【ネタバレ】
◎「漁港の肉子ちゃん」
「"普通が一番ええのやで"肉子ちゃんが幸せ届けます。」
「漁港の船に住むちょっと訳あり母娘が紡ぐ感動のハートフルコメディ」
2021年6月11日(金)公開、企画・プロデュースは明石家さんま、監督は渡辺歩、脚本は大島里美、原作は西加奈子、97分。
肉子ちゃん(cv大竹しのぶ)、キクコ(cv Cocomi)、キクコのクラスメイトの二宮(cv花江夏樹)、肉子の親友でキクコの実母の みう(cv吉岡里帆)、キクコの友達のマリア(cv石井いづみ)、肉子が働く焼肉屋の大将でキクコにも親切なサッサン(cv中村育二)、ヤモリとトカゲ(cv下野紘)など。
総合評価は、上中下で下くらい。
○声優ではない主演の2人、大竹さんやCocomiさんの演技については特に文句もありません。
肉子をもっと大袈裟に演じても肉子としては問題ありませんが、他のキャラが肉子と比べてある程度の現実感があるので、肉子が浮いてしまうのでしょう。
○本作は何を描きたかったのかが、最後までよく分かりませんでした。
肉子とキクコ(小学5年生)の日常を主として、2人のそれぞれの友人知人との関係、2人の母娘関係、キクコの身体的・精神的成長が描かれています。
キクコの苦悩というには苦悩(肉子は実の母ではない、肉子は惚れっぽいのでフラれては引越をして友達と別れる悲しみがある、友達のマリアの悪口を言いつつ実は自分が一番みにくかったという自覚など。)はそれほどと感じられる描き方ではないので、その解決に何のカタルシスもなく。
最後で、生理が来て喜ぶキクコと肉子のシーンがあったので、キクコは自分を肯定できたということですし、年とともに大人になろうという気持ちになったということですし、生命賛歌につなげたいのかなとも思いましたが、小5で生理が来ていないのは不思議でもないですし、来ているか来ていないかについて悩んでいるような感じはなかったですし(キクコのモノローグで、来ているクラスメイトもいれば来ていない人もいる、自分には来てほしくない、というのはありました。来て欲しくないという考えには、肉子と一緒に写真に写っている女性が自分に似ているので実母だろうと幼少時(確か、4歳の時。)に分かったことから、実母に捨てられて肉子に育てられた、自分が望まれて生まれてきたわけではないと思うようになった、ということがあるようです。)。
実は凄く悩み考えているのに、Cocomiさんの演技がさらりとしているせいか、そう見えないだけなのかも知れません。さらりとしていること自体は、それがキクコのキャラだと設定したのでしょうから、それ自体に問題はありませんが、それ故に意図が伝わらないのでしたらキャラ設定か演技のミスです。
普通が一番ということを描きたいのだとしたら、肉子の生活も性格も普通ではありませんし、キクコは小学生の割にはさめていますし、実母に捨てられたように境遇は普通ではありません。
逆説的に普通が一番だと言いたいにしては、肉子とキクコは不幸とは思っていませんし、不幸にも見えません。生理のエピソードのように、普通ではなくても幸せだと(少なくとも)最後は描かれています。
ハートフルコメディではありますし、肉子を見ていると元気が出るという人もいるでしょう(私は肉子みたいなタイプは嫌いなので、元気は出ませんが。)。
○コメディ部分については、お笑い番組やお笑い芸人がメインのバラエティ番組はあまり面白くないと思ったので10年以上はまともに見ていないので、本作の笑いも私に合わないというだけかも知れません。
本作のコメディが楽しければ、本作はかなり楽しめると思います。
○二宮はうつむいていることが多く、どうしたのだろう、という感じでキクコが見ていると突然に変顔をするのですが(キクコは転校生なので二宮のことをよく知らないのでしょう。)、他の男子生徒が見ていないときなのでキクコの気を引こうとしているのかと思って、私はクスクスと見ていたのですが。
後で、二宮の意思とは関係なく突然に変顔になる病気だと二宮がキクコに言いました。笑ってごめんなさい、と私は思ったものです。
病気を笑いにするような作りは良くないなと思いました。病気になったことに二宮には何の責任もないので、なおさらです。
【shin】