は満たされているんだろうな・・・・・・・

街を歩けば、あふれかえった豪華な品物を並べた商店街。
美味しそうなレストラン。
楽しそうな、遊園地。
幸せそうな立派な邸宅。
あんな風になれば、こんなところに行けたらと思ってそれを得ても、次から次に訪れる、欲望を完全に埋めることは不可能。

生まれて、いつか死を迎える時まで、その時間は、そんなに長くありません。
長い階段を登りつめることに、疲れて、生きることを止めようと思う人もいます。

私も、2度、3度、頑張ることより人生にギブアップしようとしたことがあります。

逃げ道がなくなり、話を聞いてもらっても
誰も、今の心境を変えてくれるとも思えず
何度も電車線路のわきを歩き続けました。
何台も、列車は通り過ぎます。
あそこに、一歩入れば、この心の重たさはなくなるんだ・・・・
でも、次の駅近くに行っても、その決断はできず・・・・何度かの繰り返しの後、
山に入って静かにその時を待とうと選択しました。
12月の山は、心の中の冷たさより、身体を凍らせます。
自分で選んだ道ですが、意識があるうちは
心の中で、氷細工が砕かれるようにくずれてゆき、後戻りしても見えてこない道に失望だけしかない・・・・・・・

大きな岩の陰で2日が過ぎた、葛藤することも疲れ出した頃、自分の座っている足元に
寒い時期なのに、小さな虫の這っているのを見つけたのです。
普段なら気にもしない存在のものですが、
そんな心境の自分には寂しさを紛らすものだったのです。

手の上に、その虫を乗せ、歩き回る姿を見ていると、単純なその行動と一途さは、あまりにも滑稽で、無意味なもののように感じましたが、そんな状況の私には、無邪気な子供のように思えたのです。

虫が歩き回って落ちないように何度か、手を添えては眺めていたのです。

気が変わって、私が、ポンと手をたたけば
その小さな存在は無くなってしまうでしょう。
冷え切った心を埋めるほどのものではありませんが、一時の夢中になれた物でした。

そんなことを繰り返しに飽きだした頃、手の上の虫に対する自分の視線が変わりだしたのです。
私にとっては、まるっきり縁のない、関係のない存在の虫が、まるで自分のように見え出したのです。
決して自分の人生を投げ出すために、ここまで来たんじゃないけれど、あまりにもこれ以上進むには、重たい荷物ばかり・・・
この先の目的もない、ただ無意味に突き進む姿は、目の前の小さな虫と何にも変わらないのじゃないのか・・・
そんな、視線の持ち方をしだした時、
手の上の虫を見ているように、岩の上に座り込んでいる私を見ている、別の私があるのです。
「いったい、お前の存在はなんだ・・
 何のために今まで生きてきたんだ・・
 そんなところに居てなんだ・・」

そんな問いかけが始まりました。
自分を見ている視線は、徐々に高くなり、山の上に上がり、空高く昇りだすと自分の姿は、どんどん小さくなっていくのです・

そして、その視線は地球を飛び出し、宇宙にまで広がるのです。
宇宙から見る地球は、あまりにも小さな星屑です。
その広大な宇宙も、沢山の小宇宙が存在し大宇宙を形成しているのです。
今の科学では、計算上、その広大さを算出することはできるらしい・・・

そんな、果てしのない広大さを感じた視線から、小さな山の岩陰に座り込んでいる自分を見つめたとき、地球という星の存在さえも無に等しいのに、何十億人という人間が存在しているのだから、表現できないほどの微小さなのだ・・・

広大な宇宙と、微小な自分との対比・・
あまりにも比較できない物同士の存在・
24時間で自転し、365日で太陽を公転する地球・・宇宙の一員として、守り抜く存在。
月でさえ、進む道は守っている。

そんなことが見え出したとき、無のような自分の存在感が変わりだしたのです。
滑稽に見えていた手の上の虫さえ、存在の意味があり、周りにある岩や木々も大きな意味をもって存在することに気づいたのです。

