三十年ほど前、ひとり旅で神奈川方面をプラプラしていた時だった。歩き疲れて一軒のもつ煮居酒屋の前で立ち止まった。
店の中からもつ煮の匂いがお腹を刺激してたまらない気分になる。
手持ちのお金も底をつきかけていたが、もつ煮程度なら食べられると思った。
店に入るとタバコの煙と喧騒でごった返していた。テレビでは競輪を中継していて、お酒をあおりながら勝ったとか負けたとか酔っぱらいたちが話しをしている。そこを切り盛りする女将さんは、そんな酔っぱらいたちをなだめすかしながら注文に勤しんでいた。
その喧騒を眺めながらもつ煮定食を食べた。
大ぶりのどんぶりにもつが沢山はいっていて、格別な旨さだった。女将さんは「サービス」と言って多めに盛り付けてくれたのだった。
どうやって作るのか知りたいと思って女将さんにもつ煮の作り方を教えて貰った。
秘訣は、焼酎を水と同量惜しまず入れた下茹でと一旦出したもつを氷で締めること。
今でも女将さんが教えてくれたやり方でもつ煮を作りたくなる。すると子どもたちがリクエストしてくれるようになった。
あの女将さんは生きているのだろうか。生きていれば80にはなるだろうな。もう一度行ってみようかな。
翌日は手打ちうどんを頂いたので、その上にのせてみた。
翌日は手打ちうどんを頂いたので、その上にのせてみた。