知り難きこと陰のごとく

デジモノ、嗜好品好きなWebプロデューサーのブログ。ソーシャルとは何なのか探求したいです。

スマートウォッチの歴史を探ってたら面白かったのでござる

2016-03-28 19:15:28 | Weblog

AppleWatchの廉価版投入や、タグホイヤーによるAndroidWearを搭載したコネクテッドウォッチの発売、あるいはカシオが本格的にスマートウォッチに参入するなど、“腕時計型端末”市場がさらに注目されてきている気がします。

そんな時に、ヴィレッジヴァンガードの下北沢店をぶらぶらしてたらこんなのが。

カシオ hotbiz

ヴィレヴァンでは「なんとタッチパネルだぜ」的なPOPが。ググってみたら1996年発売。

“スマートウォッチ”的なものはそんな昔からあるのか…?と思い調べてみました。

ちなみに腕時計型端末を網羅的に調べたかったので、あえて「スマートウォッチとは何なのか」の定義づけをしてません。

昔からデジタルデバイスにあった方は「懐かしい」、もう少し若い方は「へーこんなのあったんだ」くらいで見ていただければと思います。


◆先に結論書く

今日のエントリは長めなので先に結論。

時計はそもそも特権的階級層が「時間」を身にまとう特別なもので、産業革命で大衆層にも広がった。同じようにパーソナルコンピュータが生まれて、それを身にまとうために腕時計型端末が生まれたように思う。しかしながら「身にまとうコンピュータ」であるスマホが先に普及してしまった。よって腕時計はスマホを補完する機能を提供するのが使い方になっていくと思う。
一方で今のデザインはダサい。フォーマルな場で付けられない。そのへんの課題を解決するのがひとつの道であるような気がする。

というところです。では過去を振り返ってみましょう。

■歴史をサマリーで振り返る

・模索の1980年代
最初はSEIKO。マニアの間では「腕コン」の愛称で知られるUC-2000

キーボードやコントローラと無線方式でデータ転送できる。世界初のリストコンピュータは30年以上前の1984年発売。

時計部分はあくまで「表示」の立ち位置でオプションのコントローラやらキーボードが必要。

当時で19,000円というのは価格的にどうだったんでしょうか…?パソコンとかの値段と比べると安かったのではないかと思われます。ちなみにこないだアンティークウォッチ店ではデッドストックで30,000円超えてた。

こんな感じで使うみたい。

キャッチコピー「システムはみんなで」とか今でも通じる先端さを感じますよね。



次はEPSON。
こちらも1984年発売。
RC-20


近未来感あふれるセイコーと違って洗練感をアピール。


「腕に、汎用8bit」とか痺れるコピーですね。

タッチパネルなんですね。当時で34,800円。

・通信の形が見えてきた1990年代
またもやセイコー。アメリカのAT&Tと1990年に開発。世界初のポケベルウォッチ。
RECEPTOR


使い方はポケベルと同じ。
使う人同士がコードナンバーとその意味を決めておいてやりとりする
(例えばコードナンバー「1」は「直帰します」「2」なら「了解」とか)。

次はお馴染みTimex。アナログなものだと、米軍向けのディスポーザブル(使い捨て)ウォッチの「キャンパー」などが有名ですが、デジタルなモノも作っています。
datalink

1995年に発売。よく見ると時計の下部になんと“Microsoft”のロゴ。

これはMicrosoftのOutlookのスケジュールやメールのデータを専用ソフトを使うことからこのロゴが付いているものと思われます。データの転送方法が凄くて、こんな感じ。


画像だけ見ると狂気を感じる…w
時計に受光部があってブラウン管の信号を読み取ってデータを受診するらしいのだけど、どういう仕組みなんだろう…

後続で出たのがカシオ。
カシオはTimexを追うように、1999年にPC UNITEを出してます。こちらは予定表やメモ、カレンダーといったデータを赤外線ポートからダウンロードする機能が付いています。価格は99ドル。



・現在に通じる2000年代
EPSONは日本語に対応した
CHRONO BIT

こちらは2000年に発売。当時は59,800円。タッチパネルとベゼル部分がキーボードに。
EPSONが用意したオープンソースのソフトウェアをダウンロードして色々遊べる。
ボタン電池じゃなくてリチウムイオン電池。充電してる様子とかかなり今っぽくなってきてる。


同じく2000年にはSamsung。
Watch Phone

CDMA方式の腕時計型携帯電話。出っ張ってる部分がアンテナ。

2001年にはTimex。
Internet Messenger

米Yahoo!と連携してニュースとか株価がスクロールして表示されるらしい。
本体99ドルで、メッセンジャーとか使うのに月額で通信料金9.99ドル。

同じく2001年にIBMとシチズンが手を組んだのがこれ。
Watch Pad

linuxベースで作られてるらしいんだけど、機能とかスペック見ると最先端いきすぎてる。
・指紋認証
・加速度センサー
・ベルト部に内蔵されてるBluetoothでPC操作
・トリガーデバイス、ある箇所に近づくと反応する。空港でチェックインとか、車に乗り込むとミラーが調整されるとか。
スペックだけ見てると今のウェアラブルデバイスにある機能は備えていますね…。販売されたのかな?