その時、何かの目的を見つけたのではないけれど、自分の存在の意義を見つけようと
山を下りました。
 

「九雀物語」最終13話

2014-05-17 23:31:22 | 日記
      創作童話「九雀物語」第13話

(ジェイ)は(鳳凰)から言われたように、大きな峰を見下ろす大空から更に天空を見上げて羽に力をこめました。

すると、その瞬間(ジェイ)は自分が何処にいるか理解できないようになったのです。
それは、山や海を抱えた(地球)と教えられたところからは全く異なった暗黒の世界でした。 

しかし、よく観てみると遠くに(地球)のようなものが見え、さらに同じようなものが
いくつもあることが見えてきました。

(ジェイ)は(鳳凰)が与えてくれた特別の力で(宇宙)に飛び出したのでした。

心細くなりながら(鳳凰)に問いかけました。
 「私は何処にいるのですか?」

(鳳凰)が応えます。
 「そこは(宇宙)というところだ!
  よく観てごらん!ひとつ明るく燃えるように輝いているものが見えるだろう」
 
(ジェイ)が眼を凝らしてみると、確かに遠くに炎のように明るいものを見つけることが出来ました。



(鳳凰)
 「あれは(太陽)と言うんだ!あの(太陽)を中心に(地球)のような星がいくつか周って小さな宇宙を造っているんだ!」
 「あの(太陽)がなければ、お前たちも人間も生きていけないんだ」

(ジェイ)
 「朝に山の上に昇ってきたり、夕方に森のかなたに沈んでいく(お日様)のことだね」
(鳳凰)
 「良くわかったね! あの(太陽)が(地球)に活きる力を送ってくれるのだよ」
 「驚いただろうが、今、見ている(宇宙)はほんの一部でしかないんだ」
 「こんな壮大な(宇宙)と言われるのものが、この何十倍、何千倍、いや数え切れない大きな世界があるのだ」

 「それなのに、この(宇宙)というものはお互いを護って関係を保っているんだ」
 「(ジェイ)どうだい! もっとおおきな(宇宙)を観てみるかな?」
(ジェイ)
 「ありがとうございます! でも、これで充分です!」

(鳳凰)
 「そうか!賢明だね! それでは、冒険は終わって、今までいた森へ帰ることにしよう。  気持ちを森のほうへ向けてごらん。」

(ジェイ)は言われたように(こころ)を懐かしい森のほうへ向けてみました。
すると、一瞬の瞬きをする間もなく、今までの暗黒の宇宙から緑いっぱいの森の大樹
のところに来ることが出来ました。
そして、その傍には(鳳凰)ではなく、老いた姿の雀が待っていました。

森へもどってきた(ジェイ)に老いた雀が問います。
 「どうだね、冒険は?」
(ジェイ)
 「はっきりはわからないけれど、何か本当のことを知らなければならないと思いました。 だから、もう一度、元の雀に戻って生きていきたいです。」
(老いた雀)
 「それは良いことだ! 他の小雀も(こころ)は同じだね?」
 「では、元の姿に返してあげよう!再び(孔雀)にはなれないよ!」
そう言って大空へ、以前と同じような鋭い声を発すると孔雀だった(ジェイ)の姿は
なくなり、(トキ)(カイ)(キキ)(ダンと五羽)の小雀が現れました。

(老いた雀)がその姿を見て微笑みながら語ります。
 「何が、本当かと言うことは、なかなか難しいことがわかっただろう。
  今、見てきたことは(こころ)の中で感じたことで、本当に体感したのではないのだ! このことは(こころ)をもつ人間だけに与えられた力だが、すべての人間が体感できるのではないのだ。
  同じ人間でも瞬間瞬間に(獣)や(昆虫)のように大切な(こころ)をなくしてしまうことがあって、生きることの中にたくさんの困難をかかえてもがいているものも沢山いるんだ。 お前たちが疑問に思った人間が起こしている(戦争)もその現われだろう。」

 「大切なことは、お前たちが(宇宙)で観た(太陽)もいつかその力を失い、護ってきた小さな(宇宙)もなくなるだろう。
  生まれたからには必ず消滅があるから、そのために与えられた時間を生き抜くことだよ!
  
