今回の帰省はいろいろ厳しい条件の中での帰省でした。
1つめは、休みの期間が短いこと。
もともと年末年始の休みはそこまで長くないのですが、今年は12月26日から1月5日までのわずか11日間しかありません。静岡に滞在する時間を考えると、道中に掛けていられる時間はおよそ5日間にまで減ってしまいます。
2つめは、これだけ短い休みでありながら予定が詰まっていたこと。
去年の記事にも書きましたが、静サツの父方の家族は毎年(詳しくは前回の年末帰省の記事を参照)年末に集団で家族旅行に行きます。これのために12月31日と1月1日は確実につぶれます。しかも、よりによって今年は岐阜県の下呂。静岡からは車で半日かかるため、当初は直接乗り込もうかと思ったほどです(実際には計画変更で一度静岡に戻った)。
さらに、1月3日には成人式がありました。大抵の地域では成人の日周辺で行う中、静サツの地元・静岡市はなぜか三が日周辺で行います。正月で帰った後成人式のためだけに再び帰省しなくていいので楽といえば楽ですが、その分1月3日周辺が忙しくなります。
帰省のたびにいろいろ乗っている静サツですが、この二つがある関係で帰りは自動的に飛行機で決定。しかも、4日にも予定が入ったため、5日に飛行機に乗って帰るだけになってしまいました。
そして、そのしわよせは前半、つまりは『行き』の工程に向かうことになるのでした……
2013/12/25 23:00 札幌駅東口 ESTA地下一階
今回の帰省は、夜の札幌駅から始まります。
……と書くと、「お、『はまなす』か?」と思う人もいるかもしれません。確かに、札幌22時丁度発の夜行列車『はまなす』は、鉄道旅をするにはもってこいの列車です。
しかし、この写真を撮ったときには、既に『はまなす』は発車してしまっています。
では、何で行くのか?
そう。答えは夜行バスです。
札幌からは函館までは、北海道中央バスなどが運行する「高速はこだて号」と、北海道バスの運行する「ニュースター函館号」の2つがあり、どちらも夜行便が存在します。今回は「ニュースター号」を選択しました。
それでは、乗り場に向かいましょう。
無数のロッカーが並ぶ通路を過ぎます。
東口を素通り。
その足は地下へ。
ついた先は札幌駅前バス停。
札幌駅はいくつものバス乗り場があり、駅に隣接する『札幌駅前バスターミナル』、北口広場にある『札幌駅北口』、そして東急百貨店前にある『札幌駅前』が主な乗り場になっています。
「高速はこだて号」の夜行便は、ここの3番乗り場から発車します。
が、「ニュースター号」の乗り場はここではありません。
そこから一本入ったところにある、エスタ(=札幌駅前バスターミナル)が見える場所に、「ニュースター号」の乗り場があります。
恐ろしいことに、ここは屋根もベンチもありません。冬空の下で1時間近く待つのはしんどいので、一度エスタに引き返し、地下1階のベンチで時間をつぶしました。
日付が変わろうとする頃、「ニュースター号」が姿を現しました。始発はすすきので、途中大通りのバスセンターを経由しています。予約したときには札幌駅の方が近くて待ちやすいと思っていたのですが、今思うとすすきのからさっさとバスに乗り込めばよかったです。
ともあれ、14,5人の客を乗せ、札幌駅を発車します。
車内は3列シート。隣の客を気にすることなく寝ることができます。
乗ってみると、年末にもかかわらず空きがあります。「高速はこだて号」は3週前でほぼ満席だったのとは雲泥の差です。料金は北海道バスの方が安いのですが。北海道バスは貸切主体なので、路線バス3社が共同運行する「高速はこだて号」より信頼が足りてないのでしょう。
[北海道バス 函館特急ニュースター号11便 すすきの23:35→上湯川町5:38]
《札幌駅前 23:59発》
札幌駅前を出ると、明朝函館市内に入るまでノンストップです。車内は減光されてすることもないので、備え付けの毛布に包まりしばしの休息。
札幌駅前で乗り遅れた人がしばらくして飛び乗ってきたのを除けば問題もなく、「ニュースター号」は函館へと向かいました。
2013/12/26 5:05 函館駅前バスターミナル
朝5時。バスはまだ日も出ていない函館駅に到着しました。
この時間では明かりのついている建物も少なく、ひとまず駅の中に入ります。
改札もご覧の通り閉鎖。
待合室には、「ニュースター号」から放り出された客がちらほらいました。
2階からの景色。
あまりに暇なので、電池を買いに30分ほどコンビニめぐりをしました。
が、次に乗る列車は6時53分発の江差行き。
というわけで。
朝飯のために、駅前にある函館朝市にやってきました。
