連続で東野氏の作品を紹介している。今回の作品は実は相当古い。書籍自身は2011年の1月に発行されているが、いずれも氏の大昔の作品、短編を収録している。従って氏の最近の作品とは大分傾向が異なっている。しかし逆に氏の昔の作品を読む意味ではなかなか面白い。氏の書記の作品はどれも哀愁が漂っており、私はその全てが好きだ。まあこの辺は、あとがきにも氏が掲載されているので、ぜひ読んで欲しい。
さてこの短編集の中の一つ、「さようなら『お父さん』」だが、これは氏の『秘密』の原型だ。あとがきにも掲載されているが、「作品として不満だったから、長編として書き直したのです。そんなものを商品として出していいものだろうかと悩みました。しかし担当編集者の、「これはこれで別物として面白い」と言う意見と、ダニエル・キースが『アルジャーノンに花束を』の短編バージョンを短編集に収録していることに力を得て、思いきって載せることにしました。」
とあるように、なかなかこれが面白い。しかし流石に短い。しかしその大筋は全てこの中にある。
杉本平介(へいすけ)は、妻の暢子(ようこ)と娘の加奈江(かなえ)が乗った飛行機が着陸に失敗し、炎上した事を知り、病院に駆けつける。しかし奇跡的に助かった加奈江は・・・
私が、東野圭吾氏を知った最初の作品『秘密』。全てがここから始まった。私に取ってはだが。その原型を読む意味はやはり大きかった。
書籍名:あの頃の誰か |
あの頃の誰か◆東野圭吾 メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマス・イブのホテル争奪戦。あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に踊っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれない誰かの物語。名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』他全8篇収録。 |
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