将棋王 ツメルモンスターズ

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【将棋】タイトル戦における振り駒の重要性

2020-02-01 00:34:25 | プロ棋士雑学
 久々にハム将棋やろうと思ったら、アクセスできなくなっていてショック( ;∀;)

 まあ気を取り直して、今日は注目の棋王戦第一局、渡辺棋王-本田五段戦の日。
 開幕局なので振り駒が行われるのですが、ふと疑問に思いました。
 それはタイトル戦の振り駒と番勝負の関係についてです。

 将棋は少しだけ先手が有利なゲーム。ですので、後がない最終局では振り駒で先手を引いた側が勝ち越していると予想されます。
 しかし、第一局の振り駒は、少なくとも確率論的には番勝負の有利不利に影響しません。なぜなら第一局の振り駒がどうであれ、最終局にいきつくまでの先手局数と後手局数は制度上同じになるからです。(千日手や持将棋の場合は除く)

 ただ、これは計算上のお話。人間同士が戦う以上、心理的な有利不利が生じる可能性はあります。
 それを検証するため、過去十年間の8大棋戦について、第一局・最終局の振り駒で先手が引いた側から見た、番勝負の結果(最終結果)をまとめてみました。

 棋戦名 第一局先手 最終局先手
 竜王戦  7-3   2-0
 名人戦  3-7   1-0
 叡王戦  1-1
 王位戦  6-4   2-2
 王座戦  9-1   4-0
 棋王戦  6-4   2-1
 王将戦  6-4   1-1
 棋聖戦  6-4   0-2
 
 以上を合計すると、第一局で先手を引いた場合の番勝負勝率は44-28(0.611)、最終局で先手を引いた場合の番勝負勝率は12-6(0.667)となりました。

 最終局先手番の勝ち越しは予想通りでしたが、第一局先手番の番勝負の勝率6割超は予想外でした。勝率5割とは有意水準5%で有意な差なので、偶然の数字ではない可能性が高いです。
 理由としては 第一局が先手番 ⇒ 開幕戦を制する確率が高い ⇒ 番勝負全体の流れを掴みやすい という感じでしょうか? 実際

 先手番で開幕戦勝利(43/72=0.597)・・・番勝負勝敗34-9(0.791)
 後手番で開幕戦勝利(29/72=0.403)・・・番勝負勝敗19-10(0.655)

 という具合に、開幕戦の勝者が番勝負全体でも有利なのは間違いありません。

 以上を踏まえて、本日の棋王戦開幕戦を楽しもうと思います。