昨日、しなの鉄道の御代田-信濃追分の線路脇に生えていた桜の木が、何者かによって伐採されるという事件がありました。
事件を報じたしなの鉄道のツイッターにはこうあります。
『「残念なお知らせです。
信濃追分~御代田間の浅間山を望めるカーブ区間に植樹されていた
桜の木のうち4本が無残にも切断されてしまいました。
植樹されてから数年、初めて花の咲く日を待っていました。
切られた枝の先には初めての蕾がついていました」
「もうすぐ咲く桜の木を切ってまで撮影した写真に、何の価値があるというのでしょうか?
撮影者の方ご自身に、今一度問いかけていただければと存じます。
あなたの首を絞めているのは、あなた自身です」
「桜の木は当社用地内に植樹されていたものです。
写真を見ていただければ自然に折れたものでないことは
お分かりいただけるかと存じます」 』
少なくともこれを書いた人の目から見ると、いわゆる『撮り鉄』の仕業に思えたようです。
この書き込みに、賛否両論がリツイートされ、しなの鉄道のツイッターは一時炎上状態に陥りました。
個人的には『撮り鉄』がやったとは思いたくないですが、なにしろ他に桜の木が切られる理由がないのと、実際に『撮り鉄』のマナーが悪いのは事実で、第一の原因として撮り鉄が挙げられたのは無理もないことだと思います。
このところ、鉄道ファン、特に『撮り鉄』による事件は絶えません。特に、桜井線を「あすか」が走った時の立ち入り事件以降、『撮り鉄』を含めた鉄道ファンに対する視線は厳しくなる一方です。
私も、『撮り鉄』に迷惑したことがあります。
一昨年(2011年)の8月に、長野電鉄屋代線に乗りに行った時のことです。屋代線廃線と2000系引退に合わせて行われた団体旅行で、貸切りの2000系に乗って屋代線を往復しました。
事件が起きたのは須坂からの帰り、松代駅まであと少しというときのことでした。
当時前面にかぶりついて先頭を眺めていた私は、前触れもなくならされた警笛に背筋を伸ばしました。前方を見ると、踏切のところに二人組の男がいました。両方カメラを構えていたので、『撮り鉄』なのは間違いないでしょう。彼らはなんと、線路敷地内に三脚を構えていました。列車が通れば側面に掠るかもしれない……という位置です。
列車からは何度も警笛を鳴らしましたが、彼らはどこうともしません。おそらく、自分たちに警笛が鳴らされていると考えても――あるいは考える脳味噌も――なかったのでしょう。運転台にいたもう一人の乗務員が、二人に退くよう怒鳴りますが、それでもどきません。
結局、列車は踏切手前で停車。乗務員が地上に降り立ち、二人に直接怒りをぶつけます。運転台のガラス越しだったので会話を明瞭には聞き取れませんでしたが、二人が取るに足らない言い訳を並べているであろうことは、時折聞こえる乗務員の怒声で十分にわかりました。
その後、二人は松代駅へ連行。警察に突き出されたのかはわかりません。列車は5分遅れで再び屋代に向かって出発しました。
幸い、屋代線は一時間半に一本という閑散路線だったので、通常列車のダイヤにはさほど影響がありませんでした。乗っていたのも団体旅行に参加していた30人程だけです(もちろん、その下には(私も含めて)彼らに対する憎悪がありましたが)。しかし、これが首都圏の大手私鉄だったら、どれだけの損害を出していたのか計り知れません。定時運転が最も求められるエリアでこんな事件があった日には、それこそ桜井線の時のように吊し上げになってもおかしくありません。
しなの鉄道ツイッター側(しなの鉄道によればツイッターは公式のものではないようなので、このような表現になりました)も、何の根拠もなしに「撮り鉄の仕業」と思ったわけではないはずです。鉄道会社側に撮り鉄の仕業と思わせてしまった時点で、弁解をする資格はないのです。
