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[関西本線・伊勢鉄道・紀勢本線 3001D 特急(ワイドビュー)南紀1号 名古屋8:05→紀伊勝浦11:56]
《名古屋 8:05発》
先頭車に座席を取った静サツ。これより紀伊半島の南端を目指します。
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前回触れたように、最前列の席をゲットしています。紀伊勝浦方の先頭車は貫通型ですが、非貫通車同様パノラマが楽しめます。眺望を意識しているのか、貫通扉のフレームが薄く作られています。おかげで、非貫通車とそこまで変わらない印象です。さすがはワイドビュー。
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後ろを振り返れば、そこにはガラガラの車内が。
4両編成の「南紀」のうち、先頭3両が指定席(半室グリーン含む)ですが、指定席は軒並みがら空き。最前列が簡単に取れたのも無理はありません。510円をケチるのがもったいないレベル。
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ちなみに自由席はこんな感じでした。窓側が埋まる程度です。
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最前列は前面展望できる代わりに横の眺めが悪いことが多いのですが、キハ85系に関しては大形窓のおかげで横も展望ばっちりです。
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笹島信号場を通過する「南紀」。
かつてここには貨物専用の笹島駅がありました。名古屋駅の貨物機能を移転させたものです。西名古屋港線(→あおなみ線)上に名古屋貨物ターミナルが完成したため廃止となりましたが、入換に使っていた着発線は残されています。
関西本線はここから単線になります。
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近鉄線の横に無理やり高架化した様子がよくわかる八田駅。特急も60km/h制限を受けて横に揺れます。
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しばらく近鉄名古屋線と並走します。
関西本線は単線、近鉄線は複線。利用者数は……お察しください。
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近鉄と分かれて地上へ。前方に見えるのは近畿日本ツーリスト貸切専用列車「かぎろひ」です。
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直線区間に入ると、キハ85系はぐんぐん加速していきます。
キハ85系に搭載されているのは、英国カミンズ製のNT-855R1(C-DMF14HZ)。円高で輸入品が安くなっていたこと、当時日本では良質な高出力エンジンがなかったことが原因です。
350馬力のエンジンを各車両に2基搭載。コンバータ(新潟コンバータ製)の性能アップもあり、気動車にして電車並みの加速を得ました。先代「南紀」のキハ82系(180馬力×2基)とは比べ物になりません。
その加速力は尋常ではなく、60km/h以上での再加速でもショックを感じるほど。
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春田で普通列車と交換します。相手は213系。
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続く蟹江でも313系と交換します。
名古屋~四日市では普通列車が毎時2本、快速が2本(快速「みえ」1本、亀山行き快速1本)を基本とし、この間に特急が走ります。朝ラッシュになれば普通列車が最大毎時4本まで増えます。単線区間をもつわりには多いといえます。
しかし「南紀」にとっては塵の前に同じ。容赦なく待たせて、速度制限ぎりぎりで通過していきます。
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基本単線の関西本線ですが、一部は複線化を行っています。といっても、その長さは長くて一駅間。あくまで列車増発のための応急処置でしかありません。
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列車は四日市工業地帯へ。タンク車が待機する富田を通過します。
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四日市郊外の河原田付近を走る列車。
この先で、「南紀」は伊勢鉄道へと入ります。
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伊勢鉄道は河原田~津を結ぶ第三セクターです。
名古屋から三重方面の鉄道は、まず関西本線が先に開通し、その後亀山から紀勢本線が分岐する形で建設されたため、名古屋から津・伊勢・熊野方面へは亀山でスイッチバックを伴う線形となってしまいました。これを解消するために建設されたのが伊勢鉄道です。
JR線ではありませんが、津方面への最短ルートになることから、特急や快速「みえ」(名古屋~伊勢市・鳥羽)はこちらを経由します。運賃はJRと別ですが、伊勢鉄道の前後のJR線は営業キロを通算できるようになっています(連絡運輸)。
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快走を続けるキハ85系。
元から準幹線として位置づけられていたので、ほとんどが立体交差と築堤で、110km/hの高速運転が可能です。
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関西本線同様、複線化用地は確保されながらも、単線のままです。
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高架からは遠く鈴鹿山脈を見渡せます。
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20分ほどで伊勢鉄道を走破。亀山からやってきた紀勢本線の線路と合流します。
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津で紀勢本線に入ります。いよいよ紀伊半島の本丸に攻め入る感じです。
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六軒でキハ11と交換。キハ25に置き換えられる予定の0番台です。
