2012年10月27日。
この日、JR北海道だけでダイヤ改正が行われました。
改正の目玉はなんと言っても札沼線/学園都市線(札幌~北海道医療大学)の完全電車化です。
それまで札沼線といえば、高架複線をキハ40系やキハ141系などの気動車が走る、日本でも稀有な路線でしたが、6月1日の電化完成で気動車は3分の1にまで減らされ、苗穂運転所(札ナホ)にいたキハ141系の半数近くが運用から離れていました。そして、10月の改正をもって、石狩当別以南から全ての気動車が撤退。キハ40系とキハ201系は他の路線へ。キハ141系は多くが廃車となってしまいました。彼らの活躍は、当ブログ開設当初から「学園都市線ディーゼル、最後の日々 ~Focusing the last operations」シリーズにて追ってきました。
そんな中、ひっそりと消えていった車両がいます。室蘭本線の711系です。
北海道初の電車となった711系は、721系・731系・733系・735系という新型車両が出た後も、後期車の100番台が今なお活躍を続けています。733系が増備された時にはついに711系置き換えか!? と目されたものの、札沼線の電車化でさらに電車が必要になったため、気動車を置き換えた程度にとどまっています。長年の実績があることから、711系の守備範囲は、函館本線小樽~旭川・札沼線(札幌~)桑園~北海道医療大学と広く、特に岩見沢~旭川間は711系が活躍しています。
一方で、千歳線/室蘭本線の(札幌~)白石~苫小牧~東室蘭~室蘭からは711系は撤退してしまいました。千歳線区間は早期に新型車両化が進みましたが、苫小牧以南の室蘭本線では711系の独壇場でした。そのため、手稲にある札幌運転所までの回送をかねて、手稲発東室蘭行きと東室蘭発札幌行きが1日1本ずつ設定されていました。千歳線で唯一の711系列車でした。
しかし、この改正により、苫小牧~室蘭を札沼線であまったキハ143系(2両)にしてワンマン・合理化が進められることになり、711系は両線から退くこととなりました。
この記録は、2012年9月5日、711系に乗って東室蘭まで往復したときの記録です。
8月に帰省したとき、青春18きっぷが1回分あまったのがことの始まりでした。青春18きっぷの有効期間は年によって違いますが、夏の場合9月10日ごろまで。札幌に帰ってきたのは8月も下旬になってからで、金券ショップに売りつけても1000円になるかどうかというところでした(1回分は約2300円相当)。余らせておくのももったいないということで、1日どこかに出かけようかと思っていたら、10月で室蘭本線から711系が撤退するというニュースを知りました。『これに乗らないわけにはいかない!』ということで、室蘭本線を目的地に定めたのでした。
朝7時45分、札幌駅北口。
大遅刻です。
というのも、先ほど書いた手稲発東室蘭行きの送り込み列車で千歳線・室蘭本線を通しで711系に乗ろうと思っていたのですが、この列車は札幌6時24分発です。
こうなると苫小牧まで急ぎたくなりますが、室蘭本線の普通列車は2時間に1本。次の711系は苫小牧10:08発の432Mまでありません。札幌8:28分発の普通苫小牧行きで十分間に合います。
札沼線で最後の活躍を続ける気動車を撮影。この日はキハ143-155が先頭でした。2両一組のペアを組むキハ143の中で唯一1両単独で編成に組み込まれた車両です。2両一組のほうは室蘭本線の711系代替として現在も動いていますが、155は消息不明です。
小樽から来た苫小牧行き2738Mは731系でやってきました。
新車の733系・735系は学園都市線がメインになっているため、千歳線では721系と731系が主力となっています。
後ろにキハ201系を連結していました。
このキハ201系は、倶知安(6:22発)から直通して来たもので、小樽(7:23着/7:35発)で731系と連結。札幌まで6両で走ります。8時20分に到着してすぐ後ろのキハ201系は切り離し。前の731系3両だけが苫小牧に向かいます。キハ201系との併合装置を持つ731系ならではの運用です。
ちなみに733系や735系にはこの装置はなく、731系専属の運用となっています。
8時28分。8番線にキハ40-334を先頭とした学園都市線1534Dが到着。末期はキハ141・キハ142の3・4・5が6両編成で専属となっていましたが、この時はまだキハ40もいました。
キハ40の後ろにはキハ141系が4両連結されていました。
ここまで読んで、あれ? と思った方は正しいです。
次の711系に乗るために乗らなければならない2738Mは札幌を8時28分に発車。
そして、1534Dの札幌到着は8時28分。
……………………………………………………。
また乗り損ねた!?
