2013/12/26 8:00 木古内駅
あらすじ
夜行バスとキハ40を乗り継ぎ木古内までやってきました。
木古内は人口5万人ほどの小さな町――といってもこの渡島地域ではかなりの規模――ですが、木古内の駅には江差線と海峡線が乗り入れ、それなりの本数があります。北海道新幹線開業後も新幹線駅ができるので、ますます利便性が上がることでしょう。
左に見える高架が新幹線駅です。まだ中には入れませんが、数年後には本州からの新幹線が走ることになります。青函トンネル開業で大きな利益をこうむってきた木古内町は、新幹線で新たな発展をすることでしょう。
ただ、その一方で消えていくものもあります。
本日(12/26)は、木古内を中心に、北海道新幹線で消えていくものを追っていきたいと思います。
8時4分。東から789系「スーパー白鳥20号」がやってきました。新青森で「はやて28号」に接続します。
毎時1本ペースで運転され、いつの時期も人気の列車ですが、北海道新幹線開業で消えるのは明白です。「スーパー白鳥」用の789系もどうなるかはまだ未定となっています。
120D(函館発普通列車)からの乗り継ぎや木古内からの利用者を乗せ、789系は発車していきました。
一方で、江差行きの120Dに乗り継ぐ客の姿も少なからずいました。
江差行となるキハ40-1801。
「スーパー白鳥20号」の接続、函館行きのキハ40×2との交換を含め、約20分もの長停車をします。
一通り見たところで、一旦改札を出ます。
待合室の中心を、『ありがとう江差線』のボードが占拠していました。
江差線は函館~江差間の路線ですが、本州⇔北海道のメインルートから外れる木古内~江差は乗客が少なく、このたび木古内~江差が2014年5月をもって廃止されることが決まってしまいました。国鉄末期廃線の嵐が吹き荒れた北の大地から、また一つ鉄路が消えることになります。
ボードには廃止となる各駅の写真が展示されています。
まずは木古内。かつては松前線が分岐していました。
渡島鶴岡。山形県の鶴岡からきた人が入植したからだそうです。
吉堀。
神明。板張りの駅です。
廃止区間で唯一交換のできる駅・湯ノ岱。
湯ノ岱~宮越にある天ノ川駅。駅ではなく、それらしいオブジェクトがあるだけの場所ですが、廃止区間の名物のひとつになっています。
由来はこの近くに『天の川』(正確には2級河川天野川)が流れているからです。上ノ国町を横断する主要河川でもあります。
宮越。
桂岡。車掌車が駅舎になっています。貨車が駅舎代わりになっている例は、北海道ではよく見られますが、最近は老朽化で撤去が進んでいるようです。
中須田も車掌車が駅舎になっている駅の一つ。
上ノ国町の中心にある上ノ国駅。
終点の江差。ニシン漁で栄えた町で、『江差の春は江戸にもない』とまでいわれた地です。
裏側にはかつてこの地を走ったSLが貼られていました。
廃線にあたり、いろんな種類の記念(?)切符が発売されています。皮肉にも、廃線が決まってから江差線利用者が急増し、沿線自治体が困惑しているとか。もっとも、そのほとんどは葬式鉄と呼ばれる人たちですが……
江差線廃止記念(?)のようかんまで販売していました。1個250円なのでお手ごろです。
これだけ紹介しているので江差線に乗るのかと思いきや、実は先ほどの120D(木古内8:08発)が出ると、江差行きは11:48発の122Dまでありません。
今回は、江差線の前に、ちょっと寄り道していこうと思います。
寒空の下、1番線で次の列車を待ちます。
やってきた「スーパー白鳥22号」は、785系の改造車を先頭にしてやってきました。
[津軽海峡線 4022M スーパー白鳥22号 函館→]
《木古内 8:47発》
目的の場所は、木古内からすぐの場所にあります。
《知内 8:55着》
到着したのは知内。海峡線の途中にある数少ない駅の一つです。