巷では「これだから鉄道ファンは……」といったような書き込みがありますが、安易な決めつけは良くありません。今言えるのは、現状犯人が撮り鉄以外に考えられず、またそうとしか思えないような悪行を既に積み立てているということなのです。限りなく犯人に近く、しかし犯人とは言い切れない状態です。
こう書くと、撮り鉄が悪いようになってしまいますが、切った責や非難はあくまで切った人に向けられるべきであって、撮り鉄全体や鉄道ファンに向けられるべきものではありません。私は分類するなら乗り鉄の部類ですが、時にはホームで撮影することもありますし、10月の札沼線のように駅に近い場所で撮影することもあります。鉄道ファンじゃなくても、カメラを鉄道に向ける人はいるでしょう。今本当に求められているのは、鉄道側の規制ではなく(一時的なものは仕方ないとしても)、撮る側の意識です。
とかく最近は鉄道への興味が高まり、鉄道を撮る人が増えています。しかし同時に、常識のない人間が鉄道に流れ込むことで、鉄道ファン全体の意識が低下しています。
だから、自分への注意喚起を兼ねて、ここに記します。
・写真を撮る時には周囲を確認しろ
・TPOはわきまえろ
・鉄道会社側が立ち入り禁止の札を掲げるエリアはもちろん、常識的に考えて入ってはいけない場所(例:畑、鉄道柵の内側など)に入るな
・↑どこまでが常識的に入れないのかぐらい自分で考えろ。それすらわからないやつは失せろ
・列車を利用する人に迷惑をかけるな
・運転に支障が出ると思う行為はするな(例:黄色い線より外側に出る)何が迷惑と思うかぐらい(略)
・こんな簡単なことも守れないような奴は撮るな
本来、このぐらい考えてしかるべき事柄ばかりです。それをわざわざ口にしないと理解できないような人間がいること自体、鉄道ファンの質の低下の表れで、一鉄道ファンとして苛立ちを覚えます。
自分は関係ないと思っている人へ。そういう人間が次に事故を起こすんだ。これからも鉄道を撮ろうと思うのなら、この事件を水に流すことは絶対にしてはいけません。
このような事件がもう二度と起こらないことを切に願うばかりです。
事件を報じたしなの鉄道のツイッターにはこうあります。
『「残念なお知らせです。
信濃追分~御代田間の浅間山を望めるカーブ区間に植樹されていた
桜の木のうち4本が無残にも切断されてしまいました。
植樹されてから数年、初めて花の咲く日を待っていました。
切られた枝の先には初めての蕾がついていました」
「もうすぐ咲く桜の木を切ってまで撮影した写真に、何の価値があるというのでしょうか?
撮影者の方ご自身に、今一度問いかけていただければと存じます。
あなたの首を絞めているのは、あなた自身です」
「桜の木は当社用地内に植樹されていたものです。
写真を見ていただければ自然に折れたものでないことは
お分かりいただけるかと存じます」 』
少なくともこれを書いた人の目から見ると、いわゆる『撮り鉄』の仕業に思えたようです。
この書き込みに、賛否両論がリツイートされ、しなの鉄道のツイッターは一時炎上状態に陥りました。
個人的には『撮り鉄』がやったとは思いたくないですが、なにしろ他に桜の木が切られる理由がないのと、実際に『撮り鉄』のマナーが悪いのは事実で、第一の原因として撮り鉄が挙げられたのは無理もないことだと思います。
このところ、鉄道ファン、特に『撮り鉄』による事件は絶えません。特に、桜井線を「あすか」が走った時の立ち入り事件以降、『撮り鉄』を含めた鉄道ファンに対する視線は厳しくなる一方です。
私も、『撮り鉄』に迷惑したことがあります。
一昨年(2011年)の8月に、長野電鉄屋代線に乗りに行った時のことです。屋代線廃線と2000系引退に合わせて行われた団体旅行で、貸切りの2000系に乗って屋代線を往復しました。
事件が起きたのは須坂からの帰り、松代駅まであと少しというときのことでした。
当時前面にかぶりついて先頭を眺めていた私は、前触れもなくならされた警笛に背筋を伸ばしました。前方を見ると、踏切のところに二人組の男がいました。両方カメラを構えていたので、『撮り鉄』なのは間違いないでしょう。彼らはなんと、線路敷地内に三脚を構えていました。列車が通れば側面に掠るかもしれない……という位置です。
