「猫物語(白)」2話感想。「料理って、味が無くても美味しいじゃない」「嫌いなものがあるっていうのは、好きなものがあるのと同じくらい大切なことじゃない」
2013-07-27 12:32:00
イチャイチャの羽川と戦場ヶ原、三度 猫になった羽川。
引き続き面白いです。
ただ、これまでの物語シリーズよりは分かり易いせいか、考えさせられるという感じは弱いです。
そこは逆に楽しめる要素が増えているので、それはそれで物語シリーズの中の1作として良いですが。
◎ 翌日に父親が帰宅するまで羽川を自宅に泊めるのは妥当として、戦場ヶ原主導のゆりっぽい展開、戦場ヶ原が一緒のシャワーを懇願するシーン、イチャイチャのシャワーシーンや同じ布団で寝るときの戦場ヶ原の ゆりっぽい発言のシーンというのも、意外。
萌要素の増ですかね。物語において意味のある表現でしたから、構いませんが(萌アニメは萌を見せること自体が物語上の意味ですが、物語シリーズは萌は3番目以下の要素であって基本的に萌アニメではない。)。
まあ、2話前半で羽川が思ったように、いろいろあったのに羽川は変わっていないし乗り越えていないし成長していないけれど(「障り猫」に取り憑かれたときの記憶が羽川にないことが大きな原因でしょうが、そういう記憶がないこと自体が羽川の根本的な問題からくるものでしょう。)、怪異に取り憑かれてそれを乗り越え、阿良々木と付き合い、戦場ヶ原も変わったし成長したということでしょう。
現実世界でそこまで大きく変わることがあり得ないとは思いませんが、これはフィクションですから、そんなのもありでしょう。
そんな、ゆりっぽい危険を感じつつも一緒のシャワーと一緒の布団というのは、どんな状況にも馴染んでしまう羽川を描きたかったのでしょうし。
○ そこまでする戦場ヶ原なら、1部屋しかなさそうな戦場ヶ原家でしたが、父親が帰ってきても羽川を泊めて良さそうなものですけれど、父親が戻るから泊めるわけにはいかないといった趣旨のことを言うのですよね、何故か。
羽川に自分はファザコンだと言っていたのに、その現場を見せるのは嫌という乙女心かも知れませんが。
一応、戦場ヶ原には、羽川が1週間くらい寝泊まりできる、もっと良い場所のアテはあったようですから、矛盾とまでは思いませんが。
ただ、2人の共通の知人で羽川を受け入れる度量と家の大きさがあるのは、阿良々木家か神原家しか思い付きません。学校の先生は、大人でもあり、怪異の事情も知らないことから、ここで出てくるのは話の展開として不自然なので除外です。神原駿河(cv沢城みゆき)なら、戦場ヶ原の依頼は喜んで受けますし、家も広いです。
3話前半で、結局、阿良々木家でしたが、羽川がその時までそれに気付かなかったのは都合が良過ぎますが。
○ また、腑に落ちないのは次の点。
羽川家を新築するまでの借家を借りるまで1週間位と考え、借りたらそこに羽川も住めるのよねという感じで戦場ヶ原が聞いたときの羽川の「うん。」という返事が、そこには住めないかもと思っている口調、あるいは、両親とはあまり住みたくないと思っている口調だったことには流石の戦場ヶ原も気付かなかったのか?。
羽川家の家庭の事情を知らないなら気付かないのも頷けますが、自宅が焼けて両親とは別に、しかも例の廃墟に寝泊まりした時点でおかしいと気付かない戦場ヶ原がおかしいのであって、少し都合が良すぎる感じです。
しかも戦場ヶ原は、羽川を探すために両親に会っており、両親がどこに一時的に住んでいるのかを知っているはずですし、両親が羽川の居場所を知らないことも知りましたし、1話後半で羽川を見つけた例の廃墟で、
「ああいう人達を、お父さんとかお母さんとか呼ぶことはないんじゃない。どうやらイロイロあるみたいね。詮索するつもりはないけれど。」
と戦場ヶ原が羽川に言ったように両親のことを良くは思っていませんし。
更に、羽川を捜していたとき、1話後半で戦場ヶ原は、羽川は例の廃墟にいるかも知れないと一番最初に思ったくらいに羽川の居場所について認識しているのですから。
戦場ヶ原としては引き続き泊めても良かったのに羽川が阿良々木家に泊まるように敢えて仕向けたのか、羽川を阿良々木家に泊まらせるために制作者がそういう話にしたのかについては、今のところ判別できません。
前者の方がしっくりと来ると言いたいところですが、羽川が怪異の虎を見た上に羽川が眠ると猫になるようになったのを戦場ヶ原は知っているのに阿良々木がいない阿良々木家に泊まるわけで、戦場ヶ原も誰も猫になった羽川の動きを把握できなくなることから、却って心配や危険が大きくなると思われます。
羽川が好きな阿良々木のベッドで眠れば気分が良くなってストレスが解消されるだろうと思うほど、戦場ヶ原はファンタジーな人間とも思えないですし。
阿良々木家にいれば阿良々木が羽川を助けに来てくれると確信したのかも知れませんが、そう確信した根拠は良く分かりませんが、愛と信頼ということでしょうか。