 そこに立っている大きな樹を見てごらん
 樹は大きな幹が存在感があるけれど、その先には小枝があり沢山の葉があるだろう、そして見ることの出来ない土の中には無数の根が走っていていっぱいの養分を樹に運んでいるんだ。

  もし、葉が自分は幹になりたい、枝になりたいといって好きなようにしたらこの大きな樹は立っていられないし、ここまでになることは出来ないんだ。

  お前たちは、生まれたことを不足に思って(孔雀)になってみたけど、それは
お前たちの役目ではないのだ。 わかったかな?」

小雀に戻った(カイ)が照れながら(鳳凰)だった雀に向って
 「こんな小雀に沢山のことを見せてくれてありがとう。
  また、森へ帰って、親父さんたちと自分らしくがんばってみます。」


そして夕暮れになり九羽の小雀はそれぞれぞれの巣へ戻っていきました。

     創作童話「九雀物語」 終了


「九雀物語」12話

2014-05-17 23:29:39 | 日記
      創作童話「九雀物語」第12話

(鳳凰)が語りかけてきます。
 「おどろく大きさだろう! この大陸がいくつも連なり、海や川と交わって
  (地球)という星になっている。 
  このほとんどを人間が支配しているのだ、
  いまいる所から、次の大陸に行ってみなさい!」

(ジェイ)は鳳凰が言うように、その羽ばたきの力を増すと、延々と続く大きな峰が現れてきました。 そしてその峰のほとんどが真っ白い雪で覆われていました。

(鳳凰)が話します。
 「ジェイよ! こんなところを見たことはないだろう!」
(ジェイ)がその圧倒的な風景と美しさに感嘆しながらも、経験したことのない偉大なものの存在を実感していると、(鳳凰)が更に話します。


 「こんな壮大なものにも人間は、あの脚で登ってくるんだ」
 「その(こころ)の強さには、(神の使い)の私でも驚くほどだ」
 「そんな優れた人間でも、遠い昔、多くの人を支配し、権力を持った(王様)と呼ばれた者が、その力を誇示するために、空を越えるような塔を建てて(神様)の
  恵みを忘れてしまったのだ。」
 「(神様)はその間違った(こころ)を戒めるために塔を破壊し、人間が人間を統率できないように、互いの言葉を変えてしまわれたのだ。
  そのために、それぞれが(自分)が正しいと主張するようになり(戦争)という
  大きな争いをするようになったのだ。」

「ジェイ」が尋ねます。
 「(神様)はなぜ人間が争うようなことを許されるんですか?」

「鳳凰」
 「そうだな!そう思うだろう! (正しい)というこは難解なことだ。
  そのことを、今わからずとも、私が与えた力で他の世界を観てくれば、わかるときがくるから、その旅をしてきなさい!」
「ジェイ」
 「じゃあ! もっと速く飛んでみよう!」
          第12話終了

「九雀物語」11話

2014-05-17 23:28:33 | 日記
       創作童話「九雀物語」第11話

特別な力をもらって孔雀の姿になった「ジェイ」が思い切って美しい羽を広げて、
わずかなはばたきをしただけなのに「ジェイ」の体は大空高くに舞いあがっていました。
子雀の時、大空高く飛びあがる(ひばり)の姿に驚いたことを思い出したのですが、
一瞬のうちに大きな山を越える高さにいることで、「鳳凰」の言っていたことが本当であることを実感したのでした。

そして言われてやように(こころ)で「鳳凰」に問いかけてみました。
ジェイ
「鳳凰さん!これからどんなことをすればいいんですか!」

即座に(鳳凰)が(ジェイ)の(こころ)に語りかけてきます。

鳳凰
  「雀に生まれたお前たちは、与えられた命の大切さを知ることなく  
   正しいものを観ることが出来ず、勝手な行いをしようとしていた。
   それは、人間のように(こころ)を持つようになったからなのだ。

