《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

2013年2月 中東・北アフリカの政治経済―世界の動きⅥ

2013-04-11 01:13:05 | 中東・北アフリカの政治経済―世界の動きⅥ
2013年2月 中東・北アフリカの政治経済―世界の動きⅥ

《パレスチナ》
○2月13日(水曜日)および14日(木曜日)、東京にて、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD:Conference on the Cooperation among East Asian countries for Palestinian Development」が開催 (13.2.15 外務省)。 ①参加国・国際機関は日本(主催)、パレスチナ(共催)、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、韓国、アラブ連盟、イスラム開発銀行、国連、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、世銀。②「二国家解決」を通じた和平実現を後押しすべく,日本のイニシアティブの下で設立された。③パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)共同声明(骨子)は「 交渉に悪影響を及ぼし得る行動の自制」を要求。
【パレスチナ自治政府からファイヤード首相が参加している。日本が、昨年11月の国連総会でのパレスチナ「オブザーバー国家」格上げに賛成したことに続き、ここでもイニシアチブを握ってCEAPADをやっている。パレスチナ問題への基本姿勢は米帝支持の姿勢であり、パレスチナ人民を恫喝もしている。こうした日本の対パレスチナ姿勢のこうもり性格を批判する。】
【註:12年11月30日 AFP報道。国連総会は29日(日本時間30日朝)、パレスチナの国連での地位を「オブザーバー国家」へ格上げする決議を、賛成138か国、反対9か国、棄権41か国の圧倒的な賛成多数で採択した。米国とイスラエルが強く反対していたなかでの採択となった。決議案が採決されたことにより、パレスチナはこれまでの「オブザーバー機構」からバチカン市国と同じ「オブザーバー国家」になる。アッバス議長は演説でパレスチナに「出生証明書」を与えて欲しいと訴えた。パレスチナ指導部は今回の「歴史的な」採択をてこに、イスラエルが入植地建設を強行したために2010年9月から凍結されているパレスチナとイスラエルの直接交渉を進めたい考えだ。
 スーザン・ライス米国連大使は、決議の採択はパレスチナとイスラエルの直接交渉再開にはつながらず、和平への障害になるとして採択を非難した。アッバス議長は2011年9月にパレスチナの国連への正式加盟を申請したが、米国が反対して正式加盟への動きを阻止していた。】
○パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)の初会合が14日、都内で開かれた。中東和平の実現にアジア諸国が建設的な役割を果たすことを確認。効果的な支援実施に向け、国際協力機構(JICA)など各国の援助機関による定例協議の実施を検討するとした共同声明を採択した。次回会合を来年、インドネシアで開催。
○安倍は14日夜、首相官邸でファイヤド首相と会談し、4000万ドル(約37億円)の追加支援を計画していることを伝えた(14日)。
【4000万ドルは一体どこにいくのか。パレスチナ支援とは名ばかり。計画であってパレスチナへの圧力でもある】
○自治政府の議長・評議会選挙が年内に行われる(15日 自治政府マリキ外相・東京)。ガザ地区で独立選挙委員会が有権者登録を終了させた後、アッバス議長が3ヶ月以内に選挙を実施する議長令を発表する。
○イスラエル中部のアシュケロン(ガザから10キロの地中海沿岸)にロケット弾(26日)。23日にパレスチナ人が獄中で拷問で殺されたことへの抗議。ファタハの軍事部門「アルアクサ殉教者部隊」が犯行声明。殺されたのはアラファート・ジャラダート氏、自宅で逮捕された後、拷問で背中などに激痛、イスラエル軍判事も必要な治療を命じたが無視。イスラエルは彼を逮捕した時に子どもたちに別れを告げるように命じた。
【ファタハの軍事部門がロケット弾。イスラエルの反撃空爆は不可避。】
○エジプトの裁判所は27日までに、エジプトとパレスチナ自治区ガザとの境界に掘られた密輸用の地下トンネルを全て破壊するよう政府に命じた(13.2.28)。エジプトで権力を掌握するイスラム原理主義組織ムスリム同胞団に批判的な弁護士が裁判所で提訴。判事は「エジプトとガザの間のトンネルを破壊することは義務だ」との判断を示した。
【なんとムスリム同胞団に反発する弁護士がガザトンネルの破壊を提訴とは。エジプト問題でなぜガザの人々を苦しめるのか。反ムスリム同胞団がガザの首を絞めていることに注目。】