都合が良すぎる感じです。制作者が視聴者をミスリードさせたいのかなとも思いましたが、それ以上に、戦場ヶ原がバカであると思わせたい1話と2話に思えてなりません。
戦場ヶ原は、そんなにバカではないはずですが、この後の話の展開で必要な設定なのかどうか、私の考え過ぎなのか。
◎ 2話後半、1話でも2話でも章が少し飛んでいたのは、眠っている間に羽川が猫(ブラック羽川)になって外出していたからだと判明しましたが、1話冒頭の羽川の言葉のとおり、この物語の語り手は基本的に羽川だということを忘れていました。
引き続き、猫も羽川であって別人格というわけでもないという、ややこしい状態ですし、羽川には猫になったことも猫の時の記憶も、自分の中にまだ猫がいることの認識もないですし。
2話後半で猫は、羽川のストレスの原因は火事で、それで猫が現れたと言っています(3話で、猫はそれに疑問を持つようになりますが。)。
猫になったことに気付いた戦場ヶ原は、猫の姿のまま朝に帰ってきた羽川と普通に御対面。
しかし、1話で、直ぐに焼け跡に行ったと思われるとともに、焼けた自宅を「私の家」と思った自分自身に驚いた羽川であるように、知らないうちに自宅にある程度の愛着やアイデンティティは感じていたようですが、だとしても自宅が焼けた程度のストレスでまた猫になるというのは、「猫物語(黒)」(羽川が高3のゴールデンウィーク中の話。)と「化物語」で猫になったとき(羽川が高3の6月の話。)の理由を考えると、考えにくいところです。
ここは、物語シリーズを見てきた人なら容易に分かるはずですが。
○ 猫から羽川に戻った羽川が朝食を作り(前日は戦場ヶ原が食事を作り、以前に阿良々木の評判が良くなかったのに、羽川は美味しいと言った(1話後半)。)、それにドレッシングや醤油やジャムやらがないのを問いただす戦場ヶ原に(私はそれらが無いこと自体は何ら不思議ではないと思いますが、羽川の理由であれば変。)、
「でも料理って、味が無くても美味しいじゃない。」
「へえっ、私はただ、味はあっても無くても一緒だって言ってるだけだよ。」
と何を言われているのか分からない顔で言う羽川。
それに対し戦場ヶ原が色々話して、更に、
「嫌いなものがあるっていうのは、好きなものがあるのと同じくらい大切なことじゃない。それなのにあなたは、何でもかんでも受け入れちゃうじゃない。私のこともそうなのかも知れないし、阿良々木君のこともそうなのかも知れない、なんて思うんだけれど。」
「何でもどれでも好きなんじゃ、どれもおんなじみたいなものだものね。ねえ羽川さん、あなた本当に阿良々木君のこと、好きだったの?。」
「今でも阿良々木君が好きだって、もっ回言える?」
という1話から展開されて、この2話ラストへ持っていく流れは良かったです。
これは、戦場ヶ原がバカではできないことだと思うんですけどね。
◎ しかし、「猫物語(黒)」では、阿良々木への恋心が抑えきれなくなってストレスとなった結果が「障り猫」の再発だったとされているのですが、羽川が阿良々木を好きではないのだとしたら、アレは何だったのか、ということになります。
ここも、物語シリーズを見てきた人なら容易に分かるはずですが。
また、「猫物語(白)」の2話冒頭でも、阿良々木を好きになったときの話はまた後でと羽川は語っています。
さて、2話までは前置き。3話は少し核心に触れる話でした。それは次回に。
◎ ところで、まだ阿良々木の姿と声は出てきていないんですよね。
○ 2話まででは、八九寺真宵(cv加藤英美里)が少し、怪異の虎(cv斉賀みつき)が少し、その他が少しで、ほぼ2人(+猫になったときの羽川)の会話。出番なしでも存在感はありますが。
この「猫物語(白)」は、49%の羽川翼と、49%の戦場ヶ原ひたぎ と、1%の阿良々木暦と、1%のその他で出来ています?。
阿良々木は、何と3番目の存在感です(笑)。
いえいえ冗談です。
この「猫物語(白)」(原作は2010年9月刊)は、まるで、阿良々木の手のひらの上で起こっていることのようです。
「猫物語」と題して羽川が主役と見せかけて、阿良々木が登場しないことにより阿良々木が主役として浮き出てくるという。
(読んだり見たりはしていませんが、「桐島、部活やめるってよ」(朝井リョウ著、2010年2月刊)がそんな構造の小説・映画だと聞いた記憶がありますが、どうなのでしょうかね。)
○ 阿良々木はどこかで出てくるのでしょうが、どこなのか?
3話でも出てきませんでしたし、1話前半での真宵の露骨なフリからすると次(「傾物語」?)で真宵と共に出番は多そうですから、ここまできたら、まるで潔くない阿良々木ですから全く出番がない潔さというのもキャラに合わないので、「猫物語(白)」の最終話のエンディング後に「俺の出番がなかったじゃないか!」と騒々しく一言だけ出るということにしてもらいたいです。
それって、却って目立ちますよ。
【shin】
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