列車からは何度も警笛を鳴らしましたが、彼らはどこうともしません。おそらく、自分たちに警笛が鳴らされていると考えても――あるいは考える脳味噌も――なかったのでしょう。運転台にいたもう一人の乗務員が、二人に退くよう怒鳴りますが、それでもどきません。
結局、列車は踏切手前で停車。乗務員が地上に降り立ち、二人に直接怒りをぶつけます。運転台のガラス越しだったので会話を明瞭には聞き取れませんでしたが、二人が取るに足らない言い訳を並べているであろうことは、時折聞こえる乗務員の怒声で十分にわかりました。
その後、二人は松代駅へ連行。警察に突き出されたのかはわかりません。列車は5分遅れで再び屋代に向かって出発しました。
幸い、屋代線は一時間半に一本という閑散路線だったので、通常列車のダイヤにはさほど影響がありませんでした。乗っていたのも団体旅行に参加していた30人程だけです(もちろん、その下には(私も含めて)彼らに対する憎悪がありましたが)。しかし、これが首都圏の大手私鉄だったら、どれだけの損害を出していたのか計り知れません。定時運転が最も求められるエリアでこんな事件があった日には、それこそ桜井線の時のように吊し上げになってもおかしくありません。
しなの鉄道ツイッター側(しなの鉄道によればツイッターは公式のものではないようなので、このような表現になりました)も、何の根拠もなしに「撮り鉄の仕業」と思ったわけではないはずです。鉄道会社側に撮り鉄の仕業と思わせてしまった時点で、弁解をする資格はないのです。
巷では「これだから鉄道ファンは……」といったような書き込みがありますが、安易な決めつけは良くありません。今言えるのは、現状犯人が撮り鉄以外に考えられず、またそうとしか思えないような悪行を既に積み立てているということなのです。限りなく犯人に近く、しかし犯人とは言い切れない状態です。
こう書くと、撮り鉄が悪いようになってしまいますが、切った責や非難はあくまで切った人に向けられるべきであって、撮り鉄全体や鉄道ファンに向けられるべきものではありません。私は分類するなら乗り鉄の部類ですが、時にはホームで撮影することもありますし、10月の札沼線のように駅に近い場所で撮影することもあります。鉄道ファンじゃなくても、カメラを鉄道に向ける人はいるでしょう。今本当に求められているのは、鉄道側の規制ではなく(一時的なものは仕方ないとしても)、撮る側の意識です。
とかく最近は鉄道への興味が高まり、鉄道を撮る人が増えています。しかし同時に、常識のない人間が鉄道に流れ込むことで、鉄道ファン全体の意識が低下しています。
だから、自分への注意喚起を兼ねて、ここに記します。
・写真を撮る時には周囲を確認しろ
・TPOはわきまえろ
・鉄道会社側が立ち入り禁止の札を掲げるエリアはもちろん、常識的に考えて入ってはいけない場所(例:畑、鉄道柵の内側など)に入るな
・↑どこまでが常識的に入れないのかぐらい自分で考えろ。それすらわからないやつは失せろ
・列車を利用する人に迷惑をかけるな
・運転に支障が出ると思う行為はするな(例:黄色い線より外側に出る)何が迷惑と思うかぐらい(略)
・こんな簡単なことも守れないような奴は撮るな
本来、このぐらい考えてしかるべき事柄ばかりです。それをわざわざ口にしないと理解できないような人間がいること自体、鉄道ファンの質の低下の表れで、一鉄道ファンとして苛立ちを覚えます。
自分は関係ないと思っている人へ。そういう人間が次に事故を起こすんだ。これからも鉄道を撮ろうと思うのなら、この事件を水に流すことは絶対にしてはいけません。
このような事件がもう二度と起こらないことを切に願うばかりです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます