堂場瞬一『グレイ』の次は今回紹介する『Sの継承』だ。この作品は長い。とにかく長い。しかし、戦後の復興から安保闘争、1960年の国会議事堂前の安保改定反対デモから、現代まで繋がる一連の事件。国を憂いながら、政治やデモ等での政権転覆を狙うのではなく、毒ガスを使ったテロでのクーデターを考えた3代に渡る男たちの物語。
その背景にある考え方には、私的には共感するが、一方で非常に危険な考え方である事には間違いない。議会制民主主義への否定につながるからだ。
しかし、今の政治家の無能さを考えると、この作品の中に出てくる直接民主主義と言う概念も非常に興味深いのは確かだろう。そこまで官僚を信用して良いかは難しい所だが……
書 籍:Sの継承 | |
1963年、日本列島が翌年開催の東京オリンピック準備に沸く中、群馬県前橋市では人知れずクーデター計画が進行していた。 国を正したいという使命感に燃える青年・松島は、財界の重鎮・国重に誘われ毒ガスの開発に踏み出す。 2013年、首相を人質に議員総辞職を求め、国会議事堂前で毒ガスを盾に車に立てこもった青年。タイムリミットは12時間。捜査一課特殊班警部補・峰脇は、その正体を探るが……。 時空を超えたふたつの事件を繋ぐミッシングリンクは白骨死体と「S」。その正体とは!? | 1963年、五輪前夜に人知れず計画されたクーデター 2013年、警察を翻弄する連続毒ガス事件 時空を超えたふたつの事件を繋ぐミッシングリンク「S」 著者新境地、長篇書き下ろし |
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