いいえ、そんなことはありません。
2738Mが行った後も、静サツはまだ撮影を続けていました。
そもそも、静サツは札幌から2738Mに乗るつもりはありませんでした。
なぜなら、後続の快速「エアポート」に乗ればあっという間に追いついてしまうからです。
写真の「エアポート84号」(札幌8:40発)どころか、その次の「エアポート86号」(札幌8:55発)でも追いついてしまいます。
おまけに、「エアポート」の車両は転換クロスシートの721系。オールロングシートの731系に比べて快適なのは言うまでもありません。
[千歳線 3868M 快速 エアポート86号 札幌8:55→新千歳空港9:31]
《千歳 9:24着》
というわけで、千歳まで「エアポート86号」で向かい、ここで普通列車に乗り換えました。より座りやすい札幌始発を選んだおかげか、クロスシートで30分をすごせました。
[千歳線 2738M 倶知安6:22→苫小牧9:57(該当編成は小樽から)]
《千歳 9:31発》
《苫小牧 9:57着》
美々・植苗を通過した2738Mは、9時57分、苫小牧に到着しました。
日高本線・室蘭本線・千歳線(正確には隣の沼ノ端から分岐)が交わる苫小牧。北海道でも主要な駅の一つで、特急を含め全列車が停車します。
跨線橋を移動し4番線に行くと、お目当ての711系がおまちかね。
この日の編成はS-109編成でした。
1番線の折り返し小樽行きにくらべ、4番線の東室蘭行きに乗る乗客は少数です。
下り本線の3番線をDF200牽引の貨物列車が通過します。北海道では電気機関車は存在せず、電化区間にある札幌貨物ターミナルや北旭川へもDF200のまま牽引します(旭川の場合、一部は室蘭本線沼ノ端~岩見沢を通るので付け替えるとさらに面倒)。
発車待ちの711系の脇を颯爽と通過。
今度は上り本線の2番線に「北斗8号」が現れます。「北斗」は通常5両ですが、札幌~函館は他地域に比べビジネス利用も多く、常に7両から8両に増結されることが多いです。そのため、エンジントラブルがおきたときには予備車を入れても車両が足りない状況になったわけですが……
キハ183形3550番台をしんがりにして苫小牧を発車する「北斗8号」
これで711系の出発をさえぎるものはなくなりました。
10時8分。一路、東室蘭へ。
[室蘭本線 432M 苫小牧10:08→東室蘭11:12]
《苫小牧 10:08発》
先頭のクハ711-209に乗って出発進行。
沼ノ端から始まる直線区間を疾走します。乗ればわかりますが、本当に直線です。島式ホームを持つ錦岡付近を除けば一直線に鉄路が伸びているのがわかります。その距離は実に28km。もちろん日本一です。
直線区間が終わると、また直線区間。登別の一つ手前・虎杖浜まで直線が続きます。白老駅付近のカーブもわずかなもので、ボックスに座っていたら気づかなかったでしょう。
登別付近で山の雰囲気となった程度で、室蘭市に入ったらまた直線。
《東室蘭 11:10着》
かくして、711系は苫小牧~東室蘭58.0kmを1時間2分で走り抜けました。
クハ711の側面に誇らしげに光るJRマーク。
車内はデッキつきの2ドア。車端部がロングシート、中央がボックスシートと、北陸の元急行用電車(475系など)と似たつくりです。というか、まるで急行そのものです。
雪国の電車には欠かせない雪切室。
711系には1968年登場の0番台・1969年登場の50番台・1980年登場の100番台がありますが、現在残っているのは100番台のみです。実は、113系2000番台(1978年~)・115系1000番台(1977年~)と同年代の車両です。
折り返し苫小牧行きになるまで1時間ほど停車します。
東室蘭以南を担当するキハ150形と711系。
一番西寄りの側線にはもう1本711系がいました。S-102編成です。
同じ編成に乗って帰るのもいやなので、しばらく東室蘭で時間をつぶすことにしました。
ということで、続きは次回へ。
この日、JR北海道だけでダイヤ改正が行われました。
改正の目玉はなんと言っても札沼線/学園都市線(札幌~北海道医療大学)の完全電車化です。
