ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 71ページ目 3本のコルトン・シャルルマーニュのトリック  

2013-03-24 22:54:18 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【71ページ】


「悔しがっている人物とは、シャルルマーニュ皇帝ですね?

赤ワインを飲んでいると、ひげが赤く染まり、周囲の人々がはやし立てた。

それで怒った皇帝は彼のブドウ畑から赤ワインを造ることを一切許さず、

すべて白ワインにした。」


 白庭社長は、和音のメンタリズムに乗ったつもりでいた。


「和さんのヴィンテージの答えは悔しがるの『くや』にヒントがあるのでは?

1998年が和さんの答えでは?」


「残念ながらイメージの人物は男性ではなく女性なのです。」

「ええ? 女性?」


白庭社長は、和音の言葉に意表をつかれた。


「そうです。このコルトン・シャルルマーニュドメーヌ・ルロワのオーナー

マダム・ルロワではないでしょうか?」


「彼女が悔しがっている?」

「はい、コルトン・シャルルマーニュドメーヌ・ルロワはコルトン・シャルルマーニュの

中で最高の評価を得ていますが、それゆえ同業者からの妬みも多い。

彼女のワインは生産量が少なく希少価値をつけているが、実はセラーに大量のワインを

隠しているのではといったうわさを聞き悔しがっているのです。」

「マダム・ルロワのことでしたか?

イメージの人物は間違えましたが、和さんの答えのヴィンテージは1998年でしょう?」