2001年には腕時計メーカーとしては新興ブランドだったFossilから。
Wrist PDA

翌年には
Wrist PDA with Palm OS


ほとんど機能的には変わらなかったようで、メモ帳、アドレス帳、そして他のPalmデバイスに転送も可能。
PalmOS搭載でサードパーティのアプリとかも使えたみたい。
価格は200ドルから。 
Fossilのホームページとかhistoryにも載ってないから黒歴史なんだろうか..

2003年にはNTTドコモから。
WRISTOMO(リストモ) 



アラサーには懐かしい画面だ..w

時計モードとPHSモードを切り替えるのね。
37,000円。このへんから「ウェアラブルデバイス」という単語が定着。

同じく2003年にはシチズンとFossilの共同開発製品とアウトドアでは超有名なSUUNTOも「n3」を発表。
Microsoftが提唱するSPOT(FM放送のサブ帯域で流される文字情報データを受信して動作する)対応型の端末。

◆そして戦国時代へ
2012年くらいからセンサーやICチップの小型化も相まって、既存の時計メーカーに加えて通信系企業、新興企業なども加わり一気に加速します。時計にプラスアルファ(心拍とか)の機能が盛り込まれているものも集めてみたので漏れはあるかと思います。

Sony
Smartwach

Androidの着信や通知を腕時計で知らせるというもの。
149ドル。

Qualcomm
Toq

こちらもスマホの通知を伝えたり、同梱のBluetoothヘッドセットで通話できたりする。

Casio
G-SHOCK GB-5600AA


2012年発売のこの端末はあくまで「Bluetooth内蔵のG-SHOCK」という位置づけ。G-SHOCKのタフさを引き継ぎつつ、スマホの通知を知らせる。でもすぐ生産終了してしまった。18,000円。

Kickstarterなどのクラウドファンディングの台頭でスタートアップもモノづくりに参入しやすくなった。代表的なのは次の2社かな。
pebble
Pebble Watch

ディスプレイに電子書籍端末で使われている電子ペーパー採用。
これまで腕時計型端末の弱点だった重量やバッテリーの問題をクリアした。

cookoo
The COOKOO watch

アナログベースのデザイン。Facebookとの連携がウリのひとつでメッセージとかイベント招待の通知をしてくれる。

お次にプロ系の端末メーカーからの腕時計型端末2つ。
garmin
Garmin quatix™ Recall

プロのアウトドアマンが使うハンディ型のGPS端末を作っていたGarminからも。
GPS搭載で、自動気圧高度計キャリブレーション、3軸コンパス、温度センサー、潮見表などガチ仕様。
定価は7万円くらいとさすがの高価格。

SUUNTO
SUUNTO Quest

ラップ機能が付いた心拍を図るのがウリのランナー向けの腕時計端末。
記録したデータをデータベースに飛ばせる。2万円くらいから。

そしてSamsung。連投で新製品を出していますが、最新端末は「Samsung Gear S2」です。
Gear S2
 

AndroidWear搭載で、スマホとの連携が可能です。円形デザインで盤面のカスタマイズが可能。“サークルUX”と言う独特の操作方法が特徴で、ベゼルを回すことによって、メールをスクロールしながら読む・地図を拡大縮小・音楽のスキップが可能です。また、防水防塵で24時間つけることで心拍数を定期的に記録することもできます。ただし電池寿命は通常モードで約3日です。

続いてApple。
AppleWatch

豊富なバンドの種類が特徴で、時計の持つファッション性を最大限に引き出したデバイスといえるかもしれません。iPhoneと連携してメールや電話の通知や受け取りができることや、時計らしいリュウズによる操作なども目新しいものでした。

そして直近だとカシオ。
WSD-F10
 

前のG-SHOCKと違うのは明確に「Smart Outdoor Watch」と呼んでいることでしょうか。モノクロとカラーの液晶を重ねた2層構造のディスプレイを採用することによって、時刻情報のみをモノクロ液晶に表示することによって電池寿命を1ヶ月以上に伸ばすことに成功しています。

 

というわけで今日は“スマートウォッチ的なるもの”をざっと歴史を振り返ってみました。

これからは新しく出る端末を見るときには、先人たちの苦労や知識、そして培ってきた技術などがその端末に詰まっていると思うと胸アツな気分になるのではないでしょうか。

ではまた。


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1 Comments

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Unknown (とおりすがり)
2015-10-05 21:54:16
カシオHOTBIZ、その昔買いたかったんですけど高くて断念しました(-_-)
このHOTBIZって、Applewatchとかのスマートウォッチのその前身ですよね。今カシオもスマートウォッチを開発していて、来年1月に発表するとの事ですけど、このHOTBIZみたいな時計になる事を期待したいです。
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