それまで札沼線といえば、高架複線をキハ40系やキハ141系などの気動車が走る、日本でも稀有な路線でしたが、6月1日の電化完成で気動車は3分の1にまで減らされ、苗穂運転所(札ナホ)にいたキハ141系の半数近くが運用から離れていました。そして、10月の改正をもって、石狩当別以南から全ての気動車が撤退。キハ40系とキハ201系は他の路線へ。キハ141系は多くが廃車となってしまいました。彼らの活躍は、当ブログ開設当初から「学園都市線ディーゼル、最後の日々 ~Focusing the last operations」シリーズにて追ってきました。
そんな中、ひっそりと消えていった車両がいます。室蘭本線の711系です。
北海道初の電車となった711系は、721系・731系・733系・735系という新型車両が出た後も、後期車の100番台が今なお活躍を続けています。733系が増備された時にはついに711系置き換えか!? と目されたものの、札沼線の電車化でさらに電車が必要になったため、気動車を置き換えた程度にとどまっています。長年の実績があることから、711系の守備範囲は、函館本線小樽~旭川・札沼線(札幌~)桑園~北海道医療大学と広く、特に岩見沢~旭川間は711系が活躍しています。
一方で、千歳線/室蘭本線の(札幌~)白石~苫小牧~東室蘭~室蘭からは711系は撤退してしまいました。千歳線区間は早期に新型車両化が進みましたが、苫小牧以南の室蘭本線では711系の独壇場でした。そのため、手稲にある札幌運転所までの回送をかねて、手稲発東室蘭行きと東室蘭発札幌行きが1日1本ずつ設定されていました。千歳線で唯一の711系列車でした。
しかし、この改正により、苫小牧~室蘭を札沼線であまったキハ143系(2両)にしてワンマン・合理化が進められることになり、711系は両線から退くこととなりました。
この記録は、2012年9月5日、711系に乗って東室蘭まで往復したときの記録です。
8月に帰省したとき、青春18きっぷが1回分あまったのがことの始まりでした。青春18きっぷの有効期間は年によって違いますが、夏の場合9月10日ごろまで。札幌に帰ってきたのは8月も下旬になってからで、金券ショップに売りつけても1000円になるかどうかというところでした(1回分は約2300円相当)。余らせておくのももったいないということで、1日どこかに出かけようかと思っていたら、10月で室蘭本線から711系が撤退するというニュースを知りました。『これに乗らないわけにはいかない!』ということで、室蘭本線を目的地に定めたのでした。
朝7時45分、札幌駅北口。
大遅刻です。
というのも、先ほど書いた手稲発東室蘭行きの送り込み列車で千歳線・室蘭本線を通しで711系に乗ろうと思っていたのですが、この列車は札幌6時24分発です。
こうなると苫小牧まで急ぎたくなりますが、室蘭本線の普通列車は2時間に1本。次の711系は苫小牧10:08発の432Mまでありません。札幌8:28分発の普通苫小牧行きで十分間に合います。
札沼線で最後の活躍を続ける気動車を撮影。この日はキハ143-155が先頭でした。2両一組のペアを組むキハ143の中で唯一1両単独で編成に組み込まれた車両です。2両一組のほうは室蘭本線の711系代替として現在も動いていますが、155は消息不明です。
小樽から来た苫小牧行き2738Mは731系でやってきました。
新車の733系・735系は学園都市線がメインになっているため、千歳線では721系と731系が主力となっています。
後ろにキハ201系を連結していました。
このキハ201系は、倶知安(6:22発)から直通して来たもので、小樽(7:23着/7:35発)で731系と連結。札幌まで6両で走ります。8時20分に到着してすぐ後ろのキハ201系は切り離し。前の731系3両だけが苫小牧に向かいます。キハ201系との併合装置を持つ731系ならではの運用です。
ちなみに733系や735系にはこの装置はなく、731系専属の運用となっています。
8時28分。8番線にキハ40-334を先頭とした学園都市線1534Dが到着。末期はキハ141・キハ142の3・4・5が6両編成で専属となっていましたが、この時はまだキハ40もいました。
キハ40の後ろにはキハ141系が4両連結されていました。
ここまで読んで、あれ? と思った方は正しいです。
次の711系に乗るために乗らなければならない2738Mは札幌を8時28分に発車。
そして、1534Dの札幌到着は8時28分。
……………………………………………………。
また乗り損ねた!?