日の短い冬でも、朝市は朝の6時からやっています。開店早々にお邪魔することにしました。
ちなみに、朝市の存在を思い出したのは函館についてからだったり。
今回選んだのは各所で評判の高い「きくよ食堂」さんです。
無駄に豊富なメニュー。「きくよ食堂」は勝手丼のようなスタイルで、指定の数だけ好きな種類の具を選ぶことができます。
机にはこれまた無駄に函館の雑学が。
函館朝市といえば3色丼。ということで、3色丼を注文しました。きくよ食堂は3色丼の発祥の店とも言われています。具はウニ・サケ・カニです。
3つとも既に味がつけられており、朝からすんなり食べることができました。これで1600円。朝市界隈では安いほうのお店です。
食堂を出ても暇なので、歩いて数分のところにある摩周丸の元へ向かいました。
摩周丸はかつて青森~函館を結んでいた青函連絡船で使われていたうちの1隻です。このほか、対岸の青森に八甲田丸が係留されています。
国鉄当時のカラーリングに戻されメモリアルシップ(=中が博物館となっている)として保存されている摩周丸ですが、函館市の財政難で閉鎖が検討されているようです。つい1年前に解体された羊蹄丸(船の博物館で保存されていた)の例があるため、摩周丸の雲行きは怪しいところです。連絡船という単語自体が忘れ去られつつある今、貴重な保存船が失われないことを願うばかりです。
桟橋からは函館山が望めます。
煙突に大きく書かれた「JNL」を見ながら、摩周丸を後にします。
函館にはまだ路面電車が残っています。経営は芳しくないようですが、市民の足として元気に動いています。
この電車は回送電車です。
続けて回送電車。
函館駅前まで戻った頃、ようやく始発電車がやってきました。
時刻は6時50分。発車まで少ししかありません。急いで改札をくぐります。
待っていたのはキハ40。北海道ではありふれた車両です。
終点・江差までは3時間ですが、単行です。
座席はかなりの数が埋まっていました。
キハ281系「スーパー北斗1号」を横目に、江差行きのキハ40に乗り込みました。
[江差線 普通 120D 函館6:53→江差9:17]
《函館 6:53》
エンジントラブルの件で休車中の大量のキハ183系を見ながら函館駅を発車します。
函館本線と分かれる五稜郭で対向列車と行き違い……のはずが、対向列車の遅れでしばらく待つことに。
4分遅れで木古内発の5880Dがやってきました。もちろんキハ40です。
《五稜郭 7:03発(約4分遅れ)》
五稜郭からは江差線と名前が変わります。
ここから木古内までは、青森と函館を結ぶルートの一部となっています。一般にひとまとめにされがちですが、路線上は函館~五稜郭が函館本線(複線)、五稜郭~木古内が江差線(単線)、木古内~新中小国信号場が津軽海峡線(複線)、新中小国信号場~蟹田~青森が津軽線(単線)と4つに分かれます。
函館から続いていた市街地は上磯で途切れ、列車は山の中へ。
車内は混み始め、あちこちで立ち客が出ていました。
線路が徐々に海に近づいていきます。
矢不来信号場のあたりで海と最接近。あたりに人家はなく、海峡との間に隔てるものはありません。
《茂辺地 7:26着(約4分遅れ)》
木古内との中間地点・茂辺地に停車。
貨物列車との行き合いのためしばらく停車します。
EH500牽引の貨物列車がやってきました。木古内までは本州と北海道を結ぶルートの一部となっているので、特急や貨物がひっきりなしに通ります。青函トンネル前後を除くと単線なので、時に貨物列車が遅れの原因となります。
貨物列車は3番線を速度を緩めずに通過していきました。
貨物を待ったため、こちらも4分遅れで発車します。
《茂辺地 7:30発(約4分遅れ)》
渡島当別との間で、ようやく朝日を見ることができました。
まるで教会のような駅舎を持つ渡島当別。それもそのはず。ここはトラピスト修道院の最寄り駅だからです。函館に似た名前のトラピスチヌ修道院がありますが、トラピストは男のみ、トラピスチヌは女のみとなっています。もちろん、見学は男女関係なくできますのであしからず。
海岸沿いを、キハ40はのんびりと走ります。
右手に新幹線の高架が見えてきました。2016年に開通する北海道新幹線です。
《木古内 7:56着(約2分遅れ)》
列車は木古内駅4番線に到着しました。反対側(写真右)では函館行きの121Dが待っています。
ここで江差方面の線が分岐します。4・5番線は江差線の普通列車しか使用しないので、本州方面の駅名が書かれていません。
今でもサボが現役の北海道。120Dは江差行きなので「函館―木古内―江差」のサボを掲げています。
