社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

荻原浩『家族写真』

2016-02-21 19:41:56 | 趣味(読書)

初めての作家の作品だ。荻原浩氏の『家族写真』。帯の紹介を読んで、興味を持った。7つの短編集で構成され、内容は非常に身近な事を作品にしている。そして、特に最初の物語の「結婚しようよ」では、定年間際の父親と娘の話が掲載されているが、まるで私の時代背景と同じだ。

主人公の仕事の話が以下のように説明されている。

主な仕事は書類や伝票に目を通し、決裁印を押す事。
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私が主導して新しく何かを為す事はことはない。
会議や課内の決断は、私より二十歳若い係長に任せ、私は聞き役に徹している。よけいな口ははさまない。長期的なプロジェクトに関しては会議にも出ない。むしろそれがいまの私にできる最良の仕事だと思っている私はあと半年、今年の七月で定年退職する。
私抜きで仕事が進むようにするのは、自分が思っているほど難しいことではなかった。定年が近づくと、自分が職場の中でどういう人間であったのかが、よくわかる。自分の人生がどうのようなものだったかも。
五十九歳。自分は本当は何になりたかったのか、結局わからないまま、この年になってしまった。

まるで、私の一年前と同じだ。私も、最期の最期の日まで、伝票のチェックと決裁印を押した。長期的な会議には一切出なかった。余計な事には一切口をはさまなかった。決断も後輩の課長に一切まかせた。自分抜きで仕事が進むようにするのは、思っていた以上に簡単だった。但し1年前からそうなるように仕向けたからだが。そう、1年前から定年退職する事を周りにアピールし続けた。

そして定年で、私への周りの人の評価が大変良く分かった。

自分は本当は何になりたかったのか、結局わからないまま、この年になってしまった。そして改めて、昔の夢を考えるようになった。従って定年後、好きな事を自由にできる自分がいる事を認識している。

家族写真

書 籍:家族写真 
おぎわらひろし
著 者:荻原 浩
発行日:2013年5月29日初版
発行者:鈴木 哲
発行所:株式会社講談社
定 価:本体1400円+税

家族写真帯上
家族写真帯下

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