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松阪手前で再び近鉄とあいまみえます。こちらは単線非電化、向こうは複線電化な時点で勝負は付いているようなもの。なにせ、向こうは名古屋から毎時2本料金不要の急行が運転されています。
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《松阪 9:16着》
紀勢本線と近鉄と繋がる駅としては最南端の駅松阪に到着。開業は1893年と古く、ホーム屋根の柱がそれを物語っています。
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《松阪 9:24発(8分遅れ)》
前方の踏切で支障があり、5分ほど遅れて松阪を発車しました。
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近鉄との競合区間が終了し、徐々に山へ近づいていきます。
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10分ほど走ると、参宮線と分岐する多気に到着。
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《多気 9:32発(8分遅れ)》
すぐに発車。
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多気からは一発目の山越えに入ります。
紀伊半島は山と海とが入り組んだ複雑な地形のため、鉄道の建設は遅れてきました。
三重県側で見てみると、亀山~津が1891年、津~多気が現在の参宮線の一部として1893年に開業しています。これに対して、多気から先は1923年の多気~栃原開業まで待つことになります。全通はさらに1959年まで待つことになります。
紀勢本線は観光地として名高い志摩半島を、山越えで迂回します。
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大内山で上り普通列車と行き違い。
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JR東海色をまとうキハ40の3両編成。
キハ40系列は、JR東海では最後の国鉄形車両。高山本線からは既に撤退したので、亀山~鳥羽・新宮が最後の砦です。
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持ち前のパワーでぐんぐん高度を上げていく「南紀」。
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梅ヶ谷駅を出た列車はすぐに紀勢本線随一の難所・荷坂峠をトンネルで越えます。
山の上にある梅ヶ谷から、海に面した紀伊長島まで標高差300メートルをわずか10kmで駆け下ります。
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ジェットコースターのような急降下を経て、紀伊長島に辿り着きました。カーブもそれなりに多い線形ですが、遅れは2分遅れにまで縮まっていました。さすがは化け物気動車。
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《紀伊長島 10:20着(2分遅れ)》
列車交換のため5分ほど停車。時間があるので、列車から降りてみましょう。
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越えてきた荷坂峠をバックに。
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跨線橋から見る「南紀1号」。
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駅舎は1930年の開業当時のものを使用しています。車両は新しいJR東海ですが、駅舎は開業以来のものを使っている駅が少なくなかったりします。
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《紀伊長島 10:24発》
「南紀4号」の到着を待って発車します。
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西の空は淀んだ雲を抱えたまま。
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平地を走る→海岸線にぶつかる→カーブするを繰り返しながら、列車は南へと進みます。気動車にとっては相性最悪(※)ですが、キハ85系はものともしません。
(※相性最悪……一般に気動車は高速域での伸びが鈍いため、こういう線形では速度を出せない。変速(=高速域でも加速を鈍らせない)2段をもつキハ85系だからできる芸当。)
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海沿いを走っていたのもつかの間、再び山越えに入ります。
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すきあらば加速。
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《尾鷲 10:46発》
山越えの終点は尾鷲。しかしこの先も海→山→海の繰り返しです。
海岸線が入り組んだ地形を、縫い合わせるようにして進みます。この先の三木里~新鹿の開業(1959年)を持って、紀勢本線はようやく全通を迎えました。建設開始から実に40年近くかかったことからも、地形の複雑さがわかります。
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《熊野市 11:14発》
熊野市からは海岸線がようやく落ち着きを見せます。
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神志山で再び普通列車と交換です。
熊野市より南は真っ直ぐな線路が続きます。
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鵜殿を出ると、左手に紀州製紙の工場が見えます。最近まで稲沢に向かう紙輸送貨物列車が残っていましたが、2013年に船に切り替えられ、紀勢本線の貨物列車は消滅しました。
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熊野川をトラス橋で渡ります。
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《新宮 11:34着》
紀伊半島先端部の中心・新宮に到着です。
列車は次の紀伊勝浦が終点ですが、静サツはここで下車しました。
次回は新宮からスタートです。
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