ホームが7両分しかないので、増結した「スーパーry)」は先頭がはみ出してしまいます。といっても、最後尾は半室グリーン・半室指定席なので、知内で降りる客はいないと思いますが……
結局、降りたのは私を含めて2人でした。
知内駅は、元々新湯の里信号場だったところにホームを付け足して駅になりました。かつて知内の町には松前線が通っていたのですが、海峡線の開業と同時に廃止。
知内駅は、新たな町の玄関となるべく誕生した……はずなのですが……
次の列車まで1時間ほどあるので、駅を見て回ります。
知内駅は、「道の駅 しりうち」とつながっています。
というより、どうみても道の駅の方が本体で、鉄道はとってつけたような駅になっています。
国道上の案内を見ても明らかです。
辺りには何もありません。ここは知内の市街地のはずれにあります。松前線でもっとも近くにあった駅は、渡島知内駅(町の中心部)ではなく湯の里駅でした。
建物の前にある地図。地図の真ん中が知内駅(≒湯の里駅跡)、中央右よりの黄色い場所が知内町の中心部(≒渡島知内駅跡)です。距離にして4,5kmは離れています。
9時15分ごろ、松前線代替の函館バスがやってきました。
暇なので道の駅の建物へ。中では知内の農産物などを売っています。
その中で目を引くのがこの「おっぱい饅頭」です。
変わった名前のこの商品は、知内公園にある一本の杉が由来です。その昔、母乳が出なくて困っていた母親がこの木に願ったところ、母乳が出るようになったとの伝説にちなみます。決しておっぱいプリン(※)のような低俗な代物ではありません。
(※おっぱいプリン……全国的に見られる萌え系デザート。見た目は
さて、駅舎の紹介はこのくらいにして、中に入ってみます。
入口をくぐってすぐのこの狭い空間が待合室です。
新幹線開業を待ちわびるポスターは、すでに色があせています。
知内では乗車券を発行していないので、待合室には簡易な運賃表がおかれているだけです。
知内駅に停車する列車は、1日に上下2本ずつしかありません。次に乗る9:38発「白鳥93号」が出ると、16:39発「スーパー白鳥40号」までありません。先ほどの松前線代替バスは1日に10往復ありますから、バスより少ないです。
この極限まで減らされたダイヤと、中心街から外れていることが重なり、知内駅の利用者は芳しくありません。
待合室と跨線橋につながる通路の間には扉が設けられています。北海道らしい寒さ対策です。
跨線橋までは急ごしらえで作られたかのような通路が続きます。
通路の先に乗車証明発行機がおかれています。かつては道の駅で乗車券を扱っていたこともありました。
取り出してみました。
ホームに向かうとEH500の貨物列車が通過していきます。
最後尾。
知内駅は中央の本線の外側に待避線(副本線)を2本ずつ備えています。中央の2線は新幹線に転用されることが決まっており、架線柱も新幹線用のものに変更されています。
残念なことに、この知内駅は新幹線工事のため2014年3月で廃止されることが決定しました。ホームが工事の支障になるからですが、ならなぜ初めから副本線にホームを作らなかった。
ホームが撤去された跡は、再び信号場に戻る予定です。
9時44分、「白鳥93号」で知内を去ります。もう少しいてもいいのですが、いかんせんこれを逃すと木古内方面は20:02発「スーパー白鳥31号」までないので。
[津軽海峡線 4093M 白鳥93号 新青森8:05→函館10:26]
《知内 9:45発(約7分遅れ)》
木古内直前で新幹線の高架と別れます。海峡線は大部分が新幹線に転用されますが、貨物列車のために在来線の軌道も残され、大平トンネル付近(青森)~第四森越トンネル付近(北海道)が新在共用になる予定です。
《木古内 9:52着(約6分遅れ)》
木古内まで戻ってきたところで続きは次回へ。
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