創作童話「九雀物語」第13話
(ジェイ)は(鳳凰)から言われたように、大きな峰を見下ろす大空から更に天空を見上げて羽に力をこめました。
すると、その瞬間(ジェイ)は自分が何処にいるか理解できないようになったのです。
それは、山や海を抱えた(地球)と教えられたところからは全く異なった暗黒の世界でした。
しかし、よく観てみると遠くに(地球)のようなものが見え、さらに同じようなものが
いくつもあることが見えてきました。
(ジェイ)は(鳳凰)が与えてくれた特別の力で(宇宙)に飛び出したのでした。
心細くなりながら(鳳凰)に問いかけました。
「私は何処にいるのですか?」
(鳳凰)が応えます。
「そこは(宇宙)というところだ!
よく観てごらん!ひとつ明るく燃えるように輝いているものが見えるだろう」
(ジェイ)が眼を凝らしてみると、確かに遠くに炎のように明るいものを見つけることが出来ました。
(鳳凰)
「あれは(太陽)と言うんだ!あの(太陽)を中心に(地球)のような星がいくつか周って小さな宇宙を造っているんだ!」
「あの(太陽)がなければ、お前たちも人間も生きていけないんだ」
(ジェイ)
「朝に山の上に昇ってきたり、夕方に森のかなたに沈んでいく(お日様)のことだね」
(鳳凰)
「良くわかったね! あの(太陽)が(地球)に活きる力を送ってくれるのだよ」
「驚いただろうが、今、見ている(宇宙)はほんの一部でしかないんだ」
「こんな壮大な(宇宙)と言われるのものが、この何十倍、何千倍、いや数え切れない大きな世界があるのだ」
「それなのに、この(宇宙)というものはお互いを護って関係を保っているんだ」
「(ジェイ)どうだい! もっとおおきな(宇宙)を観てみるかな?」
(ジェイ)
「ありがとうございます! でも、これで充分です!」
(鳳凰)
「そうか!賢明だね! それでは、冒険は終わって、今までいた森へ帰ることにしよう。 気持ちを森のほうへ向けてごらん。」
(ジェイ)は言われたように(こころ)を懐かしい森のほうへ向けてみました。
すると、一瞬の瞬きをする間もなく、今までの暗黒の宇宙から緑いっぱいの森の大樹
のところに来ることが出来ました。
そして、その傍には(鳳凰)ではなく、老いた姿の雀が待っていました。
森へもどってきた(ジェイ)に老いた雀が問います。
「どうだね、冒険は?」
(ジェイ)
「はっきりはわからないけれど、何か本当のことを知らなければならないと思いました。 だから、もう一度、元の雀に戻って生きていきたいです。」
(老いた雀)
「それは良いことだ! 他の小雀も(こころ)は同じだね?」
「では、元の姿に返してあげよう!再び(孔雀)にはなれないよ!」
そう言って大空へ、以前と同じような鋭い声を発すると孔雀だった(ジェイ)の姿は
なくなり、(トキ)(カイ)(キキ)(ダンと五羽)の小雀が現れました。
(老いた雀)がその姿を見て微笑みながら語ります。
「何が、本当かと言うことは、なかなか難しいことがわかっただろう。
今、見てきたことは(こころ)の中で感じたことで、本当に体感したのではないのだ! このことは(こころ)をもつ人間だけに与えられた力だが、すべての人間が体感できるのではないのだ。
同じ人間でも瞬間瞬間に(獣)や(昆虫)のように大切な(こころ)をなくしてしまうことがあって、生きることの中にたくさんの困難をかかえてもがいているものも沢山いるんだ。 お前たちが疑問に思った人間が起こしている(戦争)もその現われだろう。」
「大切なことは、お前たちが(宇宙)で観た(太陽)もいつかその力を失い、護ってきた小さな(宇宙)もなくなるだろう。
生まれたからには必ず消滅があるから、そのために与えられた時間を生き抜くことだよ!
そこに立っている大きな樹を見てごらん
樹は大きな幹が存在感があるけれど、その先には小枝があり沢山の葉があるだろう、そして見ることの出来ない土の中には無数の根が走っていていっぱいの養分を樹に運んでいるんだ。
もし、葉が自分は幹になりたい、枝になりたいといって好きなようにしたらこの大きな樹は立っていられないし、ここまでになることは出来ないんだ。
お前たちは、生まれたことを不足に思って(孔雀)になってみたけど、それは
お前たちの役目ではないのだ。 わかったかな?」
小雀に戻った(カイ)が照れながら(鳳凰)だった雀に向って
「こんな小雀に沢山のことを見せてくれてありがとう。
また、森へ帰って、親父さんたちと自分らしくがんばってみます。」
そして夕暮れになり九羽の小雀はそれぞれぞれの巣へ戻っていきました。
創作童話「九雀物語」 終了
(ジェイ)は(鳳凰)から言われたように、大きな峰を見下ろす大空から更に天空を見上げて羽に力をこめました。
すると、その瞬間(ジェイ)は自分が何処にいるか理解できないようになったのです。
それは、山や海を抱えた(地球)と教えられたところからは全く異なった暗黒の世界でした。
しかし、よく観てみると遠くに(地球)のようなものが見え、さらに同じようなものが
いくつもあることが見えてきました。
(ジェイ)は(鳳凰)が与えてくれた特別の力で(宇宙)に飛び出したのでした。
心細くなりながら(鳳凰)に問いかけました。
「私は何処にいるのですか?」
(鳳凰)が応えます。
「そこは(宇宙)というところだ!
