2004年12月29日
27日午後11時20分ごろ、〇〇区Y町3のごみ集積所から出火し、男が前に座っているのを発見した通行人が110番。
駆けつけた署員が住所不定、無職、H.T容疑者(65)を集積所の案内看板を焼損させた器物損壊容疑で現行犯逮捕した。H容疑者は酒に酔っており、容疑を認めているという。(〇〇署調べ)”
(12月29日付毎日新聞朝刊より)
このH.T容疑者、新聞に載るのは二度目である。
最初に記事になったのは、
雨がシトシトと降る夜は、〇〇署員の不安の日だ。60歳くらいの男性が決まってやって来て、当直員を困らせるからだ。
署員によると男性は日雇い労働者らしい。
だが、最近は仕事がなく〇〇の街を自転車に乗り夜の寝床を探しているという。〇〇署に現れると酔っ払った上に死んだふりをして居座る。そして保護室で朝を迎える。彼にとっては警察署が格好のホテルとなる。
実は、男性は根気が必要な山芋掘りの名人。金が尽きると山で長さ1メートルはある自生の山芋を掘り、料亭と1本1万円で取引する。
「どこか彼の働く場所はないのかな。山芋を掘る根気で頑張ってくれれば」と、署の幹部は雨雲を恨めしそうに見上げている。”
(2002年6月26日付毎日新聞朝刊より)
ぼくの日記を長く読んでくれている人なら、ピンとくるだろう。そう、このH.T容疑者とは、ぼくの日記に頻繁に出てくる、『酔っ払いのおいちゃん』のことである。最近とんと顔を見せないと思っていたら、こういうところで活躍していたのだ。
しかし、おいちゃんがこの日記に登場するのは、どのくらいぶりになるだろうか。
調べてみると今年の2月8日と9日に『酔っぱらいブギ』というタイトルで書いていた。そこには、うちの男子従業員から外に放り出された、と書いている。おそらく、それがおいちゃんに関する日記で、一番最近のものだろう。
それはそうと、知らない人がこの記事を見たら、おいちゃんは放火犯だと思うかもしれない。が、このおいちゃん、そんな大それた犯罪を犯すほどの根性は持っていない。
おいちゃんのことを知る者は、おそらく「昨日の夜は寒かったので、たまたま居合わせたところでたき火をやったのだろう」と思うことだろう。
もしくは「おいちゃん一流のパフォーマンスかもしれない」と思うかもしれない。
おいちゃんは、年末から正月にかけて寒くなるという情報を、どこかで小耳に挟み、
「寒くなるんか。じゃあ、警察にでも泊めてもらうか」
ということで、何かやってやろうとなったのかもしれない。
とはいえ、警察も年末で忙しい。前回のように「死んだふりをして居座」っても、相手にしてくれないだろう。そこで、寒さを紛らわせることも考えて、火を付けたのかもしれない。そしてそれは、逮捕という形で成功したのだ。
これでおいちゃんは、寒い年末年始を、暖かい留置所で過ごせるだろう。
もし、警察が、本当においちゃんに罰を下すつもりなら、さっさと釈放すればいいのだ。それが、今のおいちゃんには一番効き目があるのだから。