2015年秋から2016年冬に放送のアニメの感想です。
◎「ヘヴィーオブジェクト」(全24話。+9話の後に特別編としてメイン声優3人が登場し、鈴木さんがミリンダのパイロットスーツ着用。)
総合評価3.9点(5点満点)
封建的で血統と名誉を重視する正統王国、情報を重視する情報同盟、企業の集まりで経済と財産を重視する資本企業、宗教組織の集まりで思想を重視する信心組織の4大勢力が争いつつバランスを取りつつの世界。超大型兵器のオブジェクトによりクリーン(戦死者を出さない。)な戦争になったとされ、オブジェクトの数で戦いがほぼ決まるものの、どっこい、そうはならない事態が生じたと。
生身の人間の知恵と勇気と偶然でオブジェクトを倒していくという、ご都合主義ばかりの物語ですが、細かいことを気にせずにそこを愉快痛快爽快に感じられるかどうかです。
私は、ツッコミを入れつつ、愉快痛快爽快に楽しみました。すねたり怒ったり笑ったりのミリンダも可愛かったですし。とは言え、私はどちらかというと物語重視派なので、さすがに4点はつけないです。
正統王国の平民でオブジェクトの設計士を目指す学生のクウェンサー=バーボタージュ(cv花江夏樹)、
有力貴族の嫡男でハクをつけるために兵士になったヘイヴィア=ウィンチェル(cv石川界人)、
クウェンサーが好きで、ベイビーマグナムの操縦士(エリート。特定のオブジェクト専用の操縦士。普通の人間では耐えられない、時速500キロ以上で地上を走るオブジェクトの動きに耐えられる改造人間。)で「お姫様」と呼ばれるミリンダ=ブランティーニ(cv鈴木絵理)、
少しのお色気担当で、貴族で18歳だけど3人の上官のフローレイティア=カピストラーノ(cv伊藤静)、
評議会の一員で偉くて威張っているがのちに失脚する、人間がオブジェクトに勝つと国に批判的なゲリラなどが勢いづくとしてクウェンサーらを抹殺したいフライド(cv大林隆介)、
情報同盟で、クウェンサーが気に入ったので欲しいからミリンダと敵対していて、3DCGによりGカップの国民的アイドルを演じているが実は胸のない少女の通称「おほほ」(cv金元寿子)など。
なんで名前がなくて、最後まで通称の「おほほ」でEDにクレジットされるんだよ!とかツッコんだりね。
○ 1話。人間が操縦するもののオブジェクトが人間の代わりに戦争をしてくれ、人間は遠くからパソコンで操ったり、オブジェクトに乗るお姫様ミリンダに任せれば良いというのも、お手軽。クリーンで安全な戦争ということで。
でも、白旗を上げればそれ以上は攻撃しないで、逃げても追い討ちをかけない場合が多いというのは、合理的と言えば合理的な一方、沢山の敵を殺せば殺すほど有利になれるし英雄になれるのが戦争ですから、甘いとも言えます。
ミリンダの汎用型の第一世代オブジェクト、ベイビーマグナムが、戦う場所に特化した第二世代のオブジェクトに負けて、ピンチ。
○ 2話。ミリンダは14歳位で、1話からやけに落ち着いていて、冷めた感じ。白旗を上げたのに敵のオブジェクトが人がいる基地を攻撃してきたときに、ミリンダ(脱出装置で脱出していた。)が救難信号を出してオブジェクトをおびき寄せるとか。敵に捕まって、敵がなぶり殺しにしようか強姦してからにしようかと話している間でも、不安はある様子ですが覚悟はしていたという様子。
ミリンダを助けて、オブジェクトが追ってきていて、逃げている仲間がやられるからということもあって逃げず、合わせて逃げ切れないから乗っ取る方策を考えるクウェンサー。ミリンダとヘイヴィアはオイオイと思いながらもやるしかないと。この時のミリンダは、表情が少し緩みましたし。
オブジェクトに守られてきた軍人が生身で人やオブジェクトに対しなければならなくなったとき、生身で生身の人を殺さなければいけなくなったときの戸惑いや緊迫感というのは当たり前のことですけれど、オブジェクトにより戦争がゲームに見えるようになったということでしょう。
現実世界の戦争でも無人機を遠隔操作して爆撃していますから、似たようなことは起きているのでしょうけれど。
○ 3話。敵の信心組織の人は、クウェンサーらを野蛮な異教徒と罵っていましたが、またそれかよ、と思いましたが。
国では英雄扱いの勝利した3人。貴族のヘイヴィアは、これで除隊して後継ぎに収まるのかと思ったら、引き続き3人で組めとの命令。
○ 4話。ミリンダの体の定期メンテナンスということで、裸でうつぶせで、ただのローションマッサージで、ちょっと色っぽい声。それが制作者の目的でしかないのでしょうけれど。
スマホでのメールのやり取りが増えたことを指摘されて赤くなっていましたから、クウェンサーとは順調なようで、、、というわけでもなかったですね、あとの話を見ていくと。
○ 最終24話。ミリンダ、あれで、よく助かりましたね。このアニメの流れからして助かるに決まってはいますが。
これまでに出てきたいくつかの設定を駆使して助けるクウェンサー、ミリンダはますます惚れましたね。
○ 雪と氷のアラスカやら、暖かい海やら、南極やら、ジャングルやら、山やら。
数話ごとに場面を変えて変化をつけています。
裏切りもあれば、思わぬ協力もあり。
そもそもモテモテのクウェンサーが鈍感なのは主人公のお約束として、ミリンダの恋が成就したのかは不明ですし(最終話で成就したように見えつつ、違うと推測しています。)、そもそもベイビーマグナムの操縦席ばかりで2人が直接会っているシーンは少なかったですし。
いやそもそも、後になるほど、ミリンダの出番が少なかった気も・・・残念。
○ クウェンサーらはオブジェクトの弱点を突いてギリギリの勝利を重ねてきたわけですが、オブジェクトには意外と弱点があるのは、それは作った側の慢心なのでしょう。オブジェクトさえあれば大丈夫という。
戦争に限らず、慢心からは隙が生まれ、それを指摘しても聞く耳を持たず、あるいは保身のために気づかないフリや誤魔化しをし、そこから崩壊していくということなのでしょう。
東日本大震災での東京電力福島原発の爆発、放射能漏れもそうなのでしょうし、そういう状態は現在の日本のあちこちにあるかも知れません。大丈夫だと思われていても、大丈夫じゃなくなったときに被害が大きいものはすべて疑った方が身のためです。
【shin】
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