よく観てごらん!ひとつ明るく燃えるように輝いているものが見えるだろう」
(ジェイ)が眼を凝らしてみると、確かに遠くに炎のように明るいものを見つけることが出来ました。
(鳳凰)
「あれは(太陽)と言うんだ!あの(太陽)を中心に(地球)のような星がいくつか周って小さな宇宙を造っているんだ!」
「あの(太陽)がなければ、お前たちも人間も生きていけないんだ」
(ジェイ)
「朝に山の上に昇ってきたり、夕方に森のかなたに沈んでいく(お日様)のことだね」
(鳳凰)
「良くわかったね! あの(太陽)が(地球)に活きる力を送ってくれるのだよ」
「驚いただろうが、今、見ている(宇宙)はほんの一部でしかないんだ」
「こんな壮大な(宇宙)と言われるのものが、この何十倍、何千倍、いや数え切れない大きな世界があるのだ」
「それなのに、この(宇宙)というものはお互いを護って関係を保っているんだ」
「(ジェイ)どうだい! もっとおおきな(宇宙)を観てみるかな?」
(ジェイ)
「ありがとうございます! でも、これで充分です!」
(鳳凰)
「そうか!賢明だね! それでは、冒険は終わって、今までいた森へ帰ることにしよう。 気持ちを森のほうへ向けてごらん。」
(ジェイ)は言われたように(こころ)を懐かしい森のほうへ向けてみました。
すると、一瞬の瞬きをする間もなく、今までの暗黒の宇宙から緑いっぱいの森の大樹
のところに来ることが出来ました。
そして、その傍には(鳳凰)ではなく、老いた姿の雀が待っていました。
森へもどってきた(ジェイ)に老いた雀が問います。
「どうだね、冒険は?」
(ジェイ)
「はっきりはわからないけれど、何か本当のことを知らなければならないと思いました。 だから、もう一度、元の雀に戻って生きていきたいです。」
(老いた雀)
「それは良いことだ! 他の小雀も(こころ)は同じだね?」
「では、元の姿に返してあげよう!再び(孔雀)にはなれないよ!」
そう言って大空へ、以前と同じような鋭い声を発すると孔雀だった(ジェイ)の姿は
なくなり、(トキ)(カイ)(キキ)(ダンと五羽)の小雀が現れました。
(老いた雀)がその姿を見て微笑みながら語ります。
「何が、本当かと言うことは、なかなか難しいことがわかっただろう。
今、見てきたことは(こころ)の中で感じたことで、本当に体感したのではないのだ! このことは(こころ)をもつ人間だけに与えられた力だが、すべての人間が体感できるのではないのだ。
同じ人間でも瞬間瞬間に(獣)や(昆虫)のように大切な(こころ)をなくしてしまうことがあって、生きることの中にたくさんの困難をかかえてもがいているものも沢山いるんだ。 お前たちが疑問に思った人間が起こしている(戦争)もその現われだろう。」
「大切なことは、お前たちが(宇宙)で観た(太陽)もいつかその力を失い、護ってきた小さな(宇宙)もなくなるだろう。
生まれたからには必ず消滅があるから、そのために与えられた時間を生き抜くことだよ!
そこに立っている大きな樹を見てごらん
樹は大きな幹が存在感があるけれど、その先には小枝があり沢山の葉があるだろう、そして見ることの出来ない土の中には無数の根が走っていていっぱいの養分を樹に運んでいるんだ。
もし、葉が自分は幹になりたい、枝になりたいといって好きなようにしたらこの大きな樹は立っていられないし、ここまでになることは出来ないんだ。
お前たちは、生まれたことを不足に思って(孔雀)になってみたけど、それは
お前たちの役目ではないのだ。 わかったかな?」
小雀に戻った(カイ)が照れながら(鳳凰)だった雀に向って
「こんな小雀に沢山のことを見せてくれてありがとう。
また、森へ帰って、親父さんたちと自分らしくがんばってみます。」
そして夕暮れになり九羽の小雀はそれぞれぞれの巣へ戻っていきました。
創作童話「九雀物語」 終了