《イスラエル》
○シリア軍は30日、イスラエルがゴラン高原を迂回しダマスカス県ジャムラヤの科学研究施設を空爆したと発表 (30日)。2人死亡。レバノン軍も29日から30日にかけてイスラエル軍が領空侵犯と発表。対空砲や戦車砲を満載したトラックの車列空爆の情報も イスラエル側はコメントしていない。ヒズボラ(1982年のイスラエルのレバノン侵攻でイランが送り込んだ革命防衛隊により組織)への化学兵器の流出懸念か→北部での戦争か。
○ペレス大統領が、総選挙で最大議席(31議席)を得た右派統一会派を率いるネタニヤフに組閣を指示(2日)。120議席のうち右派系が61議席、ネタニヤフは第2党の「イエシュアディド(未来がある)」や第4党の極右「ユダヤの家」の取り込みに。
【イエシュアディドとネタニヤフの連立は可能なのか。】 
○英FT紙がイスラエルは入植地拡大とイラン攻撃に意欲的なことから孤立を深めている(22日)と論じている。オーストラリアとの関係、欧州との関係を引き合いに。

《シリア》
○米ロ独などがシリアのアサド後の新しい政治体制を模索し始めた(13.2.39 ミュンヘン安全保障会議(1~3日 ドイツ南部)。独のウエスターウエレ外相がシリアの反体制派幹部と会合、「複数の反体制派が一枚岩になることを条件に支援する」、バイデン米副大統領「将来の国づくりは米国と欧州がパートナー」、ロシア(シリアの地中海沿岸の海軍基地を使用)態度を軟化、イスラエルのバラク外相「ロシアが地域の安定に大きな役割り」。
○シリア反体制派「シリア国民連合」のハティーブ議長が安全保障国際会議開催のミュンヘンでイラン(アサドと盟友)のサレヒ外相、バイデン米副大統領、ロシアのラブロフ外相と会談。
○シリア難民。82万人超に(18日 国連人権理事かが任命した国連調査委員会)。
○シリアの反体制派「シリア国民連合」は暫定政府の首相を3月2日にトルコでの会議で選出し、シリア北部の反体制派支配地域で暫定政府始動を目指す。象徴的意味合いが強い(22日)。
○「自由シリア軍」は原子炉があった北東部アルキバルの施設を22日に奪還(24日 自由シリア軍)。07年にイスラエルが空爆で原子炉を破壊。
【シリアの反体制派の国内基盤は弱い。アサドはひどい、他方でシリア国民連合の問題性もある。反体制派の中ではイスラム原理主義者がイニシアティブをとっているとの報道がある。】

《イラン》
○中部のナタンズのウラン濃縮施設で新型の遠心分離機(現行の2~3倍の速度)を導入をイランがIAEA国際エネルギー機関に通告 (31日)。中部のフルドゥの地下施設でも遠心分離機を増設しており、IAEAは核兵器開発が可能な能力を整えていると報告。
○イランがシリアの反体制派とミュンヘンで会談したことを、日経は「核協議の複雑化狙いか」と分析(13.2.5)。 
○イランのアハマディネジャド大統領がエジプトを訪問。1997年のイラン革命後の国交絶好後初めて。モルシ大統領と首脳会談か(6日)。カイロで6、7日に開かれるイスラム協力機構OCIに参加のために。
○イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設で新型遠心分離機IR-2mを導入し始めた。(21日IAEAの報告書)。180機を設置、1月下旬にIAEAに導入計画を通知。中部ホルドゥの地下核施設でも遠心分離機を増設、濃度90%以上の濃縮ウランが現実味。
○イランと常任理事国5カ国と独の協議(26日 カザフスタンのアルマトイ)。欧米側はウラン濃縮施設の閉鎖の見返りにイランの金や希少金属取引に対する制裁の緩和、イランは金や石油化学製品の対イラン輸出の解禁、原油輸入禁止や米国によるイラン中央銀行との取引停止の緩和を要求。
【報道でしかわからないが、文字通りの交渉をやっている。もっと恫喝的にイランをやつけているとの印象だったが、実態は複雑な様相を呈している。】