ということで、今回はここまで。
1つめは、休みの期間が短いこと。
もともと年末年始の休みはそこまで長くないのですが、今年は12月26日から1月5日までのわずか11日間しかありません。静岡に滞在する時間を考えると、道中に掛けていられる時間はおよそ5日間にまで減ってしまいます。
2つめは、これだけ短い休みでありながら予定が詰まっていたこと。
去年の記事にも書きましたが、静サツの父方の家族は毎年(詳しくは前回の年末帰省の記事を参照)年末に集団で家族旅行に行きます。これのために12月31日と1月1日は確実につぶれます。しかも、よりによって今年は岐阜県の下呂。静岡からは車で半日かかるため、当初は直接乗り込もうかと思ったほどです(実際には計画変更で一度静岡に戻った)。
さらに、1月3日には成人式がありました。大抵の地域では成人の日周辺で行う中、静サツの地元・静岡市はなぜか三が日周辺で行います。正月で帰った後成人式のためだけに再び帰省しなくていいので楽といえば楽ですが、その分1月3日周辺が忙しくなります。
帰省のたびにいろいろ乗っている静サツですが、この二つがある関係で帰りは自動的に飛行機で決定。しかも、4日にも予定が入ったため、5日に飛行機に乗って帰るだけになってしまいました。
そして、そのしわよせは前半、つまりは『行き』の工程に向かうことになるのでした……
2013/12/25 23:00 札幌駅東口 ESTA地下一階
今回の帰省は、夜の札幌駅から始まります。
……と書くと、「お、『はまなす』か?」と思う人もいるかもしれません。確かに、札幌22時丁度発の夜行列車『はまなす』は、鉄道旅をするにはもってこいの列車です。
しかし、この写真を撮ったときには、既に『はまなす』は発車してしまっています。
では、何で行くのか?
そう。答えは夜行バスです。
札幌からは函館までは、北海道中央バスなどが運行する「高速はこだて号」と、北海道バスの運行する「ニュースター函館号」の2つがあり、どちらも夜行便が存在します。今回は「ニュースター号」を選択しました。
それでは、乗り場に向かいましょう。
無数のロッカーが並ぶ通路を過ぎます。
東口を素通り。
その足は地下へ。
ついた先は札幌駅前バス停。
札幌駅はいくつものバス乗り場があり、駅に隣接する『札幌駅前バスターミナル』、北口広場にある『札幌駅北口』、そして東急百貨店前にある『札幌駅前』が主な乗り場になっています。
「高速はこだて号」の夜行便は、ここの3番乗り場から発車します。
が、「ニュースター号」の乗り場はここではありません。
そこから一本入ったところにある、エスタ(=札幌駅前バスターミナル)が見える場所に、「ニュースター号」の乗り場があります。
恐ろしいことに、ここは屋根もベンチもありません。冬空の下で1時間近く待つのはしんどいので、一度エスタに引き返し、地下1階のベンチで時間をつぶしました。
日付が変わろうとする頃、「ニュースター号」が姿を現しました。始発はすすきので、途中大通りのバスセンターを経由しています。予約したときには札幌駅の方が近くて待ちやすいと思っていたのですが、今思うとすすきのからさっさとバスに乗り込めばよかったです。
ともあれ、14,5人の客を乗せ、札幌駅を発車します。
車内は3列シート。隣の客を気にすることなく寝ることができます。
乗ってみると、年末にもかかわらず空きがあります。「高速はこだて号」は3週前でほぼ満席だったのとは雲泥の差です。料金は北海道バスの方が安いのですが。北海道バスは貸切主体なので、路線バス3社が共同運行する「高速はこだて号」より信頼が足りてないのでしょう。
[北海道バス 函館特急ニュースター号11便 すすきの23:35→上湯川町5:38]
《札幌駅前 23:59発》
札幌駅前を出ると、明朝函館市内に入るまでノンストップです。車内は減光されてすることもないので、備え付けの毛布に包まりしばしの休息。
札幌駅前で乗り遅れた人がしばらくして飛び乗ってきたのを除けば問題もなく、「ニュースター号」は函館へと向かいました。
2013/12/26 5:05 函館駅前バスターミナル
朝5時。バスはまだ日も出ていない函館駅に到着しました。
この時間では明かりのついている建物も少なく、ひとまず駅の中に入ります。
改札もご覧の通り閉鎖。
待合室には、「ニュースター号」から放り出された客がちらほらいました。
2階からの景色。
あまりに暇なので、電池を買いに30分ほどコンビニめぐりをしました。
が、次に乗る列車は6時53分発の江差行き。
というわけで。
朝飯のために、駅前にある函館朝市にやってきました。
