素晴らしき日々

一切の生命が幸せでありますように。

ゴジラ-1.0は単なる怪獣映画じゃなかった

2024年03月23日 | 映画 Movie/Film

ゴジラをウルトラマンのような単なる怪獣映画だと思っていたので、『ゴジラ-1.0』を観に行くわけがないと思っていましたが、あの百田尚樹さんや、高橋洋一先生にいたっては数回観たと大絶賛していたので、日本の良心と脳みそが絶賛するのなら観てみようと重い腰を上げ、行って参りました。


先入観なしに作品を観たい方は、ここから先を読むかどうかは気をつけて決めていただければと思います。内容がばれます。


舞台はまさに第二次世界大戦が終わろうとしている頃から始まります。特攻隊員として飛び立った神木隆之介さん演じる敷島浩一(以下敷島)が、飛行機の不具合を直すために整備場がある島へ降り立ちます。そこにゴジラが現れて、敷島は飛行機からミサイルでゴジラを倒してくれと頼まれるのですが、いざ撃とうとしても出来ませんでした。そのために島にいた人々は、戦争では死なずにすんだのに、ゴジラに殺されるという悲劇が起きました。ここがストーリーの始まりです。


ゴジラは足の裏で簡単に人間を踏みつぶせるような巨体で、まあ怖いです。人間がゴジラに遭遇したら、即あいつを退治してくれとなるでしょう。でも、よーくよーく、この最初のシーンを見るとゴジラは意図的に人間を殺そうとはしていません。


ゴジラには人間の都合なんか知る由もないのと、カラダが大きいので、自由に動くだけで、人間や家屋が壊されるわけです。ここが切ないポイントの始まりです。この地球では、どんな生物も、ゴジラも人間も、生き抜くためには必ず何かが犠牲になるのです。


ウサギもかめも、鶏も。バッタもカエルも人間も。おなかがすいたカエルが、バッタを陰から狙って捕食しました。ああ、おなかがいっぱいになったと思ったら、今度はそのカエルが蛇に食べられました。そしたらその蛇は、カラスに食べられました。カラスはごみを荒らすからと、人間に始末されました。人間は、Covid19(コロナ)で大変苦しみました。


そんな人間は成功者でしょうか。今日だって、どこかの政治家は国民の税金を無駄に使い、どこかの国では何年も戦争をしています。AIが発達しても、AIを使いこなせない人間が同時に増えています。毎日、使う言葉が適切なのか考えてハラスメントにならないようにしています。それが行き過ぎるとなんだか自由がない気持ちになります。それでも幸せでしょうか。無理なことはわかっていても、なんとか生き物/生きている者同士、うまく協力して、共生していく道はないものか。


そのような弱肉強食/食物連鎖と、幸せになることと便利にになることの差が分からない人間と、人間以外の生物のことを考えさせられる名画でした。ゴジラがまる本当に生きているようで、ただ単に巨体で、人間を優先しないだけで殺される切なさ。


私は、人間は生き延びたいです。私があのスクリーンの中の人間だったら、ゴジラがいなくなってほしいと願います。まったくもって理解できます。


でも、この映画の舞台のように戦争末期と戦争直後の生き抜いた人達の子孫であるわたしたちは、そんなに生きたいのに、どうして今でも戦争するんでしょうね。まったくもって矛盾していますよね。日本は戦争はしてないけど、これから日本がどうやって自立して戦争に巻き込まれないようにするかは、考えているのだろうか。


それから、気づいたのですが、ゴジラ対策本部のような場に女性がいないんですよ。一人も。それで、思ったんです。当時、現実の戦争の日本のブレインにもっとたくさん女性がいたら、結果はかなり違っていたのじゃないかな、と。勝敗の結果が、というよりも、当時の教育や食料事情や特攻隊の有無です。国と国の外交も。諸々の調印も。


映画に話を戻しますと、最後のほうで、敷島がゴジラの口に戦闘機で飛び込むんです。彼自身の中の未完了な戦争を終わらせるために、です(その理由はキーにもなるので映画で観るのが良いと思うので省きます)。戦争をやるって、戦争をきちんと終わらせることにも責任があるんだよなと思いました。


強くて優しい日本に住みたいです。そうなるには、そこに住む人間は強くて優しくなる必要がある。いま戦争になったら本当に日本は自国を守れるのか。ゴジラ来襲はないでしょうけど、物理的な戦争になったら?サイバー上からの認知戦になったら?そもそも自分の家族だけでも守れる基礎力はあるのか?友達は守れる?隣人は?同じ町の人たちは?学校は?会社の仲間は?

ゴジラ-1.0は、敷島の、自分の非を認める勇気と、人生をやり直す実行力が見事で、いまだって、戦後日本の続きであるこの場所・日本にふさわしい名画だと思います。


また、ストーリーが良いだけじゃなく、役者さんだけじゃなく、制作にかかわった皆様のパワーが随所に感じられました。あんなに素晴らしい作品を見せてくださって感謝します。

映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

2023年11月3日(金・祝)公開 監督・脚本・VFX:山崎貴

映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

今日も自分に出来ることはやろうと思います。

一切の生命が幸せでありますように。


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