   人間は、お前たち(鳥)や(獣)にはない(こころ)を持つことによって
   眼では観れない(宇宙)をふくめた世界を支配する(神様)との交わりをすることが出来るようになったのだが、その大切な能力を正しく使うこを忘れて、
(神様)から与えられた貴重な宝物を無くそうとしているんだ」。
  「(ジェイ)よ!今から、もっと大きくはばたいて本当の世界を観てきなさい!」

ジェイはあまりにも難解な道を教えられながらも(鳳凰)が伝えようとしていることを理解し始め、これから見るであろう(世界)へ大きな期待を持ったのでした。

そして、教えられたように自分たちが生きている(地球)という世界を観ようと次のはばたきをしました。
今まで、親鳥とエサをさがして飛び回っていた、森や山はあっという間に小さくなり、
とてつもなく巨大な海を見渡せるような所から、いくつもの大陸があることがわかってきました。
        第11話終了


「九雀物語」10話

2014-05-17 23:26:51 | 日記
 創作童話「九雀物語」第10話

小雀らしい九羽の願いを聞いていた神の使い「鳳凰」はゆっくりとその輝く大きな羽を広げ、今まで語りかけていた優しい声ではなく、岩をも砕くような鋭い声を天空へ発したと思ったら、そこから大きな雲のようなものが小雀の周りを包むように舞い降りてきました。
そして、あっけにとられていた小雀の姿はなくなり美しい「孔雀」が現れました。



「鳳凰」が孔雀に語りかけます。
 「お前たちが望んでいる(孔雀)に変えてあげたよ、満足かな?」
 「この(孔雀)の姿は、お前たち九羽が気持ちを一緒にしたから
  特別に能力をもった一羽の(孔雀)になったのだ」
 「名前を(ジェイ)としよう。
  (ジェイ)は、これから私との繋がりを人間と同じような(こころ)で行うことが出来るから、わたしが見えなくても、何処からでも語りかけたら私が応えることができる。」
 「そして、先程言った(特別の能力)とは、この世の孔雀とは違い何処へでも瞬時に
移動できる力だ! その力を使うと、今お前たちが生きている世界から全く違う世界へも行くことが出来るんだよ!」

九羽の小雀から孔雀の姿に変身してもらい、新しい名前を与えられた(ジェイ)は、あまりにも不思議な出来事に驚きながらも、あこがれていた(孔雀)になったことに少なからず気持ちを高揚させて「鳳凰」に(こころ)の会話を始めます。
「ジェイ」
 「(鳳凰)さん、ありがとうございます。でもこれからはずっと(孔雀)のままなんですか? それと特別の力で行ける(違う世界)とはどんなところなんですか?」

「鳳凰」
 「(ジェイ)よ! よく聞きなさい!私が言う(違う世界)とは、お前たちが生きてきた森や川、海のあるこの場所を(地球)と人間は呼んでいる、それはお前の親たちさえ知らない大きな世界なのだ。 そしてその場所でお前たち(雀)、お前を
  護ってくれた(カラス)、力のある(鷲や鷹)なんかの空を飛ぶことの出来るものや、犬や猫・牛や馬、川や海を泳ぐ魚。 アリやこおろぎの虫の仲間。
  それに人間だ! 知らないだろうが、同じ人間でも話す言葉が違うものが何十種類以上もいるんだよ!」
 「(ジェイ)がもった能力は、そんな(地球)という星からも飛び出して(宇宙)という 
  人間でもまだ行ったことのない世界を観ることの出来る力なのだ!」
 「その力を使って、九羽の(こころ)をひとつにして冒険してきなさい!
  そして、また元の(雀)に戻りたい時は、九羽の(こころ)をひとつにして
  私に尋ねなさい! 一度だけ機会を与えてあげよう!
  わかれば、行きなさい! 困れば(キキ)が持っている方法でカラスの(ライ)を
  呼びなさい! (ライ)の本当の姿は「正しいことを行う」ため、護る役目を与えられた使者なのだから!」

動揺の気持ちを持ちながらも(鳳凰)の語り掛けに少しずつ自信を持ち始めた
(ジェイ)は、その気持ちと同じように大きく美しい羽を広げ、
大空へ視線を向けました。

新しい冒険が始まりました。

            第10話終了