「手当て」という言葉がある。もちろん治療の意味だ。
以前読んだ何かの本に、「昔は病気を治療するのに、本当に手を当てていた」と書いてあった。ということは、昔は温熱療法をやっていたということである。癌治療の一つとして、温熱療法が行われていると聞いたことがあるが、昔の人は本能的に、温熱療法が有効なことを知っていたのだろう。
それを知って以来、ぼくは腹が痛くなったりすると、すぐに「手当て」をするようになった。なるほど、不思議と痛みは和らぐものだ。そのうち、痛かったことまで忘れてしまっているから、きっとそれで完治したのだろう。
ところで、ぼくはこの「手当て」を始めてから、あることに気がついた。手で押さえた部分、つまり痛いところが、なぜか冷たくなっているのだ。
そういえば、腰に痛みを感じた時、そこを触ってみると冷たくなっていることがある。
「もしかして、痛みというものは『冷え』と何らかの関係あるのではないだろうか?」
そんな疑問が、ぼくの中で徐々に膨らんでいった。
そういう折も折だった。先日、一冊の本と出会った。
『<どんな病気も「温めれば治る!」>石原結実著(ワニ文庫)』という本だ。
この本を読むと、ぼくの「冷え」=「痛み」の疑問に答えてくれるようなことが書いてある。
元々、人間は「冷え」に弱い動物なのだそうだ。その「冷え」は人体にいろいろな影響を及ぼすらしく、癌、心筋梗塞、糖尿病、アトピー、子宮筋腫、肥満など、あらゆる病気はこの「冷え」から起こるということだ。
なるほど、癌は「冷え」から来る病気だから、温熱療法が有効なのか、と納得する。
他にも、この本には、思わず「えっ?」と唸るようなことが書いてある。例えば、世の中には平衡感覚が悪いのか、いつもフラフラしている人がいるが、何とそれも「冷え」が原因なのだという。水分の摂りすぎが、その「冷え」を招いているのだそうだ。
数日前、ぼくは若干便秘気味になった。何が原因なのかわからなかったが、最近水分が足りてないので、そのせいはないかと思い、冷えたお茶を何杯も飲んだ。それが功を奏したのか、何とか普通量の便が出た。ところが、その後もあまり順調だとは言えなかった。
それもこの本を読んでそれがはっきりした。 そう、原因は「冷え」である。ここ数日、朝方の寒さのせいで、体が冷えていたのだ。しかも、冷えたお茶を何杯も飲んだことが、逆効果になっていたのだ。
この本には、その「冷え」を防ぐ方法も書いてある。「これは使える」と思ったぼくは、さっそくこの本をレジに持って行った。ここに書いてあることを実行すれば、成人病恐るに足らずである。
よーし、長生きするぞ!