【ネタバレ】
◎「アリスとテレスのまぼろし工場」
「この少女に近づいてはいけない」
「恋する衝動が世界を壊す」
「この町では変化は悪」
2023年9月15日(金)公開、監督と脚本と原作は岡田麿里、111分。
総合評価点は、上中下で上の下くらい。
菊入正宗(cv榎木淳弥。中学3年生。)、佐上睦実(cv上田麗奈。中学3年生。)、五実(cv久野美咲)のほか、
笹倉大輔(cv八代拓)、新田篤史(cv畠中祐)、仙波康成(cv小林大紀)、園部裕子(cv齋藤彩夏)、原陽菜(cv河瀬茉希)、安見玲奈(cv藤井ゆきよ)の同級生、
佐上衛(cv佐藤せつじ。睦実の義父で製鉄所従業員で見伏神社の代々の社家。変わり者で嫌われているが、爆発以後は権力者になる。)、菊入昭宗(cv瀬戸康史。正宗の父で製鉄所従業員。)、菊入時宗(cv林遣都。正宗の叔父で昭宗の弟で製鉄所従業員。)、菊入美里(cv行成とあ。正宗の母。)、菊入宗司(cv多田野曜平。正宗の祖父。)など。
○メイン3人が向き合って収録したシーンがあると事前に聞いていましたが、睦実と正宗の長い口づけのシーンだということは見れば分かります。
○製鉄所が爆発してから、1日を何度も繰り返していて、人間が成長しない状態、変化しないように毎日同じ事を繰り返すことにしている状態、これらがどういう状況なのかが佐上衛により早めに明かされますが、まあ、これは間違いか嘘だというのがフィクションのお約束だと言っても良いでしょう。しかも、佐上衛がややコミカルに言うので(言動からして、あまり信用できる人物ではない。)、尚更そう思わせます。
本当の理由が明かされるまでの間は少しばかり様子見の気分でした。これが岡田さんの作品ではなければ、分からない状況を楽しみながら見たのかもしれませんが、検証のしようがありません。それだけ、岡田さんの作品には好みに合わないものが多いということでもありますが、本作で、それがいくらか緩和されたような気はしますし、たまたまでしかない気もします。
(岡田麿里さんの作品は、ここでメインキャラを苦しめたり殺せば感動するでしょ、みたいなあざとさが苦手ですが、本作はそういうのではなく。岡田さんの映画なので見るかかなり迷いましたが、PVで上田麗奈さんが良かったので見たところ、上田さんが良かったです。
因みに、宮崎駿さんの映画は、原則として映画館では見ない、映画をTV放送すれば見るかも知れないし見ないかも知れないといったところで、岡田さんの映画は、映画館では見るかも知れないし見ないかも知れない、映画をTV放送すれば見るかも知れない、といったところです。それだけ好みに合いません。TV作品については、深夜アニメ系は原則として見ることにしているので、その範疇です。)
○世界観がよく分からないです。現実世界があって、そこでは大人になった睦実と正宗は結婚して子供がいて、その子供である五実が死後の世界(死んだ睦実と正宗がいる。)に迷い込んでいて、五実だけは成長するのに死んでいる他の人は成長しない、というのはいいとして、五実を現実世界に戻したら死後の世界の妊婦のお腹が成長するのは謎ですし、そもそもこの死後の世界がなんなのかも謎です。死んでも死後の世界で生き続けるということなのか、実は死んでいなくて単なるパラレルワールドということなのか、誰かの夢の中なのか。とかなんとか、見た者どうしでそこを語り合い、分からないところを分からないところとして楽しめるでしょう。こういう設定だという答えがあるのかは知りません。
○変化してはいけないと言う大人たちと変化したい子供(若者)たちの対比に、社会への批評を感じるも良し。
子供たちが望む変化というのが結果オーライでしかありませんでしたが。子供たちがしたことによってあの世界が完全消滅していたかもしれませんが、現状維持は嫌だから完全消滅の可能性があっても変化したいということに、子供たちにどこまでの覚悟があったのかは不明です。
○死後の世界だということで「Angel Beats!」(2010年春のTVアニメ。)を思い出しましたが、ABは自分たちが死んでいて、(ざっくり言うと)未練があるからまだここにいると各キャラが分かっていましたから、だいぶ違いますね。
永遠に続く死後の世界があった方がいいかと言われれば、三食昼寝付き、つまり積極的に何かをしなくても何の苦労もないならあってもいいかも知れないと思わなくもないですが、少なくとも数十年で飽きると思います。現世と同じように働いたりするなら、私はそもそも仕事をしたくないので、死後の世界は不要です。
ABみたいな死後の世界であればあった方が良いとは思いますが、私にそこまでの未練ってあったっけ?、とは思います。
○公式HPから。
「菊入正宗14歳。彼は仲間達と、その日もいつものように過ごしていた。すると窓から見える製鉄所が突然爆発し、空にひび割れができ、しばらくすると何事もなかったように元に戻った。しかし、元通りではなかった。この町から外に出る道は全て塞がれ、さらに時までも止まり、永遠の冬に閉じ込められてしまったのだった。
町の住人たちは、「このまま何も変えなければいつか元に戻れる」と信じ、今の自分を忘れないように〈自分確認票〉の提出を義務とする。そこには、住所、氏名、年齢だけでなく、髪型、趣味、好きな人、嫌いな人までもが明記されていた。
正宗は、将来の夢も捨て、恋する気持ちにも蓋をし、退屈な日常を過ごすようになる。
ある日、自分確認票の〝嫌いな人〟の欄に書き込んでいる同級生の佐上睦実から、「退屈、根こそぎ吹っ飛んでっちゃうようなの、見せてあげようか?」と持ち掛けられる。
正宗が連れて行かれたのは、製鉄所の内部にある立ち入り禁止の第五高炉。そこにいたのは、言葉も話せず、感情剥き出しの野生の狼のような謎の少女。この少女は、時の止まったこの世界でただ一人だけ成長し、特別な存在として、長い間閉じ込められていた。
二人の少女とのこの出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった。
止められない恋の衝動が行き着く未来とは?」
【shin】