日の短い冬でも、朝市は朝の6時からやっています。開店早々にお邪魔することにしました。
今回選んだのは各所で評判の高い「きくよ食堂」さんです。
無駄に豊富なメニュー。「きくよ食堂」は勝手丼のようなスタイルで、指定の数だけ好きな種類の具を選ぶことができます。
机にはこれまた無駄に函館の雑学が。
函館朝市といえば3色丼。ということで、3色丼を注文しました。きくよ食堂は3色丼の発祥の店とも言われています。具はウニ・サケ・カニです。
3つとも既に味がつけられており、朝からすんなり食べることができました。これで1600円。朝市界隈では安いほうのお店です。
食堂を出ても暇なので、歩いて数分のところにある摩周丸の元へ向かいました。
摩周丸はかつて青森~函館を結んでいた青函連絡船で使われていたうちの1隻です。このほか、対岸の青森に八甲田丸が係留されています。
国鉄当時のカラーリングに戻されメモリアルシップ(=中が博物館となっている)として保存されている摩周丸ですが、函館市の財政難で閉鎖が検討されているようです。つい1年前に解体された羊蹄丸(船の博物館で保存されていた)の例があるため、摩周丸の雲行きは怪しいところです。連絡船という単語自体が忘れ去られつつある今、貴重な保存船が失われないことを願うばかりです。
桟橋からは函館山が望めます。
煙突に大きく書かれた「JNL」を見ながら、摩周丸を後にします。
函館にはまだ路面電車が残っています。経営は芳しくないようですが、市民の足として元気に動いています。
この電車は回送電車です。
続けて回送電車。
函館駅前まで戻った頃、ようやく始発電車がやってきました。
時刻は6時50分。発車まで少ししかありません。急いで改札をくぐります。
待っていたのはキハ40。北海道ではありふれた車両です。
終点・江差までは3時間ですが、単行です。
座席はかなりの数が埋まっていました。
キハ281系「スーパー北斗1号」を横目に、江差行きのキハ40に乗り込みました。
[江差線 普通 120D 函館6:53→江差9:17]
《函館 6:53》
エンジントラブルの件で休車中の大量のキハ183系を見ながら函館駅を発車します。
函館本線と分かれる五稜郭で対向列車と行き違い……のはずが、対向列車の遅れでしばらく待つことに。
4分遅れで木古内発の5880Dがやってきました。もちろんキハ40です。
《五稜郭 7:03発(約4分遅れ)》
五稜郭からは江差線と名前が変わります。
ここから木古内までは、青森と函館を結ぶルートの一部となっています。一般にひとまとめにされがちですが、路線上は函館~五稜郭が函館本線(複線)、五稜郭~木古内が江差線(単線)、木古内~新中小国信号場が津軽海峡線(複線)、新中小国信号場~蟹田~青森が津軽線(単線)と4つに分かれます。
函館から続いていた市街地は上磯で途切れ、列車は山の中へ。
車内は混み始め、あちこちで立ち客が出ていました。
線路が徐々に海に近づいていきます。
矢不来信号場のあたりで海と最接近。あたりに人家はなく、海峡との間に隔てるものはありません。
《茂辺地 7:26着(約4分遅れ)》
木古内との中間地点・茂辺地に停車。
貨物列車との行き合いのためしばらく停車します。
EH500牽引の貨物列車がやってきました。木古内までは本州と北海道を結ぶルートの一部となっているので、特急や貨物がひっきりなしに通ります。青函トンネル前後を除くと単線なので、時に貨物列車が遅れの原因となります。
貨物列車は3番線を速度を緩めずに通過していきました。
貨物を待ったため、こちらも4分遅れで発車します。
《茂辺地 7:30発(約4分遅れ)》
渡島当別との間で、ようやく朝日を見ることができました。
まるで教会のような駅舎を持つ渡島当別。それもそのはず。ここはトラピスト修道院の最寄り駅だからです。函館に似た名前のトラピスチヌ修道院がありますが、トラピストは男のみ、トラピスチヌは女のみとなっています。もちろん、見学は男女関係なくできますのであしからず。
海岸沿いを、キハ40はのんびりと走ります。
右手に新幹線の高架が見えてきました。2016年に開通する北海道新幹線です。
《木古内 7:56着(約2分遅れ)》
列車は木古内駅4番線に到着しました。反対側(写真右)では函館行きの121Dが待っています。
ここで江差方面の線が分岐します。4・5番線は江差線の普通列車しか使用しないので、本州方面の駅名が書かれていません。
今でもサボが現役の北海道。120Dは江差行きなので「函館―木古内―江差」のサボを掲げています。
ということで、今回はここまで。