《エジプト》
○エジプトのシシ国防相が5日にパネッタ米国防長官と電話会議。イスラエルとの平和条約を維持する方針を伝えた模様、モルシは全方位外交だが、エジプト軍は米軍の支援に依存している。
【エジプト軍の動向は注意。年間十数億ドルの軍事援助を軍は米国から受けている。】
○モルシ大統領は昨年末の新憲法制定を受けた人民議会選挙を4月27日から実施する大統領令をだした(21日)。
【4・27選挙には注目しよう。】

《マリ》
○仏軍部隊は北部キダルの空港を制圧 (1月30日)。北部主要3都市(ガオとトンブクトゥは制圧)。マリの暫定大統領トラオレは7月末までに総選挙を実施と表明。
○オランド仏大統領がマリを訪問(2日)。「長期間とどまるつもりはない」。独は新たに空中給油機を派遣。作戦終了のメドはついていない。
○北部キダルで仏軍とイスラム武装勢力が激突(2日)。
【大きな戦闘は初めてか。】
○仏軍、早期の権限移譲を狙う (13.2.6)。仏軍とマリ軍は5日までに北部の主要都市ガオとトンプクトゥを制圧、キガルを制圧しつつある。イスラム武装勢力は衝突を避け、アルジェリア国境の山岳地帯に退却。ゲリラ戦によるアフガン化は不可避。マリのトラオレ暫定大統領(12年3月の正規軍の待遇不満の兵士がクーデター画策で国民議会議長トラオレが暫定大統領に)は北部住民の代表(遊牧民トゥアレフ人の組織アザワド解放国民運動MNLA)との対話を表明、イスラム武装勢力は排除。7月に次期大統領選挙。仏軍は西アフリカ諸国経済共同体ECOWASの15カ国の連合軍もマリ入り、早期に軍事作戦権限を委譲したい。長期化は財政問題と犠牲者を生む。しかし、ECOWAS連合軍には資金・装備で問題あり。
【イスラム武装勢力は戦力を温存して山岳部に退却。しかし戦略的な退却かどうかは不明。】

《トルコ》
○トルコ・アンカラの米大使館を狙った爆弾テロ、大使館敷地への最初の検問所で自爆、1人が死亡 (1日)。「革命的人民解放党・戦線DHKP・Cが関わり(トルコ首相エルドアン) 。
【何者か。イスラム的な名称ではないが。】

《チュニジア》
○首都チュニスでイスラム政党を批判してきた世俗派野党の少数政党指導者ベルイード氏が暗殺された(6日)。支持者がチュニジア各地で抗議デモ。ジェバリ首相(イスラム政党アンナマダ出身)は「チュニジアの革命への暗殺。党派を排除した実務者内閣を樹立し早期の選挙へ」。高失業率・物価高騰・イスラム化への不安が暫定政権を担うアンナハダへの不満に。
【反イスラムキャンペーンか。】
○ジェバリ首相の実務者内閣樹立は失敗(18日)。与党第1党のイスラム政党アンナハダが反対したため。世俗派の反発必至。
【ジェバリはアンナハダの支持を得ていない。】
○ジェバリ首相が辞任 (20日)。実務型内閣を巡ってジェバリが所属するアンナハダが政党主導型内閣を目指すと反対、マルズーキ大統領が出身の与党第2党共和国評議会CPRは実務型が実現しなければ連立離脱と表明。

《ナイジェリア》
○ナイジェリア北部バウチで武装勢力が外国人7人を人質に(16日)。イスラム武装勢力「アンサル」が声明。「アンサルは声明で、犯行が欧州諸国による西アフリカ・マリやアフガニスタンへの介入に対する報復であることを示唆した。アンサルはナイジェリアで昨年から台頭した。国際テロ組織アルカーイダ系勢力や、同国で当局などへのテロ攻撃を繰り返しているイスラム過激派ボコ・ハラムと関係があるとみられている。」(共同)。
【身代金目的の誘拐か。】
○ナイジェリア沖でエネルギー会社の船が襲われ外国人6人が誘拐された(17日)。身代金2億ナイラ(1.2億円)を要求。
【身代金を要求している。武装勢力とだけ報道されている。】

最新の画像もっと見る

コメントを投稿