いいえ、そんなことはありません。
2738Mが行った後も、静サツはまだ撮影を続けていました。
そもそも、静サツは札幌から2738Mに乗るつもりはありませんでした。
なぜなら、後続の快速「エアポート」に乗ればあっという間に追いついてしまうからです。
写真の「エアポート84号」(札幌8:40発)どころか、その次の「エアポート86号」(札幌8:55発)でも追いついてしまいます。
おまけに、「エアポート」の車両は転換クロスシートの721系。オールロングシートの731系に比べて快適なのは言うまでもありません。
[千歳線 3868M 快速 エアポート86号 札幌8:55→新千歳空港9:31]
《千歳 9:24着》
というわけで、千歳まで「エアポート86号」で向かい、ここで普通列車に乗り換えました。より座りやすい札幌始発を選んだおかげか、クロスシートで30分をすごせました。
[千歳線 2738M 倶知安6:22→苫小牧9:57(該当編成は小樽から)]
《千歳 9:31発》
《苫小牧 9:57着》
美々・植苗を通過した2738Mは、9時57分、苫小牧に到着しました。
日高本線・室蘭本線・千歳線(正確には隣の沼ノ端から分岐)が交わる苫小牧。北海道でも主要な駅の一つで、特急を含め全列車が停車します。
跨線橋を移動し4番線に行くと、お目当ての711系がおまちかね。
この日の編成はS-109編成でした。
1番線の折り返し小樽行きにくらべ、4番線の東室蘭行きに乗る乗客は少数です。
下り本線の3番線をDF200牽引の貨物列車が通過します。北海道では電気機関車は存在せず、電化区間にある札幌貨物ターミナルや北旭川へもDF200のまま牽引します(旭川の場合、一部は室蘭本線沼ノ端~岩見沢を通るので付け替えるとさらに面倒)。
発車待ちの711系の脇を颯爽と通過。
今度は上り本線の2番線に「北斗8号」が現れます。「北斗」は通常5両ですが、札幌~函館は他地域に比べビジネス利用も多く、常に7両から8両に増結されることが多いです。そのため、エンジントラブルがおきたときには予備車を入れても車両が足りない状況になったわけですが……
キハ183形3550番台をしんがりにして苫小牧を発車する「北斗8号」
これで711系の出発をさえぎるものはなくなりました。
10時8分。一路、東室蘭へ。
[室蘭本線 432M 苫小牧10:08→東室蘭11:12]
《苫小牧 10:08発》
先頭のクハ711-209に乗って出発進行。
沼ノ端から始まる直線区間を疾走します。乗ればわかりますが、本当に直線です。島式ホームを持つ錦岡付近を除けば一直線に鉄路が伸びているのがわかります。その距離は実に28km。もちろん日本一です。
直線区間が終わると、また直線区間。登別の一つ手前・虎杖浜まで直線が続きます。白老駅付近のカーブもわずかなもので、ボックスに座っていたら気づかなかったでしょう。
登別付近で山の雰囲気となった程度で、室蘭市に入ったらまた直線。
《東室蘭 11:10着》
かくして、711系は苫小牧~東室蘭58.0kmを1時間2分で走り抜けました。
クハ711の側面に誇らしげに光るJRマーク。
車内はデッキつきの2ドア。車端部がロングシート、中央がボックスシートと、北陸の元急行用電車(475系など)と似たつくりです。というか、まるで急行そのものです。
雪国の電車には欠かせない雪切室。
711系には1968年登場の0番台・1969年登場の50番台・1980年登場の100番台がありますが、現在残っているのは100番台のみです。実は、113系2000番台(1978年~)・115系1000番台(1977年~)と同年代の車両です。
折り返し苫小牧行きになるまで1時間ほど停車します。
東室蘭以南を担当するキハ150形と711系。
一番西寄りの側線にはもう1本711系がいました。S-102編成です。
同じ編成に乗って帰るのもいやなので、しばらく東室蘭で時間をつぶすことにしました。
ということで、続きは次回へ。
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